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米大統領選も終盤へ「10月には魔物がいる...」歴史を変えてきた決戦前夜の大逆転は今回も起きるか

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月17日 20時30分

過去にデュヘイムは痛い思いをしている。

08年9月に世界を震撼させたリーマン・ショックの直後、マケインは選挙運動の「一時中断」を決断した。次のテレビ討論会には出ないと語り、現職候補のバラク・オバマにもそうしろと迫った。

だが、逆にオバマにかみつかれた。「まさに今こそ、米国民は約40日後にこの混乱に対処する責任を負う人物から話を聞く必要がある」と。それでマケインはワシントンへ戻ると言い、デービッド・レターマンのトーク番組への出演を急きょ取りやめた。が、すぐには戻らなかった。

その晩の番組収録中、レターマンはニューヨークの『CBSイブニング・ニュース』のライブ映像を何度も流した。そこに、なんとマケインの姿があったからだ。共和党にとっては最悪の展開だった。

これでマケイン陣営の混乱が露呈しただけでなく、オバマの対応は安定しているという印象が出来上がった。

オクトーバー・サプライズの犠牲者は共和党だけではない。民主党のベテラン政治コンサルタント、ロバート・シュラムは00年のアル・ゴア、04年のジョン・ケリーと、2度の大統領選で上級顧問を務めた。

04年の投票日の4日前(10月29日)、アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディンが9.11同時多発テロへの関与を認め、共和党候補で現職のブッシュを強く非難。その動画の一部が中東の衛星テレビ局アルジャジーラで流れた。

20年後の今、シュラムは、ブッシュ勝利の決定打はこのビンラディン動画だったと信じている。この映像は泥沼化するイラク戦争のニュースを選挙戦終盤の報道から消し去り、9.11テロから3年後にその脅威を有権者に思い出させた。

ブッシュ自身も、後にこう語っている。「あれで国民は記憶を取り戻したのだと思う。あそこまでビンラディンに嫌われるような男なら、やはりブッシュは大統領に適任なのだと」

メラニアと中絶問題が焦点に

今回の選挙では、トランプは常に場当たり的で、ハリスは常に計算ずくで動いている。だから、今さらサプライズが起きるとは考えにくいとシュラムは言う。

今回、オクトーバー・サプライズが起きるとすれば、トランプよりもハリスへの影響が大きいだろうとみるのは、かつてブッシュ陣営の選挙参謀を務めていたスコット・ジェニングズだ。

「トランプに関しては、今さら有権者を『驚かせる』のは難しい。これ以上に何がある? 彼は起訴され、有罪判決も受けた。2回も暗殺されそうになった。既に大統領をやり、2度の弾劾も受けた。これ以上、何が影響を与えるというのか」とジェニングズは問う。

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