戦争の形態は社会の形態により変化する

NHKテキストビュー / 2019年9月20日 17時0分

カイヨワは、ここから国家と機械化という文明の要素を取り出す一方で、儀礼といった「文化的」要素の抹消に目を向けます。
華麗な軍服やファンファーレ、かつての厳格でまた貴族的な試合ぶり、巧妙な用兵術、危険なものとは知りながら、なお規則正しく行なわれた礼儀の交換、これらはみな姿を消してしまった。(略)このような教えを実行する士官は、ただ射ち殺されるだけである。
(第二部・第一章)

ここにあるのは貴族戦争の時代へのノスタルジーなのでしょうか。いや、そうではないでしょう。一人ひとりが権利を持って、社会が民主的になり、より人間的になったにもかかわらず、戦争そのものは非人間的になっていくというパラドクスが生じたというのです。
近代を出発点にして、現代の戦争にまでつながるこのパラドクスをどう理解するのか、あるいは、どうやってそれを解消することができるのか、そのことがカイヨワによる本書最大のモチーフになっています。
■『NHK100分de名著 ロジェ・カイヨワ 戦争論』より

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