ニコニコ生放送「町山智浩×モーリー・ロバートソン『アメリカってヤバすぎ?超大国の裏側がわかるドキュメンタリー3選』」(2015年9月18日放送)全文書き起こし(2)

ニコニコニュース / 2015年10月18日 12時0分

ニコニコニュース

  9月の「ニコニコドキュメンタリー」は、アメリカ在住の映画評論家・町山智浩氏が選んだ、超大国アメリカの裏側がわかる過激なドキュメンタリー作品を特集。その生放送に先駆けて「町山智浩×モーリー・ロバートソン『アメリカってヤバすぎ?超大国の裏側がわかるドキュメンタリー3選』」が2015年9月18日(土)16時から、ニコニコ生放送で配信されました。

 本ニュースでは、番組の内容を、以下の通り全文書き起こして紹介します。

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※出演者=話者表記
モーリー・ロバートソン (ミュージシャン/ジャーナリスト)=モーリー
町山智浩 (映画評論家)=町山
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町山:神聖な場で、ときどきイスラム系の議員の人が議会に入る場合もちゃんとコーランに誓って始めるんで。つまり、もう絶対にこれは国っていうものと直結している神聖なるところだから、そんな下品なヤジであるとか、ケンカとかは、欧米の議会ではあり得ない世界ですよ。もともと国家っていうものは、王権神授説みたいのがありますけど、要するに、だれだかわからない全能の神がいて、イスラムもそうですけど、ユダヤもそうですけど、ほんとはそれが全世界の各国家を治めるべきなんだけれども、それが可能でないから人間がその神の権利をいただいて。

モーリー:委託されてね。

町山:委託されてやっているんだっていう考え方、国家論ですよね。それはユダヤ、キリスト、イスラム、全部そうですけども。だから、議会はほんとに神聖なんですよね(笑)。

モーリー:教会と同じぐらい。

町山:教会と同じなわけですね。たまたま神様がやっていないだけで、かわりにやっていますよって世界だから。でも、アジアはその感覚がゼロですからね。

モーリー:うーん、すごい。

町山:だから、いくらでも汚すんですけど。でも、ほんとはかわりに議会には天皇陛下がいらっしゃるんですけど、議会の中にあまり気にしている人がいないので(笑)。

モーリー:「神様は留守です」ってだれかが言った(笑)。そうか。

町山:やっぱ「天皇陛下の前で、お前、人をヤジるのか」っていうのはちょっと考えたほうがいいですよね。

モーリー:片手で手紙を渡した人がいた段階で決壊しちゃったような気もするんですけどね。だから、決壊っていう言葉を僕は自分で使ったんだけど、最近大雨がありましたけど、決壊している。ちょっとここ数日、危機感とともに感じた。僕はあまり世の中にそこまで深くコミットしない生き方をしてきたんですけど、今回は憂慮しましたね。まずいことが起きている気がする。しかも、両陣営にいる人たちがだんだんとエクストリームになって、自分の正義をそれぞれが信じて疑わなくなっているって感じ。

町山:今ドナルド・トランプが共和党では人気がトップですけども、民主党側はヒラリーといわれていますけど、ヒラリーの2番手っていうか、この間人気投票でヒラリーを抜いた候補もいるんですよ、民主党側で。それはバーニー・サンダースっていう候補なんですけども、バーモント州の上院議員なんですが、彼も民主党員じゃないんですよ。

モーリー:インディペンデント?

町山:インディペンデントです。彼は、自分は社会主義者だと言っている。

モーリー:(笑)。英労働党党首の新しくなったジェレミー・コービンみたいな、人民とともにあるGパンの人みたいな。

町山:そういう人です。もともとヒッピーの人で、その人が一時的に民主党のトップになったんで、共和党のトップが完全に右翼っていうか、ほんとにどうしようもないドナルド・トランプで、民主党側がものすごい左側の社会主義者のバーニー・サンダース。

モーリー:ハードレフト。

町山:はい、アメリカのトップはハードレフトとハードライトに分かれちゃったんですよ。

モーリー:これはひと言で言うと、ポピュリズムが浸透しているということでもあるんでしょうかね。

町山:全くそのとおりですね。

モーリー:そのポピュリズムの温床というのは、もちろんどの政治も、例えば日本も戦前とか明治維新のころから、いわゆるちょっとでも発言権があったり、表現の自由、集会の自由を認めた瞬間、そこには既にポピュリズムは登場するんですけど、アメリカでいかに宗教と政治とポピュリズムが、3色のソフトクリームをギュルみたいなふうになっていくかっていうのが、最初にご紹介する『ジーザス・キャンプ』ですよね。

町山:そうですね。

モーリー:アメリカの宗教分布みたいなことを、皆さんに最初に紹介しとくといいと思うんですけれども、アメリカはキリスト教8割にイスラムが5%で、あとは無宗教みたいな、そういうステレオタイプじゃないんだよね?

町山:キリスト教の中にいくつもありますからね。アメリカはもともとヨーロッパっていうか、イギリスから来たキリスト教徒たちが中心になっていったところなんですけども、その後にアメリカ独自の宗教っていうのが出てきたわけですね。バプティズムであるとか、いわゆる大覚醒運動っていうのがアメリカで何回も今まで起こっていまして。

モーリー:クリスチャン・リバイバル。

町山:クリスチャン・リバイバルが。それは完全にアメリカ独自の運動なんですけれども。その人たちが今人口的には一番多いですよね(笑)。

モーリー:なるほど。そうすると、最初によく薄くアメリカを学ぶと、「清教徒がイギリスから来ました」っていって、その清教徒が行った背景も実はどろどろなんだよね。

町山:どろどろですね。

モーリー:ぐちゃぐちゃ。内乱があって。それはアメリカ人は「都合よく」教わらない。

町山:そうですか(笑)。

モーリー:メイフラワー号でプリマス・ロック。

町山:きれいな話だけ聞くんですね。

モーリー:で、ノーブル・サベージことインディアン、高貴な野蛮人が助けてくれました。先住民が助けてくれました。それでサンクスギビングがあって七面鳥ですと。それで、急にボストン茶会事件ですよ。我々は理不尽なタックス、タクセイションに抵抗して、正義があって。それで、あのフィラデルフィア憲章で。それであっという間に1776年で戦争に勝って、真珠湾で日本を破ったみたいな(笑)。

町山:ほとんどはみんなピューリタンが、要するに、アメリカの一番北の上のほうに着いた人たちがアメリカをつくったというふうに、アメリカ人も一応学校では教えられるんですけど。

モーリー:共有されている神話ですよね。

町山:共有されているんですけど、実際南部の人たちは全然関係ないルートから来ているんですよ。

モーリー:私の父親の先祖がそっちのルートなんです。

町山:そうなんですか(笑)。

モーリー:ロバートソンって、スコットランドの名前なんです。

町山:そうなんですか。

モーリー:スコットランド王室が入植者を募って、入植団を何回か、満州みたいな感じで派遣したの。

町山:いわゆる、最初はアイルランドにいた?

モーリー:スコットランド?

町山:アイルランドの北部にいたひとたちですか?

モーリー:最初は、ロバートソンの一族はたしかサウスカロライナとジョージアのあたりに、たばことか茶畑で派遣して入っていって、一部はテキサスまで行きました。なんとその一族がさまざまな300年のリバイバルを経て、とっても遠い親戚がパット・ロバートソンです。何を隠そう(笑)。

町山:大物ですね。

モーリー:大物なの(笑)。

町山:これ出てるんじゃないの?そうなんですか。

モーリー:そうなの。とっても遠いけどね(笑)。

町山:だから、日本でもアメリカ人でもあまり見ないことにしているんですけど、その南のほうに入ってきた人たちは宗教的理由じゃなくて、まず最初に入ってきたのはお金目当てと、土地がなかった、貧乏だった、居場所がなかった人たち(笑)。

モーリー:そうそう(笑)。

町山:あと、じゃがいもがとれなくなって、じゃがいも飢饉とか、経済的理由がほとんどで南部に入っていっているんですけど。

モーリー:綿をつくっていたんですよね、プランテーションで。

町山:そうです。

モーリー:奴隷労働。

町山:だから、南部の人たちは全然宗教的な人たちじゃなかったんですけど。ところが、大覚醒運動、リバイバル運動が何回もあって、彼らはクリスチャンになったんですけど。

モーリー:きっかけは経済的な困窮とかですか?

町山:経済的な困窮です。完全に経済的な困窮で、具体的には南北戦争ですね。南北戦争で南部は経済的な基盤を破壊されたんで、みんなど貧乏になってしまったと。

モーリー:うちの親戚もたしか南部連合旗をときどき飾っていました(笑)。

町山:そうですか。

モーリー:神棚におもちを飾るような気軽さで、「奴隷制時代はよかった」みたいな、ちょっと斜めの。この前サウスカロライナで乱射事件が起きた後で、「これを撤去しましょう」ってオバマが言って撤去したのがありますよね。あれが普通にスーベニアとして出回っているんで、ロバートソン一族も全員じゃもちろんないですけど、一部の辺境にいる人はやっていますね。あと、バンパーステッカーで貼ってある。

町山:やっぱりそうなんですね。

モーリー:車の後ろに。あと、ヘビがとぐろを巻いて「おれを踏みつけるなよ」っていう「Don’t tread on me」って。

町山:「Don’t tread on me」、黄色い旗ですね。

モーリー:そうそう。あれも南部の旗ですよね。

町山:南部の旗になっちゃったですね。あれは独立戦争時の旗だったんですけども。

モーリー:そうだったんですか。

町山:イギリス政府に対して言っている旗だったんですけども。

モーリー:それがいつしか南部が北部に言う。

町山:いつしか南部の、連邦政府に対する反逆の旗にいつの間にかなっていったんですね。

モーリー:すごいな。アメリカっていうのを外から理解するときに、宗教マップとそこに強い影響を落としている歴史は南北戦争ですよね。

町山:南北戦争ですね。

モーリー:奴隷制の。

町山:はい。バプティズムっていうアメリカ独自の宗教が中心になっていったんですけど。

モーリー:最初のバプテスマだと思うんですけど、日本語ではよくバプテスマとか言っていますけど。

町山:バプテスマね。

モーリー:バプティズムはジョン・ザ・バプティストの川でイエスが浸かって洗礼を受けたんでしたっけ?

町山:はい、新約聖書に出てくる。それを一人一人の信者に対して行うという浸礼っていう儀式ですよね。

モーリー:川でやる場合もあるし、お風呂に水をためて、服を着たまま。

町山:はい(笑)。

モーリー:お風呂にこうやってずらっと入って、ダンクするんだよね。それで、ブクブク、別に溺れるとか、臨死体験とかじゃないんだけど、髪の毛とか普通にセットした女性がドレスを着たままこうやって入っていって、水でぐちゃぐちゃになりながらまた出てきて。あれは1回ですか?

町山:1回じゃないのかな。

モーリー:何かいろいろ言うの?もちろん儀式とか、イン・ザ・ネーム・オブ・ザ・ホーリー・スピリットとか。

町山:それはやっていますよね。西部劇を見ると、よく川でやっているシーンが出てきますよね。あと、禁酒法時代とか大恐慌時代の、ものすごくみんなが貧乏になっちゃったときにそれをやっているシーンとかがよく映画の中に出てきますけどね。

モーリー:そうすると、これはちょっともしかしたら短絡した考え方かもしれませんけど、推理として、アメリカで何回かとっても大きな大覚醒の波が来たのは、決まって何か経済的にきついときに。

町山:失業者が増えたときですね(笑)。

モーリー:失業者が増える、「よし、宗教だ」(笑)。

町山:そうなんですよ。

モーリー:「よし、宗教だ」で終わるならいいのね。ところが、何が大覚醒、何がリバイバルなのかっていうと、今はそもそもこんなに貧乏になったのは、国と政治が間違っていて、クライスト、キリストから離れたから、宗教と政治を分離したからこんなことになったんだ、アメリカはソ連になめられている、その他ですよね。

町山:そうなんです。南部と中西部の人たちは、いわゆる全般的に、バプティズムだけじゃなくていくつか分かれているんで、それも引っくるめて福音派と呼んでいるんですね。エヴァンジェリカルな人々と呼んでいて、エヴァンジェリカルな人々っていうのは、具体的にはバイブル、聖書を字義どおりに、書いてあることが全部事実と考えるという人たち(笑)。

モーリー:そうすると、一番最初によくぶつかってくるのが進化論。

町山:そうです。

モーリー:ダーウィンは最近の考え方ですから、何億年かかけて適者生存、サバイバル・オブ・ザ・フィッテストが何を言っているんだと、昔は人間も恐竜も並んでエデンの園にいたんだぞみたいなテーマパークがあったりしますよね(笑)。

町山:行きました(笑)。

モーリー:行った(笑)?

町山:シンシナティにあるんですけどね、あっちのほうに。でも、それはおもしろかったですよ。来ている人はアーミッシュの人がかなり来ていて。

モーリー:アーミッシュ?

町山:アーミッシュがバスに乗って来ていましたね。

モーリー:でも、アーミッシュって、バスじゃなくて荷車。

町山:馬車に乗るんですけど、バスに乗るのはいいんですよ。

モーリー:いいんだ。特例?

町山:自分が運転しないから。

モーリー:ああ。

町山:バスをチャーターして乗ってくるんですよ。ぞろぞろとアーミッシュの人たちが降りてきますよ。

モーリー:肉は殺生だけど、ちゃんとお祈りを捧げて殺したのはオッケーみたいな、そういう抜け穴みたいな感じなのかな。アーミッシュがバス。それとも違うの?

町山:自分が運転しなければいいっていうことみたいなんですよ。ただ、実際は、彼らは結構運転できるんですよ。

モーリー:それは(笑)?

町山:それは要するに、成人するとき、16歳になるときに、アーミッシュになるか、アーミッシュ以外の人になるかっていう選ぶ期間っていうのがあって、選ぶ期間っていうのは長さが決まっていなくて、自分が決めたときまでが選ぶ期間なんですよ、試用期間なんですよ。そのときは自動車の免許を彼らは遊ぶためにとるんですよ。セックス、ドラッグ、全部オッケーなんですよ。殺人以外、ほとんどオッケー。ただ、それはアーミッシュの村がオッケーって言っているだけなんで、地元の警察は怒り狂っていますね。

モーリー:すごい。アーミッシュってすぐにわからない人のために説明すると、ペンシルバニア州とか。

町山:インディアナ州ですね。

モーリー:インディアナ州のかなり田舎にコルホーズっていうか。

町山:自給自足農業をやって暮らしている村があるんですよ。

モーリー:しかも、200年前の格好をして。

町山:1700年代だから、200年以上前かな(笑)。

モーリー:その格好をしているんだね。

町山:そうです。

モーリー:男の人たちはひげを伸ばしている人がいて。

町山:結婚した人は、全員男はひげを伸ばさなきゃいけないんですよ。

モーリー:戒律がいろいろあるんですね。

町山:戒律がすごく厳しいんです。あと、ボタンがダメですね。服のボタンとか、こういう胸ポケットがダメなんですよ。飾りだから。虚飾だって。要するに、ぜいたくだってことで全部ホックなんですよね。

モーリー:贅沢を排除するのは、やっぱり信仰でそれだけ神に近づくためとか?

町山:そうなんですよ。だから、カルビニズムってやつですね。スイスのカルバンが始めた、とにかく聖書に従って生きて、一生懸命功徳を積めば天国に行けるという考え方。

モーリー:逆に言うと、今のアーミッシュの人たちを見ると、何百年か前のスイスとかではそうだったってことですか?そういう人たちがいたってことですよね。

町山:だから、彼らの言葉も一応ドイツ語なんですよ。

モーリー:ほんと?

町山:そうなんですよ。

モーリー:ごめん、僕、アメリカを全然わかっていないわ。

町山:彼らは英語をしゃべらないですよ。

モーリー:いつの時代のドイツ語?

町山:だから、それこそ300年ぐらい前のドイツ語をそのまま使って。

モーリー:今のドイツ人と話が通じない?

町山:たぶん通じないんじゃないのかな。かなり違うと思いますよ。

モーリー:オーマイガー。ちょっとだんだん、300年前、日本は江戸第何代将軍?

町山:そんなもんですよね、江戸時代ですよね。江戸時代の生き方を貫いているんですよ。ただ、インチキが結構あって、自家発電だといいのかな、電気を使っても。

モーリー:コージェネ(※コージェネレーション:燃料電池や都市ガスなどを利用した小型発電システムをこの場合は指す)。

町山:そう。自家発電で、ファミコンとかはやっている人がいる。結構抜け道はあるんですよ(笑)。

モーリー:「ハイブリッド車は下向きのときはガソリンを食わないで勝手にチャージしているからいい」みたいな感じ?

町山:いいみたいな(笑)。

モーリー:「上りはいいけど、下りはハンドルかわれ」とか。

町山:そうそう。ただ、絶対ダメなのは避雷針なんですよ。

モーリー:避雷針がダメ?

町山:避雷針はアーミッシュは絶対に許されないんですよ。どうしてかっていうと、避雷針は雷をよけるじゃないですか。キリスト教の正しい考え方では、雷っていうのは神の裁きだから、それをよけてはいけない。

モーリー:歯を食いしばって受けなきゃいけない(笑)。

町山:だから、もう雷に打たれて死んだら、それは神の裁きだから受けなきゃいけないんで、避雷針は神の裁きをよけるから避雷針が禁じられているんです。

モーリー:すっげー。それで、クエーカーもいるし、今はなきシェイカー、要はコロニーですよね。どっちかっていうと農村で集合体をつくっていく、都会にいない人たち。あとは、モルモン教。

町山:モルモン教がありますね。

モーリー:モルモンもかなり特別な経緯で。アメリカで始まった?

町山:アメリカで始まった宗教ですけども、アメリカ政府と激しい戦争を繰り返していましたよね。昔、アメリカ人に対する虐殺までモルモン教徒はやっていますよね。

モーリー:すごい。今はユタ州が結構強い?

町山:ユタ州になるときは、ユタは要するに外国だったらモルモン教徒の領土で、アメリカ軍とずっと戦争をしていて。

モーリー:じゃあ、アメリカ合衆国、ユタ。

町山:ずっとアメリカ合衆国対ユタ国だったんですよ。戦争をしていたんですよ。激しい戦闘を。

モーリー:すごい。きょう僕、中1のアメリカ史、副読本1って感じの気分で。きょうは1学期ですね。すばらしいです。

町山:いえいえ(笑)。

モーリー:これだけでこの番組が完結したような気がするけど、もっとすごいコンテンツがあるんだよね。

町山:そんなことないですけどね。

モーリー:これから見ようとしている作品、『ジーザス・キャンプ』というドキュメンタリーなんですけども、これはどんな作品なんですか?

町山:これはペンテコステ派という福音派の中の1ジャンルがあるんですけども、そのペンテコステ派の牧師の人たちが子どもたちに正しいキリスト教、キリスト教原理主義を教えるための子どもキャンプを開いているんですけども、そこにドキュメンタリー作家たちがカメラを持ち込んで、どんなふうな形で子どもたちに宗教的な洗脳を行っているかっていうのを暴いてしまったドキュメンタリーですね。

モーリー:早速、ここでダイジェストVTRがあるのでちょっと見てみましょう。ご覧ください。

(VTR)(0:37:50~0:40:55)

モーリー:すごいですね。

町山:ディテールがすごいですね。これはブッシュ大統領のころのドキュメンタリーなんですけど、そのころブッシュ大統領が同性婚、Same-sex marriageってありますよね。それを憲法で禁止しようって言っていたんですよ。要するに、男と男、女と女の結婚に関して、アメリカ合衆国憲法で禁止しようみたいなことを言っていたんで、彼らは「ブッシュ大統領は福音派の正しい大統領だ。みんなで拝みましょう」って子どもたちに拝ませているんですよ、薬屋の前にあるようなブッシュ大統領の立て看を。

モーリー:今夜20時からこれが流れますから、ぜひ見てください。すごい(笑)。

町山:あと、これは子どもたちが神様を拝みながら、「わわわわ」とか言っているんですけど。

モーリー:そう、ペンテコステルのspeaking in tonguesですよね。舌が勝手に動いて、「ベラベラベラベラ」って(笑)。

町山:そうそう。異言というんですけどね。

モーリー:異言?

町山:神がかりで、神様がついて。

モーリー:異なる言葉?

町山:そう、異なる言葉を言っていると。

モーリー:それを日本語に翻訳した人は混沌で困っちゃう感じですね。日本にもあるんですか?ものがとりついて。

町山:ありますけど。

モーリー:神様の声を。

町山:新興宗教にいっぱいありますね(笑)。

モーリー:新興宗教、例えば、大本、明治に出口なおっていうおばあちゃんが、文字が読めないはずなのに筆を握ってガーッとやると、そこに神の言葉があった。御筆先。

町山:御筆先ですね。同じようなものですね。

モーリー:それを教祖が1人でやっているんじゃなくて。

町山:信者全員でやるんです。

モーリー:全員が一斉に「わわわわ」ってなると。もう一つは、要は異言を「ベラベラベラベラ」ってしゃべるんだけど、同時にちょっと今映っていましたけど、床に寝っ転がって「アウアウ」、あの「アウアウ」っていうのはどういう現象なんでしょう。

町山:あれは神様がついてけいれんを起こしている状態ですよね。あれは結構まずいですよね(笑)。

モーリー:あはは(笑)。

町山:ぎりぎりのものだと思いますけど(笑)。

モーリー:ぎりぎり。トランス状態っていうのは、やっぱり世界の宗教にあるかな。

町山:宗教的エクスタシー。エクスタシーって言葉自体が本来宗教的な、法悦の状態ですからね。カトリックでもありますし。

モーリー:『スーパー・ハイ・ミー』にちょっとだけ引っかかるんですけど、もともとエクスタシーの語源近くの古代ギリシャには、さまざまな、カルトっていう言葉の語源であるcultus、カルトがいっぱいあって、それぞれの結社の中で大体ナチュラルな薬物を蒸留して、エレウシスの秘儀とか、いわゆるLSDの原料が入って大変な死を経験する秘儀があって、錯乱して発狂しているのをみんなで押さえて、イニシエーションっていうのがあったわけですよね。

町山:はい。神殿とかで巫女さんたちがそういう薬物を煙で吸わせてみたいなことがあったらしいですけどね。

モーリー:だから、要はそういう薬物っていうのは、薬物本来が目的じゃなくて、その酩酊によって異常な意識に持っていって、知覚の扉を開き、神とつながりたいわけじゃない。例えば、シーア派の人たちがイラクに巡礼をして、やっぱり外から見ると怖い、こうやって自分をむちで打って血だらけになる。

町山:あれはカトリックでもやりますね。

モーリー:カトリックも血だらけをやるの?

町山:カトリックはロープみたいなので自分を打つやつがあるじゃないですか。カトリックのモンクの人たちが修道院で。あれは結構世界中に、それこそ日本でも修験道とかであるから。あと、アメリカ先住民の人たちが好きじゃないですか、自分を拷問する。

モーリー:これ?

町山:そうです、サンダンスとか。

モーリー:ここにぐわっと刺して、胸の、あれは肉まで刺すの?皮?

町山:胸の肉を釣り針みたいなやつで刺して、皮で。

モーリー:かぎ針でぐわっていくつも刺して。

町山:刺して、ぶら下げるんですよ。

モーリー:ぶら下がるんですよ、こうやって体重を。僕なんかオーバーウェイトだから絶対ぶちってなるよね。もうちょっと痩せてちゃんと絞ってからやりなさいみたいな感じで、怖いっす。

町山:あれは皮をこうやって釣り針みたいな針で刺して、ぶら下げるのもあるんですけど、木の枝みたいなものにつけるやつもあるんですよ。あれはぶちっとちぎれるとこまで引っ張るんですよ。

モーリー:ごめん、ちょっとやばい。おれ、そういうのやばいんですよ。

町山:あれはアメリカ先住民のやつですね。

モーリー:何族って決まっているの?

町山:いや、いろんな部族ごとにありますよね。やり方が違うんですよ。

モーリー:やったやつはえらいんですよね。

町山:そう。もっとひどいのがありますよ。サウナがもともと、アメリカ先住民にとってのサウナっていうのは我慢大会ですから。要するに、サウナの建物をつくって、そこでもってがんがんやって、完全に頭がもうろうとした状態で神を見るみたいなことで、サウナってそんな地獄みたいな危ないものだったのかと思うけど、先住民はそうやってやっていますよね(笑)。だから、みんな同じですよね。痛みとか、そういったもので脳を異常な状態に持っていく。

モーリー:極端な状態ですよね。ところが、不思議なのは大人がやると、苦しみだったり、やけどとか、薬物とか、伝統的な気がするわけ。ところが、この子どもたちは純粋に暗示っていう言葉もすごく薄っぺらで、そういう呼び方もしたくないんだけど、何かがそこで起きて伝染するようにわーっとくるわけですよね。

町山:あれはいわゆる集団ヒステリーでしょうね。けいれんしているのがやばいって言ったのは、あの手の集団ヒステリーって、ヨーロッパで中世期に大量に起こっているじゃないですか。いろんな修道院とかで集団ヒステリー事件が起こって。一番有名なのはフランスで起こったルイ14世のときかな、ルーダンの事件っていうのは、1つの修道院に入っていた尼さんたち全員がああいうけいれんを起こして、悪魔とセックスしたって言って、悪魔ばらいの儀式をやったらエロかったんで、お客さんがいっぱい見に来て観光名物になったっていう(笑)。

モーリー:あはは(笑)。

町山:だって、何をしたかっていうと、尼さんたちを浣腸したりしたんですよ。お客さんが見ている前で。

モーリー:浣腸をすると、デビルっていうか。

町山:悪魔が出てくるとかね。

モーリー:うんこだけじゃなくてね(笑)。

町山:そう(笑)。

(つづく)

・[ニコニコニュース]「町山智浩×モーリー・ロバートソン『アメリカってヤバすぎ?超大国の裏側がわかるドキュメンタリー3選』」全文書き起こし(1)~(5)
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◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]町山智浩×モーリー・ロバートソン「アメリカってヤバすぎ?超大国の裏側がわかるドキュメンタリー3選」 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv234564782?po=newsinfoseek&ref=news
・ニコニコドキュメンタリー - 公式サイト
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