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ニコニコ生放送「これでキマリ!世界のマリファナ事情~解禁の流れはどこへ向かう?~」(2015年9月20日放送)全文書き起こし(1)

ニコニコニュース / 2015年10月18日 12時30分

ニコニコニュース

 9月の「ニコニコドキュメンタリー」は、アメリカ在住の映画評論家・町山智浩氏が選んだ、超大国アメリカの裏側がわかる過激なドキュメンタリー作品を特集。その第3段「スーパー・ハイ・ミー~30日間吸いまくり人体実験~」が2015年9月20日(土)20時から、ニコニコ生放送で配信されました。

 本ニュースでは、生放送後におこなわれた作品をテーマにしたトーク番組の内容を、以下の通り全文書き起こして紹介します。

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※出演者=話者表記
モーリー・ロバートソン (ミュージシャン/ジャーナリスト)=モーリー
武田邦彦 (中部大学総合工学研究所特任教授)=武田
長吉秀夫 (作家)=長吉
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モーリー:ニコニコ生放送をご覧の皆様、こんばんは。モーリー・ロバートソンです。この日が来るのを楽しみにしておりました。「本当のことを知りたい」という気持ちに応えるために、ニコニコが総力を結集してこの夏スタートさせた「ニコニコドキュメンタリー」。このプロジェクトの一環で、先ほどまでニコニコではマリファナを題材としたドキュメンタリー映画『スーパー・ハイ・ミー』を上映していました。皆さん、ご覧になっていただきましたでしょうか。「ガンギマリ」という言葉をそこに書いているところを見ると、たぶんご覧になったのではないかと思います。「ガンギマリ」の「ガン」が何なのかは、僕はよくわかりませんけれども。

 この映画はコメディアンのダグ・ベンソンが30日間毎日マリファナを吸い続けることで、体にどのような影響が出るか検証したという作品です。作品の舞台となったカリフォルニア州では、もう日本でいうと、そろそろ9年前、1996年から医療目的でのマリファナの販売・所持が合法化され、それに追従する形でほかの州にもマリファナ解禁の流れが拡大していきました。この映画が公開された2007年からもう8年たっています。現在では、アメリカはもとより、世界中でマリファナの合法化が大きく進み、マリファナを取り巻く環境は大きく変わりつつあります。

今夜は、そんな日本ではあまり知られていないマリファナの最新事情について詳しく読み解いていこうと思います。番組では、ユーザーの皆さんからメールを募集しています。大麻、マリファナに関する素朴な疑問、映画をご覧になっての感想、疑問点など、なんでも結構なので、番組ページ内のメールフォームからお届けくださいませ。「サンプルの配付はありますか?」、たぶんきょうはありません。再来年ぐらいにはどうなっているかわかりません。それでは、出演者の皆様をご紹介しましょう。まずは、中部大学総合工学研究所特任教授で、『大麻ヒステリー』などの著者でいらっしゃいます、武田邦彦さんです。よろしくお願いします。

武田:よろしくお願いします。

モーリー:武田さんの活動を知っている方はたくさんいらっしゃるんですけども、きょうはたぶん20歳未満の人もいるので、とりあえず自己紹介をいただくとしたら。

武田:特に20歳の人で私を知っているっていったら、さんまの『ホンマでっか!?』で見ている人が多いんじゃないかと思いますけど。

モーリー:なるほど。

武田:はい。そういうバラエティ番組に出ております(笑)。

モーリー:バラエティ番組にも出ていらっしゃる武田さんです(笑)。続いて、作家で『ドラッグの品格』などの著者でいらっしゃいます長吉秀夫さんです。どうも、こんばんは。

長吉:こんばんは。

モーリー:ニコニコ動画に出演されるのは初めてだと思いますけれども。

長吉:初めてですね。

モーリー:今、目の前に、お話をされて数秒のタイムラグで文字が流れているんですけど、どんな感じですか?

長吉:いろんなことをみんなが書いていて、おもしろいですね(笑)。

モーリー:これが賛成にまわると、とても読んでいて気持ちいいんですけれども、民衆を敵にまわしたときが怖いんですね。でも、めげずにいきましょう。

長吉:ボコボコですね。

モーリー:まずは先ほどまでニコニコ生放送で上映していました『スーパー・ハイ・ミー』なのですが、お二人がご覧になった感想、印象に残ったシーンなどを伺っていきたいと思います。まずは、武田さん、今の『スーパー・ハイ・ミー』をご覧になって、どんな感じでしたか?

武田:せっかくこのニコ生で放送して、言うのは悪いんですけど、つまらない。

モーリー:つまらない。

武田:なんの意味もない。

モーリー:なんの意味もない。

武田:なんの意味もないものでしたね。

モーリー:そうですか。

武田:あんなレベルの低いやつを流すっていうこと自体が、私はそう思います。

モーリー:酷評をいただきました(笑)。

武田:私の考えですよ。酷評じゃなくて普通に言って。もう少し酷評っていったら、もっとひどいことを言ってもいいんですけど。

モーリー:そうですか。どこが一番つまらなかったですか(笑)?

武田:大麻の薬効っていうのは、大麻課税法っていうのがアメリカで1920年代にできるころから、もちろん課税法をつくるためには大麻の薬効を随分調べます。それから、ニューヨーク市長が「おかしい」って言って、1940年代にもう1回大規模調査が行われます。それから、1970年代、ニクソン大統領が今度「禁止しよう」って言うときにも、大規模調査をフィラデルフィア大学の学長さんが指揮をとってやります。そのときに、今のテレビなんか全然、データにもなりませんよ。人を煽るには少し役立つかもしれないかってぐらいでしたね。

モーリー:なるほど。

武田:今わかっている大麻の薬効とか影響に比べ、小学生レベルだから。

モーリー:なるほど。サイエンスが足りない?

武田:サイエンスが足りないっちゅうか、サイエンスの間違った印象を与える映画でしたね。

モーリー:武田さんから見ると、これはプロパガンダ?

武田:プロパガンダっていうか、物事には価値のあるもの、価値のないものってありますよ。

モーリー:はい(笑)。

武田:そこら辺に転がっている石ころもあれば、ダイヤモンドもあると。できるだけ放送に出すなら、ダイヤモンドを出さないで、石ころを出してどうするのと(笑)。

モーリー:わかりました。辛辣なコメントをいただきました(笑)。

武田:いや、辛辣じゃありませんよ。これは僕の普通の言い方です(笑)。

モーリー:普通の言い方(笑)。長吉さん、いかがでした?

長吉:いや、やっぱり強力なんですけれども、30日間、結局、やめても吸ってもなんの変わりもないということなので、改めて大麻っていうのは害があるとか、「ダメ。ゼッタイ。」っていうものではないんだなっていうのは、これでよくわかると思うんですよ。それと、後半のところでデニス・ペロンさんが出てくるんですけど、そこでの市民運動の動き。

モーリー:デニス・ペロンさんは活動家ですか?

長吉:活動家ですよね。もともとヒッピームーブメントの真ん中にいた人なんですけども、医療大麻のことをサンフランシスコで動き始めた人で、市民活動をしっかりやって、デモンストレーションもちゃんとやって、医療大麻をこうやってここまで広めていった人なんで、なかなか興味深かったですね。

モーリー:映画自体は?

長吉:映画自体は、先生おっしゃるとおりですけども、基本的には(笑)。

モーリー:そうなんだ。残念ですね(笑)。私は、実はこれが最初に公開されたときにちょっと見まして、きょう番組直前までもう1回見ていたんですけれども、英語のとても素早いジョークが、つまり、ドキュメンタリーとしてどうかっていうことより、ジョークはとてもおもしろかったですね。たぶん日本語の字幕版は見ていないんですけれども、たぶん字幕にできなかった部分も多かったということで。

長吉:そっちのほうなんでしょうね。

モーリー:少し下駄をはかせてあげたい気分にはなっておりますが(笑)。では、そうやってちょっとせっかくドワンゴが選んだコンテンツなので、多少ヨイショしないとまずいかな、みたいな。

(一同笑)

モーリー:そもそも日本にお住まいの皆様にとって、マリファナ、大麻というものはなじみが薄いものかと思います。そこで、まずは日本の、なんでダメなのかっていう背景ましょう。グラフをいろいろ用意しました。(http://live.nicovideo.jp/watch/lv234565160?po=newsinfoseek&ref=news#10:34)大麻取締法総則第1条、この法律で「大麻とは、大麻草及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品並びに大麻草の種子及びその製品を除く」って。長吉さん、茎とか、種子とか、なんでわざわざ言わなきゃいけないんでしょうか?

長吉:基本的には、ここの部分っていうのは、茎ということに関しては産業用ってことですよね。それと薬効はないっていうことですよね。THCとか、カンナビノイドはここには含まれていないのでということなんだと思うんですけど、ここら辺はなかなかあいまいな法律なんで。

モーリー:もう既に。わかりました。読み進めましょう。第2条、「この法律で「大麻取扱者」とは、大麻栽培者及び大麻研究者をいう」、第3条、「大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため」、あるいは、吉祥寺のガード下で「使用してはならない」ということですよね。

(一同笑)

モーリー:つまり、日本の法律では大麻取扱者と指定された人以外は、大麻を所持するだけで所持罪になるということだと思うんですが、その所持などの罪に対してどういう罰則があるのかをちょっと見てみましょうか。実は厳しいです。(http://live.nicovideo.jp/watch/lv234565160?po=newsinfoseek&ref=news#11:44)第24条です。「大麻を、みだりに、栽培し、本邦」、日本国内ですね、「若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、7年以下の懲役に処する」、第24条の2「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する」ということで、この24条の2は譲渡ですか。

長吉:はい。

モーリー:なるほど。私が子どものころからたびたび日本に住んでいるんですけど、日本の法律で一番わからない言葉がありまして、「みだりに」。

長吉:「みだりに」ですね(笑)。

モーリー:何これ?

長吉:「みだりに」っていうのは、よくこれが争点になるんですけども、「考えなしにやってしまうということはいけませんよ」ということなんだと思うんですけどね。

モーリー:熟慮した末に、さっきの『スーパー・ハイ・ミー』を見て譲渡したら、それも「みだり」なんですか?

長吉:ここに関しては「みだり」って言っていますけど、この争点はなんの意味もなくて、裁判をやっていてもここのところは意味を言ってもあまり意味がないですよね。

モーリー:なるほど。武田さん、この法律の条文をご覧になって、2015年の今どう思われますか?

武田:もともと大麻っていうのは、アメリカでも大麻っていうのは麻薬でないので、大麻が最初に、1920年代にできたときには、大麻課税法、税金を払えば吸ってもいいよとそういうふうになりました。これはその前に禁酒法っていうのがあって、その取締官が禁酒法の禁止によって大量に解雇されたので、その解雇された取締官の再就職先として大麻課税法っていうのができたんですね。

モーリー:受け皿をつくった?

武田:受け皿をつくった。ですから、アメリカも別に大麻が麻薬だと思ったことではないんですね。日本ではもともと、日本がつくった大麻取締法っていうのは1個もなくて、GHQっていうのが日本を占領しましたね。

モーリー:1945年。

武田:そうですね。1945年に日本は占領状態で、サンフランシスコ平和条約が結ばれる1951年まで6年間、アメリカの施政下にあったんですけど、その途中の1948年に大麻法ができて、日本人は大麻を吸いませんからいらないんですけど、黄色人種で大麻を吸うっていうのは非常に珍しいんですね。

モーリー:そうなんですか。

武田:そうです。中国はアヘンを吸いますね。それから、ほかの国は、インドはアーリア語族だからイギリス系ですけど、ちょっと吸いますけど。黄色人種、特に日本の場合は、大麻は2000年の歴史があるんですけども、だれも吸わなかったんで麻薬としては認識されていなかったっていうのが正しいでしょうね。

モーリー:では、48年にGHQの指令で大麻取締法がつくられたという流れだった。

武田:そうです。1948年にできました。

モーリー:米兵が吸うのを嫌ったからってこと?

武田:基本的には米兵が吸うのを止めるために日本国内にそういう法令をつくったといわれますけども、1951年のサンフランシスコ平和条約のときに、占領中の法律の全部の見直しがありまして、そのときに生かしておこうじゃないかと、研究も何もしないけど、できたものはいいやと言って認めました。

モーリー:別に規制の意味も大して実感できないから。

武田:日本にはデータがありませんので。

モーリー:そうすると、法律をただ放置して、意味のない状態で半世紀以上。

武田:そうですね。日本には麻という名前のついた、例えば首相に麻生さんっています。あれは「大麻の生えているところ」って意味ですね。だから、首相でもそのぐらいですから(笑)。

モーリー:だから、ああいう財政にしたのかなとかね(笑)。

(一同笑)

武田:そういう感じがありますね(笑)。

モーリー:なるほど。

武田:ですから、そういうことで、もともと間違ったところがスタートになっております(笑)。

モーリー:わかりました。それを受けて、長吉さん。僕の周りでも大麻で捕まった、ちょっとふらふらした人がいっぱいいます。主に非正規の仕事に就いている人たちなんですけれども。

長吉:残念ですよね。

モーリー:そうですね。電通とかに行くともっと上の、もっと怖いもの。それはそれで。そして、捕まった後で皆さん決まって「法律が悪い」って言うんですよ。裁判に行ったときに「法律が悪い」って言うと、裁判官に「反省していない」っていうので刑を上乗せされるという、妙なループが生じているんですけれども、日本の大麻取締法の運用の仕方っていうのはどうなんですか?

長吉:いや、法律が悪いですよ。法律が悪いし、運用の仕方もめちゃくちゃだと思いますよね。さっき先生が言ったように、結局GHQがそのまま持ってきたものを、なんの検証もしないで今まで70年近くあるわけですよね。大麻をきっちりどういうものか、どういう物質なのかっていうことを国が検証していないんですよ。

モーリー:研究しちゃいけないから?

長吉:研究しちゃいけないですよね。研究していけないわけではないんだけども、国では率先しては研究していないです。

モーリー:今もう1回整理しますと、とりあえず研究してはいけない、研究しないからデータがない、データがないからいいか悪いかわからない、だから法律は変えられない、だから研究できない。これはグルグル回っていませんか?

長吉:研究してはいけないことではないんです。天然のカンナビノイドっていうのが研究材料としてはあるんですけども、日本ではなぜかそれをやっていないで、合成カンナビノイド、いわゆる麻の成分をカンナビノイドっていいますけど、それの合成のカンナビノイドを研究しているっていうのがほぼ今の状況で。実際のハーブとしてというか、植物としての麻の効能っていうのは研究していないですね。

モーリー:そうすると、武田さん、よくある、言霊に近いのかもしれないけど、タブーの領域に入れてしまったんでしょうか?

武田:人間っていうのは割合と合理的にものを考えるほうで、非合理的な法律っていうのは、やっぱり。法律は守らなきゃいけないですよ、僕は法律を守る主義で、「悪法も法なり」。

モーリー:ソクラテス。

武田:はい、ソクラテス。法律を変えてから大麻は取り扱っていけと。法律を変える前に取り扱うのはいけないっていう僕の考えですが、だけども、みんながなんで法律がおかしいって言っているかっていったら、その中心は、大麻が麻薬であるとかそういうんじゃなくて、もともと考えが全然おかしいんですね。大麻っていうのはこう書くんです。(http://live.nicovideo.jp/watch/lv234565160?po=newsinfoseek&ref=news#17:50)テレビでちょっと、カメラに見せますと、「大きい麻」。これは「麻」っていう字なんですよ。あなたは日本語がうまいから漢字もわかります?

モーリー:わかります(笑)。

(一同笑)

武田:麻薬っていうのは、こういうふうに書くんです。麻薬の「ま」っていう字が「麻」という字じゃないんです。これは「痳れる」っていう字です。これは「痳れる」、こっちは「麻」、こっちは植物。麻薬っていうのは「痳れる薬」をもって「痳薬」というんです。

モーリー:これは、当用漢字としては?

武田:これは戦後、漢字を簡単にするんで、これは似ているからもうこっちにしようっていうんで、こっちになったんですよ。

モーリー:その結果で、麻というハーブが「痳れる」ほうの麻薬へ四捨五入されてしまった。

武田:そう、四捨五入されちゃった。

モーリー:四捨五入っていう日本語は知っている。

(一同笑)

武田:このときにおもしろい話は、GHQから「大麻を規制しろ」ってきたの。当時林さんっていうのが、後に法制局長になった、「日本は今まで2000年間、大麻なんて規制したことがない。そこら辺に全部生えていた。何を言っているの」って、彼の語録が残っていますよ。「アメリカ人は漢字が読めないから、大麻の「ま」は「麻」だよと、こっちは「痳れる」だよと、それを間違って言ってきたんだから、お前ちょっとGHQに言って直してこい」って言ったんですよ。そして、GHQに言ったら「こっちだ」と。だから、「あれ、大麻なんて規制するの?」って、日本の法制局は、そのとき占領されているから、もうしょうがないと規制に踏み切ったわけです。ですから、もともと大麻には成分によって麻薬性のあるものとないものがあるんですよ。それで、植物を規制した法律はないんですよ。だって、植物を規制されたって規制された植物は困っちゃいますよ。ただ生えているだけだから。

(一同笑)

モーリー:北海道で自生していますよね。

武田:それで、大麻の中には、日本で栽培される大麻はほとんどそうなんですけど、麻薬性はないんですよ。インドとか、南のほうで採れるやつが麻薬成分が多いんですね。ですから、例えばヨーロッパで吸っているものは主にインドとか、そういう南の国から輸入された麻薬成分の多いやつだから、白人はみんな大麻は麻薬成分が多いと思っている。ところが、日本で自然に育つ大麻っていうのは、麻薬成分が少ないから、そうすると麻薬成分がゼロっていう大麻が結構あるんですよ。麻薬成分ゼロ、名前は大麻。例えば、ケシっていうのはアヘンの原料です。ケシの花。だけど、ヒナギクとか、アイランドポピーって全部ケシですけど、ケシを規制している国なんかないんですよ。ケシは花だから。だって、花を規制するってバカらしいじゃないですか。だから、ケシの中のアヘンを規制するんですよ。ところが、大麻だけはバカくさくって、これは本当バカくさいんだけど、植物を規制しているんですよ。

モーリー:その植物をもともと規制しようっていう発想はアメリカの政府が持っていた?

武田:そうそう、アメリカの政府は、実はもともとインドの大麻しかなかった。だから、大麻っていうのはもう麻薬性のある強いものしかないと思っていた。ないと思っていて、さっきの禁酒法のいきさつがあって、大麻ぐらい課税しておこうかと課税になったわけだ。だから、薬効で禁止されたわけじゃないんです。その後2回の見直しがありましたけど、結局はアメリカの大麻っていうのは、日本からいったことは1回もないんですよ。日本の大麻っていうのは、もともとは麻薬じゃないんですよ。だから、ビールを飲んだら、飲酒運転になりますかね。ビールを飲んだら飲酒運転になる?

モーリー:ビールを飲んだだけじゃならないですね。

武田:アルコールの入っているビールを飲めば飲酒運転になるけど、ノンアルコールのビールを飲んで飲酒運転で捕まるってことはあります?

モーリー:それはないですよね。

武田:大麻はそれがあるんですよ。麻薬のない大麻を育てても捕まっちゃうんですよ(笑)。

モーリー:なるほど。長吉さん、このあたり、かなり論理矛盾を武田さんが指摘されているわけなんですけど、この論理矛盾に関して、日本のそういう司法の中でこれを吟味しようという声が上がったことは70年の間で1回でもあるんですか?

長吉:最近になってやっと出てきてはいるんですね。今先生のお話の中でもちょっといろいろと、これが事実的にはどうなのかっていうこともあるんですが、実際にアメリカが規制したのっていうのは、カンナビス・サティバ・エルっていう、繊維を主に採るものなんですね。もちろんこれもTHCは入っています。だけど、先生がおっしゃるのは、そのカンナビス・インディカという、もっと強い薬効のものなんですけども。実際に国際条約とかで規制しているのは、カンナビス・サティバ・エルなんですよ。それはなぜかっていうのが、いまだにわからないっていうことですよね。だから、ここで産業用の繊維をその当時規制したんじゃないかっていう話もありますし、石油産業とも拮抗するということで。

モーリー:なるほど。別の理由、経済的な理由とか。

長吉:はい。プラス、禁酒法がなくなるためにそれにスライドさせて、役人の食いぶちを多くとらせるために。

モーリー:お役所の都合でつくり出した?

長吉:というようなこともありますよね。

モーリー:なるほど。ということで、不可解なまでに日本の。

武田:今の大麻の規制は石油産業がやったんじゃないかっていう、うわさがあるわけ。どうしてそんなのが出てくるかっていうと、全然麻薬成分を含まない大麻も十把一絡げに規制しているから、その理由は何だっていうことで出てくるんですね。ですから、法律が矛盾していることは当然なんです。矛盾している法律だから、いろいろ抵抗もするし、守られないし、そういういろんなうわさも出てくるっていうことで、やっぱりまずは本当に大麻が麻薬なのかと、それから麻薬の程度ってどのくらいなのか。産業用大麻とか、薬効のある大麻とかどうするかということを合理的にやらないと、騒ぎは収まりません。

モーリー:なるほど。そして、まさに武田さんが指摘されたように、合理的というのと、やはり各国、先進国を含めなんですけど、いわゆるセンチメント、情念というのかな、情緒的なものがあって、怖いと1回国民が思っているものを「いや、こういう理由で怖くないよ」って言われても、信じないと。だから、政治の現場になってくると、その駆け引きが大事になってくるわけで、オランダはどうしたかといいますと、これまた宙ぶらりんなんですけれども、非犯罪化という政策をとっておりますが、それを紹介いたしましょう。
オランダの非犯罪化政策というものがあります。ハード・ドラッグ、ソフト・ドラッグの概念、ヘロインなどの麻薬の取り締まりについて、ハーム・リダクションの概念などに今から入っていこうと思うんですけれども、オランダなんですが、コーヒーショップ、ドトールとかベローチェみたいなコーヒーショップなんですけれども、コーヒー以外のものが出てくる、大麻が出てくるコーヒーショップと呼ばれる政府公認の販売店、これがポイントです。政府が公認しています。その販売店で大麻を購入できます。そして、少量の所持と、決められた場所での使用は罪に問われない。ここがポイントなんですけれども、網はあるんだけれど目がすごく大きくなっていて触れずに通ることができるというのかな、非犯罪化ですよね。つまり、法律としては合法ではないんです。合法化はされていないけれども、あえて罪に問わない、問うても微罪という。長吉さん、これは妥協点なんですか?

長吉:これは要するに犯罪にしないっていうことなんですけど、なぜそういうふうになったかっていうと、アヘン条約から始まった国際条約があって、これを解くためには全員がまた集まって解かなきゃダメなんですよ。なので、1回決まってしまった国際条約ってなかなか解けないということがあって、ヨーロッパの国々はどうしたかっていうと、そうではなくて犯罪にしないということで、非犯罪化ということで、その国際条約をすり抜けるような方式をとったっていうことなんですね。

モーリー:消極的に認めたということですよね。

長吉:そういうことですね。

モーリー:オランダなどは非犯罪化をもう20年以上やっていると思うんですが、結果として社会にプラスマイナスはどう出たでしょうか?

武田:たぶん1つは、非常にストレスの強い社会とか、そういうもので嗜好品、たばことか、酒とか、コーヒーとか、マリファナとか、そういうものをどういうふうに見ていくかってことで、これは刑と社会に及ぼす害のバランスが崩れているってことは前から言われているんですよ。つまり、非常に強い麻薬であれば、社会に大きな影響を与えるから懲役7年でもいいだろうと。だけど、例えばパン1個を盗んだぐらいで懲役30年かと。ジャン・バルジャンとか。

(つづく)

・[ニコニコニュース]「これでキマリ!世界のマリファナ事情~解禁の流れはどこへ向かう?~」全文書き起こし(1)~(4)
http://search.nicovideo.jp/news/tag/20150920_これでキマリ!世界のマリファナ事情~解禁の流れはどこへ向かう?~?sort=created_asc

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]これでキマリ!世界のマリファナ事情~解禁の流れはどこへ向かう?~ - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv234565160?po=newsinfoseek&ref=news
・ニコニコドキュメンタリー - 公式サイト
http://documentary.nicovideo.jp/

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