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なぜ「肌の接触」が必要なのか? ハグやマッサージが幸福感をもたらす理由

ニューズウィーク日本版 / 2024年9月19日 17時50分

現在進行中の研究では、こうした肌の接触を慢性疼痛の治療に使えるかどうかを調べている。ただし現時点で結果はまちまちだ。理由の1つとして考えられるのは、慢性的な痛みが優しくなでられる心地よさの「感じ方」を変えてしまう可能性だ。このことは触覚に受容器以外の要素が関係している可能性を示唆している。

恐ろしい状況で誰かと手をつなぐと、不安に関連する脳の活動が低下する PEOPLEIMAGES/ISTOCK

3. 手つなぎ

手をつなぐことは、恐ろしい状況での不安軽減に役立つ可能性がある。

最近のランダム化比較試験によると、生検を受ける際に親族や看護師の手を握った男性は握らなかった男性に比べ、不安や痛みを感じることが少なかった。白内障の手術中に看護師の手を握ると、患者の不安感やアドレナリン(不安の生理学的マーカー)のレベルが低下することを示す研究もある。

さらに夫婦を対象とした複数の研究では、恐ろしい状況(ここでは軽い電気ショックを受ける可能性を意識した状態)で誰かと手をつなぐと、不安に関連する脳の活動が低下する効果が確認された。複数の研究によれば、より親密な相手と手をつなぐのが最も効果的だという。

4. マッサージ

ストレス軽減、痛みの緩和、リラックス効果など、マッサージの効用は多種多様だ。これらの効果があると考えられている理由は、迷走神経と副交感神経系の活動に変化が起こるからだ。

副交感神経は「休息と消化」の神経とも呼ばれ、リラクゼーションと回復を促す上で重要な役割を果たす。副交感神経はストレスの影響を和らげて体を落ち着かせる働きがある。皮膚に適度な圧力を加えるマッサージは、このプロセスを助け、さまざまな体内システムを調整してリラックスさせるのに役立つ。

重要なのは、恩恵を受けるのはマッサージを受ける人だけではない点だ。カップルを対象とした研究では、マッサージで双方ともストレスレベルが下がり、頭をすっきりさせられることが示されている。

もちろん、肌を触られるのを好むのは一部の人で、特定のタイプの接触しか好まない人もいるだろう。それでも、さまざまな形の接触が私たちにとって有益なことは分かっている。つまり、私たちはお互いに助け合う方法を工夫しながら、幸福度を高めることができるのだ。

Michael Banissy, Professor of Psychological Science, University of Bristol

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.




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