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無罪確定の袴田巖さんを22年取材した『拳と祈り』は1つの集大成

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月19日 12時51分

22年という長期にわたる取材が、これまで観たことがない巌さんや秀子さんの素顔を捉えている。1つの集大成と言えるかもしれない。

メディア全般に対して苦言を1つ。捜査機関の証拠捏造が正式に認定された。つまりこれは犯罪だ。ならばなぜメディアは、当時の静岡県警についてしっかり取材しないのか。単独の犯行なのか組織的なものなのか。検察はどこまで関与したのか。今からでもある程度は明らかにすることはできるはずだ。

静岡県警には拷問と証拠捏造の歴史がある。前述した4件の冤罪の1つである島田事件も捜査は静岡県警だ。担当した刑事や検察官たちの顔や名前をさらせとは言わない。でも捏造の構造くらいは追及すべきだ。

それはきっと後を絶たない冤罪に対する大きな抑止力になる。

『拳と祈り ―袴田巖の生涯―』
©Rain field Production
監督/笠井千晶
出演/袴田巖、袴田秀子
(10月19日公開)

<本誌2024年10月22日号掲載>

『拳と祈り ―袴田巖の生涯―』予告編

袴田巖さんを追ったドキュメンタリー映画「拳と祈り」の監督 笠井千晶さん会見  2024.10.15

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