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「斜めに入っていく」のがコツ...なぜ、富川悠太は相手の心を開かせる? 報ステ、トヨタで培った関係構築力

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月30日 15時32分

使命を感じさせてくれた豊田章男会長の言葉

──テレビ朝日の「報道ステーション」でメインキャスターを務めて、そこからトヨタの専属ジャーナリストへと転身されたのは、大きな変化だったように見えます。この転身の背景には、どんな想いがあったのでしょうか。

僕は「リアルを伝える」ことにこだわりがあって、報道ステーションでもそれを一貫して大事にしてきました。ただ、表現できる部分に限りがあるとも感じていました。また、取材の企画を出しても全て通るわけではありません。かなり僕の意志を尊重してくれる職場でしたが、僕の中では、「もっともっとリアルを伝えて、役に立てるのではないか」という思いがありました。

そんな中、取材をきっかけにお付き合いのあったトヨタ自動車会長の豊田章男さんの「伝える姿勢」への共感が強まっていきました。章男さんは世界的企業のトップでありながら、気さくで、ものすごく現場を大事にしています。そして、まさに「人のために行動する」の体現者です。

章男さんには「もっとリアルを伝えたい」という思いがありました。日頃から、記者会見などで話したことの一部が切り取られて、意図とは全く違うものとして報道されることに、もどかしさを覚えていたんです。メディアは視聴率やアクセス数を上げるために、インパクトのある部分だけを報道することもある。それでは本当に伝えたいことが伝わらない。ならば自分たちでトヨタの真実をありのままに届けよう──。そんな思いで始まったのがトヨタイムズです。PRのためではなく、約38万人の社員に、会長の思いやトヨタの現場、将来の構想を、包み隠さず伝えることを目的としています。

僕は章男さんとめざす方向が同じだと感じました。会長(当時は社長)自身がこの姿勢を大事にしているトヨタでなら、新たな挑戦ができて面白いのではないか。そんな思いから専属ジャーナリストになると決めました。章男さんから「これまで通り、ストレートに疑問をぶつけ、現場を取材して伝える姿勢でやってほしい」といわれたときには、再び「伝える」使命を感じることができました。

「相手の視点に立つ」と「俯瞰で見る」の両立

──トヨタイムズの動画からは、富川さんが心からトヨタの現場の取材を楽しんでいるのが伝わってきます。

トヨタには面白い取り組みがいっぱいあるんです。たとえば「『子連れ出勤』トライに1日密着!」の動画も、ぜひ配信したい内容でした。トヨタの2つの工場で、子育て世帯の働き方の選択肢を増やそうと、初の子連れ出勤のトライアルが始まりました。

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