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企業側の論理による「働き方改革」ではない...カゴメ有沢正人CHOに聞く、「生き方改革」の真髄

ニューズウィーク日本版 / 2024年2月28日 11時33分

今の中期経営計画は2025年に終わります。その先の2035年や2050年のビジョンを見据えて、どんな能力のある人材が必要かを考え、育成の道筋をつくれるか。そこが人事の腕の見せどころです。

──有沢さんが「人を育てる」うえで大事にしている指針を教えていただけますか。

大事にしているのは、色んな経験を積んでもらうという育成方針です。とりわけ将来の経営人材は会社全体を知らないといけない。銀行ではジョブローテーションでいろんな部署の経験を積むのが通例でしたが、カゴメでも、専門外の経験を積んでもらう機会をつくってきました。

また、カゴメもかつては自部門のエースを外に出すのを渋るような動きがありました。ですが、人材版伊藤レポートを世に出した伊藤邦雄先生が言うように、人材を囲い込む時代は終わりました。これからは「エースを育てて外に出せる人」が評価される時代です。カゴメでもこの考え方を浸透させていき、現在は、部門利益よりも全社視点での経営人材育成が優先される風土にしたいと思っています。

人事は、社員に「サプライズ」を与える存在になれているか?

──ご著書では、これからの時代のCHO・CHRO(最高人事責任者)に求められる経験・能力が体系的に紹介されていました。改めて、特に大事な能力やマインドセットは何でしょうか。

2つあると思っていて、1つめは「覚悟」です。「こうありたい」という信念はみんな持っているんですよ。でも、「なんとしてもこうするんだ」という覚悟は、だれしも持っているとは限らない。その覚悟は周囲の人に伝わるものです。

2つめは「先を読む力」。現状(AS IS)とありたい姿(TO BE)を定めて、TO BEから逆算し、いつまでにどんな人材を育てるべきなのかを考えていく。カゴメの場合は、「トマトの会社から、野菜の会社に」というビジョンがTO BEにあたります。

──有沢さんが「先を読む力」を養うために、習慣にしていることはありますか。

普段から世の中の動きに幅広く興味をもって、アンテナを立てることです。ドラマもアニメもニュースも、みんなが進みたい方向を知るために情報収集しています。

そのうえで、相手の期待やニーズを超えた価値を提供するにはどうすべきか自問するのです。「ニーズに合ったもの」をつくるだけでは驚きは生まれない。iPhoneも期待に応じたのではなく、期待を超えたからこそ、世界に驚きをもって迎えられた。私たちもお客さまが驚くような価値を提供したいと考えています。

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