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EU離脱を選択した英国の大誤算...移民の純増数が当時の3倍、「過去最高90万6000人」に激増していた

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月29日 17時54分

スターマー首相の説明では独立した移民諮問委員会がすでに見直しを行なっており、移民労働者に過度に依存している分野では就労ビザのポイント制を改革する。熟練労働者も、不足職種も英国国内での人材育成を促進し、方針に従わない雇用主は移民労働者の雇用を禁止するという。

EU離脱はリバタリアン(完全自由主義の信奉者)を装う大英帝国ノスタルジストによって主導されたことが透けて見える。インド、ナイジェリア、パキスタン、ジンバブエはいずれも英国の旧植民地で、永住移民による家族の呼び寄せも激増していることがうかがえる。

移民の大半は合法ルートで入国

「この移民増加は桁外れ」「開かれた国境の実験を行った」と前保守党政権の移民政策を徹底的に攻撃したスターマー首相は国民に対し国境を守ると宣言した。しかし保守党のクリス・フィルプ影の内相は「ナンセンス」と削減目標を示さなかったスターマー首相を批判した。

保守党のボリス・ジョンソン首相(当時)は、留学生が卒業後、2~3年就労することを認め、国民保健サービス(NHS)の人手不足を解消するためビザ取得ルートを拡大した。リシ・スナク首相(同)はその後、留学生の家族帯同を制限し、就労ビザの給与基準を大幅に引き上げた。

内務省によると9月時点で13万人以上が難民申請に対する最初の決定を待っている。21年9月から倍以上に増えた。小型ボートで英仏海峡を渡る不法入国者も今年に入って3万3000人を突破しているが、英国への移民の大半は合法的なルートで入国している。

EU離脱をきっかけに英国の崩壊ぶりがあらゆる面で顕著になっている。スターマー政権が有効な手立てを打てなければ、英国をEU離脱に誘った究極のポピュリスト、ファラージ氏の求心力と存在感はますます高まってくる。




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