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「消費増税、若者のため」 岡田副総理、ニコ生で「社会保障改革」語る 全文書き起こし<前編>

ニコニコニュース / 2012年3月24日 18時40分

岡田副総理

 岡田克也副総理は2012年3月22日夜、ニコニコ生放送の番組に出演し、消費増税を軸とした「社会保障と税の一体改革」について語った。岡田副総理は番組で、ニコニコ生放送を視聴する多くの20・30代の若者たちに向け、消費増税は「若い世代のためである」と主張。図表が描かれたフリップを用い、身振り手振りを織り交ぜながら、約1時間にわたりその内容を説明した。

 以下、岡田副総理が説明した「若者のための消費増税」の考え、前半部分を全文書き起こして紹介する。

・「若者にもきちんと説明したい」 岡田副総理、ニコ生で「消費増税」への理解求める
http://news.nicovideo.jp/watch/nw220387
・[ニコニコ生放送]本記事の書き起こし開始部分から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv85913851?po=newsinfoseek&ref=news#0:03

■「消費増税」意見聞く対話集会に「若者が少ない」

司会・角谷浩一氏(以下、角谷): ニコニコ動画をご覧のみなさんこんばんは、コネクターの角谷浩一です。今日は、いつもの番組よりちょっと早いかも知れませんけれど、18時から特別番組をお送りしたいと思います。

 今日は民主党政権・野田政権の岡田克也副総理にスタジオにお越しいただきました。今、消費税の増税問題について、いわゆる消費税関連法案がどのような形にするのか、閣議決定はいつになるのかと、民主党内は社会保障と税の一体化の議論が続いています。一進一退でまだまだ議論は尽きないという状態ですけれど、この合間を縫って今日は副総理にニコニコ動画へおいでいただきました。岡田さん、どうぞ宜しくお願い致します。

岡田克也副総理(以下、岡田): 宜しくお願いします。

角谷: 岡田さんはニコニコ動画のこのスタジオでは1年ちょっと前、1月に幹事長時代に一緒に番組をやらせていただきましたけど、それ以来になります。

 若い人にとっていろいろ議論や批判があるこの消費税の問題を、岡田さんの方からニコニコ動画で「きちんと説明したい」「ぜひやりたい」というお考えで今日はお越しいただきました。やっぱり財源がいろいろ足りなくなっているんだと、ぼんやりとわかりますけれども、どういう問題なのか。今回の社会保障と税の一体改革、これは一体どういうことなのか。ただ増税になるだけじゃないか。どんどん厳しさが増えてきて景気が悪くなっちゃうんじゃないかと、そういう不安が国民にはまだあるようです。

 世論調査を見ても理解する人がまだ多いとは言えない、殊にこれからいろいろな夢や可能性を秘めてる若い人たちが、増税の重みだけを感じるんじゃないかという報道が続いていると心配になる。今日は若い人たちに向けてもぜひ、これは政府としてどういうことを考えているのか、なぜこうなのか、話を伺えればと思っております。

 さて、国会の動きとして、また官邸の動きとして、この法律を党の了解を得て閣議決定して、今度は国会にもっていきたい。国会で今度は与野党の議論をきっちり詰めて、消費税関連法案を今国会中に成立させたいというのが野田政権の最大の眼目ということになっています。その為に例えば岡田さんは全国行脚して、いろんな会合を開いています。そこでの感触はどうですか?

岡田: 感触は悪くないです。いろんな意見出ますけれど、非常に良い意見をたくさんいただいて、勉強させていただいてるんです。ただ、残念なことは、そういう会合を全国で200人規模で毎週開いているのですが、若い人が少ないんですね。

 僕らのこの改革は若い世代の為にやっているつもりですから、その若い世代があまり関心を示していただけない、あるいはアンケートを見ると、むしろ反対が多いというのは非常に残念です。今日のこの番組も若い世代の方にたくさんご覧いただいていると思うので、ぜひ理解してもらいたいなと思っています。

角谷: この間、山梨の甲府にも行かれたようで、それもニュースで僕は見ました。あの時、山梨の党の県連にはあまり連絡がいかないで、どうも内閣としての会合と、あまり党と一体化して盛り上げていこうと・・・

岡田: もちろん、連絡はしているのですが、ただこれは政府主催で、国の予算を使ってやっている話なので、あまり一党一派に偏るといけないわけですね。ですから、そこは少し距離を置いて、あくまでも政府主催で、そしてインターネットで申し込んでいただいて、誰でも出られますという形で進めています。

角谷: なるほど。そういった中での一環なんでしょう。今日は若い人たちに向けて岡田さんが税と社会保障の一体化について話したいということであります。

■まずは消費税5%増で「社会保障を持続可能にする」

角谷: いろいろ質問するよりも、岡田さんとして若い人に訴えたい事をまず最初に・・・

岡田: まず簡単にですね、来年度予算。今、予算委員会、参議院で議論していますが、フリップをを見ていただくと、問題大有りだということを理解していただけると思うんです。

 この中でまず、歳出。90兆円の予算なんですけれど、一番多いのは実は社会保障関係費です。年金医療介護をはじめとする社会保障関係費で30パーセント。その他というのは地方に行くお金以外の全てですから、教育も防衛費も、農業も中小企業もみんな入れて、社会保障費より少ない。もう一つは借金の利払いで21兆円も払っている。これは今まで借金を続けてきた結果です。つまり90兆予算があってもですね、21兆は借金暮らしの利払いで消えている。

 じゃあ収入はどうなっているかというと、半分以上が借金という異常な姿なんです。こんなもの長持ちしないです。これをなんとかしなきゃいけない。そうじゃないと社会保障そのものの維持が可能ではなくなる。

 今、借金して社会保障をやっている。そのツケはみんな若い世代、次の世代に被せている。そういう不公正なことを早くやめて、きちんと今の年の収入で、今の社会保障をはじめ歳出を賄うような状態をつくらなければいけない。これが基本的なことなんです。

 悲観的な話ばかりしてもいけないのですが、実はこれからどんどん高齢者の方の数が増えていきます。これは長生きするということで、非常に良い事なんですが、だんだん高齢者の割合、65歳以上の割合が23パーセントが38パーセントまで上がってくる。ですから騎馬戦型、3人で1人を支える時代から、やがて1人ちょっとで1人を支える時代になる。

 早く借金体質を改めて、そういう時代でもきちんと社会保障が持続可能なようにしなければならないということが我々の発想のスタートですね。

角谷: 人口が2015年には1億人をきるということを想定しているわけですよね。

岡田: これはですね、今の数字を元にしたらほぼ間違いないですね。

角谷: つまり少子化の結果ということなんですね。

岡田: そうなんです。もちろん子どもの数がどんどん増えていけば多少は増えますね。でもその効果が、例えば年金や医療の保険料を払ってもらうということになると、20歳ということになりますので、20年後なんですね。我々は子どもの数が増える、出生率が上がることを期待しますが、いずれにしてもそれは先の話ということで、非常に苦しい時代をこれから経なければいけないということです。

角谷: なるほど。今の状況では、この先が非常に厳しくなるということを想定したシュミレーションの数字を出しているわけですね。

岡田: それで我々は、5パーセント上げさせていただきたいと申し上げているのですが、それは何に使うのかというと、実は1パーセントしか新しいことに使えないんですね。4パーセントは今ある制度の持続可能の為に使わせてもらいたいということなんです。

 新しいことをもっとやりたいんですが、今の財政では余裕がない。新しいことの中心は子育てとか、あとは貧困対策とか。やっぱり所得が二極分化していて、いろんな年金医療の保険料すら払えないという方が出てきている。そういうところをしっかりと国がやっていかなければいけない。そういうことで1パーセントを使わせていただく。

 あとは、例えば基礎年金。これは自民党・公明党の時代にですね、国の負担を3分の1から2分の1に増やしました。そうでないとやっていけなくなったからです。私はそのことは正しかったと思うのですが、財源を用意してなかった。それはきちっと財源を用意しないと、毎年あちこちから引っ張ってくるようなやり方ではもたないということなんですね。高齢者の方が増えますから、社会保障費は毎年1兆円ずつ増えるんです。それを賄う為にも使わなきゃいけないというようなことで、4パーセント分はほとんどそれで消えてしまう。

 しかし、これだけあればその分は借金が増えることは止まるわけですから、我々が今回、増税をお願いしているのは、新しい話が1パーセントで、それ以外が4パーセントということです。

角谷: まずは借金を止めないと、この先に新しいことも何もできないということですね。

岡田: 借金を止めないと、今の制度を持続していくことすら難しいと。借金して社会保障しているという状況を少しでも改善しないといけないということです。5パーセントで全部解決するわけじゃありません。しかし、ここまでまずはやらないと「話にならん」ということだと思います。

角谷: 5パーセント引き上げをすることで、ここまではなんとか目処が立つという計算だということですか?

岡田: 半分くらいですね。プライマリーバランスという言葉があるのですが、その時の借金の利払いは別にして、その年の収入でその年の支出を賄うという状態に、半分到達するということで、まだこれだけでは十分ではないです。

 2015年に消費税5パーセント引き上げが成功した時に、もう一度考えなきゃいけない。それはもっと、社会保障を含め歳出を減らすのか、あるいは経済成長がその時にはかなりうまくいって税収が増えるのか、あるいは増税をするのか。そういった判断をもう一回していただかなくてはなりません。

 しかし、今からそれを決め付ける必要はないので、まずは10パーセントのところまでお願いします。ここは最低限必要なことです。世界の中でGDPの倍も借金している国というのは日本しかありませんから、最近のヨーロッパの状況を見てててもですね、これはいつまでもやっているわけにはいかないなと、私は5年、10年こんなことは続けられないなと思います。

■一番の予測違いは、「良い事だが寿命が延びたこと」

角谷: わかりました。しかし、マニフェストで「やらない」と言ったじゃないかと議論が党内からもいくつかありました。これはわからないでもないんですけど、でも現実の数字を見れば、それ自体が間違いでこの議論に入らないと間に合わないんだということになってきたのも、今の説明でもわからないではありません。

 ただ自民党時代、それから自民・公明連立時代、そして今の民主党時代と、前からの借金が重なってきているわけですね。それから出生率の予測というのも難しいと言われているそうですけど、いろんなシュミレーションが実はいくつか間違っていたり、予想を超えるような支出があったり、それから税収が足りなかったりということが続いている。これはある意味、長年続いた日本政府の政策のいくつかのミスが重なったということじゃないんですか?

岡田: そういう面はありますね。ですから、出生率もいつか少しは上がるだろうと思いながら、下がっていった。最近はようやく上がりだしたんですけど。

 それから一番の予想違いは寿命が延びたこと。これは良い事なんです。とても良い事なんだけど、例えば65歳から年金を受け取る。それで80歳まで平均寿命があるとすれば15年です。ところが、平均寿命が90歳になれば25年ということで、払わなければいけない年金の額が、保険料は一緒なのに倍近くになってしまう。予想以上に長寿化したということも誤算です。

角谷: そういうことがあると、この誤算に対しては長年やってきたツケが溜まってきて、もう「待ったなし」になっているというのは、(安住淳)財務大臣や岡田さんの説明からもわかるわけです。

岡田: これは我々だけじゃなくて自民党も同じ認識なんですね。ですから去年の参議院選挙で2015年に消費税10パーセントってことを公約に掲げられたわけです。だから、政治に携わる者の多くは、同じ認識に立っているということだと思います。

■若い学生たちにさらなる不安・・・公務員制度改革で新卒枠縮小

角谷: 国民から見れば、「もうお金が足りないんで上げなきゃいけない」という事実はわかります。状況もわかります。でもそれは、それぞれの政権の頃からの積もり積もった失策の積み重ねだと思ったら・・・。

 もちろん無駄を省こうと、今岡田さんが先頭に立って、党も内閣もいろいろやられているのもわかります。でも、なかなか思うようにいっていないところもある。自分たちも身を切らなきゃいけないということを、岡田さんもずいぶん言って、公務員や政治家の給与に対してもいろいろ手をつけようじゃないかと、同時にそういう事もやりますよと言っていますよね。

岡田: せっかくですから、いろんな事をやっているご説明させていただくと、例えばまだ民主党の提案で、各党合意には至っていないのですが、国会議員の歳費300万を今年は減らしているんですが、来年も引き続き、2年間減らしたいということ。

角谷: これは一人ひとりの議員の歳費で、岡田さんも減るんですね。

岡田: はい。これは14パーセントくらいにあたり、各党と協議したい。

 それから既に決まっていることでは、総理は30パーセント、我々閣僚は20パーセント、公務員は7.8パーセントを減らす。これは法律が成立しました。これで約5千億円くらい出てくるんです。

 その他にもですね、行政刷新で3.7兆円出しました。今国会に独立行政法人と特会の法案を出すんですが、独立行政法人であればですね、多分年間3兆3千億円くらい使っていたんです。それを政権交代後、1割の3千億は減らしてるとか、数を減らしているとか、いろんなことはやっているんですね。

 実は明日決めるんですけど、公務員の60歳から65歳に、年金をもらう歳が延びますからどうするかと議論してきて、「定年延長」という声もあったのですが、定年延長でなくて再雇用にしよう。一旦60歳で辞めていただいて、当然待遇は下がりますけれども、退職金も払って、その上で毎年、一年毎に再契約して再雇用していこう。そういうことも決めさせていただく。いろんなことをやっていることはわかっていただけたかと思います。

角谷: 今公務員の採用が随分減るということで、学生がやっぱり就職のこと、殊に就職難で公務員の試験を受けたいと思っている人にとって、そこも狭き門になってしまったなと、不安を持っている人も多いと思います。

岡田: これは政権交代後ですね、初年度は4割弱減らしたんです。平成22年度比ですね。そして、2年目が今年ですけど、3割弱減らしたんです。私は更に大幅に減らそうとは言っているんです。

 だから今回特別に出てきた話ではなく、我々は減らしている。それは公務員の総人件費を2割削減という目標を掲げてますから、それをやる為には給与自体を下げることと、人数を減らすことと、両方やらなけらばならないんですね。

角谷: でも、新人は給料安いけど、偉い人のほうが給料高いんじゃないですか?

岡田: 新人もやがては偉くなります。採用してしまえば、ずっと勤めるわけですね。40代後半から50代の、人の多いところについても、早く辞めていただく為のインセンティブをつけるとか、そういうことも併せてやっていく。全体をスリム化していくということを考えているわけです。

角谷: そういう意味では新卒を絞り込むということもあるけれども、逆に言うともっと人材交流、中途採用を今まで公務員はあまりしなかったように思います。やっぱり民間の考え方とか価値観をもっと入れるとか、岡田さんならそれくらいやってもいいんじゃないですか?

岡田: そういうことはもっとやっていかないといけませんね。公務員の方でも民間に移ってもらうとか、あるいはまた将来帰ってきてもらうとか、いろんな意味で交流をして、風通しを良くして、公務員はやっぱり独特なところがありますから、民間の空気をもっと入れて活性化したいと思うんですね。

角谷: 岡田さんも最初は役所から入って、当時は通産省の役所の所属員でした。その頃から比べると、当時の同期の人たちもみんな偉くなってると思います。

岡田: いや、ほとんどもう辞めましたね。

角谷: 辞めましたか。それはもうそういう世代だということですか?それとも途中で辞めることになっていったわけですか?

岡田: みんな肩たたきというか、だいたい50代半ばくらいまでにほとんど辞めてしまいます。そこで辞めたらいいんですけど、そこから天下りしちゃいけないんですね。だからそういうことをしなくて済むような仕組みをちゃんと作っていかなければいけない。

角谷: 公務員は別に悪いことをしているわけじゃありませんから、そういう意味では公務員の人たちが頑張った分の、その後のケアというのが、あなたたちは普通の民間と同じなんだからというふうなことでもこれは問題があるんじゃないですか?

岡田: 公務員の人はですね、頑張った人はきちっと報われるようにしないといけない。しかし、同じように昇進していくのではなくて、もう少し実績、実力といったものを、きちんと評価する仕組みに変えていかなければいけないと思います。

角谷: そうですよね。公務員というと今、悪の権化のようにも言われている一方ですね・・・。

岡田:それは、基本的にはおかしいんです。

角谷: そこは皆さんいろんな思いがあると思うし、現役の公務員の人だっていろんな思いがあるでしょう。公務員と民主党というと、政治主導とか、公務員からいろんな権限をもっと剥奪して自分たちで決めていかなければいけないという議論がずっとありました。今の岡田さんから見て、少し変わってきて、風通しがよくなったり、状況は変わってきているのですか。

岡田: 私は元々同じ考え方なんですが、やっぱり彼らはプロですから、知識もあるし経験もありますから、これをうまく使いこなしていく。我々は大臣であれば組織のトップに立ち、彼らの意見を聞いて最終的に責任を持って決めるのがトップですから、そこの役割分担は非常に重要なんですね。

 公務員のみなさんが一生懸命働いてくれる環境を作っていかないと、彼らが手を抜いたり、やる気を無くしたりするということがあれば、やっぱりそれは国の役割・機能が低下してしまう。

角谷: それも国力や国益という問題になりますよね。もちろんその部分も政治主導でちゃんとやってもらいたいと思います。

■担当番記者たちも「ニコニコ動画だから興味津々」

角谷: 今回の消費税議論ですけれども、岡田さん、安住(淳)財務大臣、それから党税調(民主党・税制調査会)の藤井(裕久)会長、それからもちろん総理。いろんな人が手分けしていろいろ国民に理解を求めようと走り回っているのはなんとなくわかります。

 それでも「まだ足りない」と思って、岡田さんが若い人たちにもっと消費税についての議論を浸透させようと来ていただいています。岡田さんが引き連れたような形で、岡田さんの担当番記者も、今日は一緒に沢山来ています。

岡田:「ニコニコ動画」だから特に「どうなるかな」って、みんな興味津々なんじゃないですか(笑)

角谷: 僕はぜひ提案したいのですが・・・みんな「財務省を中心に物をやっている」とかね、野田さんも安住さんも岡田さんも「財務省の言いなり」かのような報道もあります。

岡田: 僕も言われているんですか?

角谷: 言われていると思いますよ。

岡田: あんまり聞がないですけど・・・

角谷: 僕がぜひ提案したいのは・・・今まで民主党は事務次官の会見とか、事務次官会合が無かった時代が一時ありました。事務次官の話とかもっと国民に向けて記者会見をやってもらう。実は「財務省としてはこう考えているんです」っていうのが、全然出てこないんですよ。担当大臣や岡田さんが、一生懸命説明してくれるのはわかります。財務省は「本当はどう考えているのか」っていうのが、まったく今わからない。

岡田: ただ「財務省が本当にどう考えているのか」というのは、安住財務大臣が言うこと・考えていることが、財務省の言うこと・考えですから、違いは無いんですね。

角谷: 本当ですか?

岡田: はい、全然無いです。

角谷: 安住さんが全国をまわってらっしゃる話も聞きます。でも、安住さんがどういうこと言っているか、あんまり僕はわからないんですよ。

岡田: 国会でも毎日ずっと出ていますよね。今、予算委員会で彼も色々答弁しています。

 私は次官が記者会見しても構わないとは思うんだけども、やはりトップが会見していればそれで十分じゃないかという判断ですね。

角谷: つまり、内閣のそれぞれの大臣と事務次官以下の役所の幹部の人達は、四つに組んでやれているということですか?

岡田: そうですよ。そうでなければ動かせないですよ。

角谷: 岡田さんはそうじゃないにおっしゃるけれども、色々なところでは岡田さんや安住さんが財務省のコントロール下にあるかのような報道もあります。

岡田: まあ「野田さんや安住さんが、きちんとリーダーシップ発揮して官僚を上手く使いこなしている」というのではニュースになりませんから(笑)。やはり「官僚に上手く使いこなされている」というような・・・そっちの方が面白いですからね(笑)。

 現実には、野田さんは非常に判断力のある人ですから、もちろん財務省を上手く使いこなしていると思います。色々なところから情報も取り、最終的に間違いの無い判断をしていると思いますよ。

角谷: なるほど。岡田さんも、昔はもう少し滑らかじゃなくて、難しいことばかり言っていたんですけれども・・・

岡田:そうですか?(笑)

角谷:今日の説明を聞くと、非常に滑らかになってきた気がいたします(笑)。

■「民主党は実績をアピールするのが下手」

角谷: 岡田さんが外務大臣になられた時に、最初にやられたことが2つあります。1つは「記者会見をオープンにしよう」。極端に言えば「ニコニコ動画のカメラも入れるようにするべきだ」と岡田さんが・・・

岡田: これは、既存のメディアからなかなかの抵抗があったんですよ。

角谷: それでも岡田さんは「やる」と言って、今、外務省の会見にニコニコ動画のカメラを入れさせてもらっています。これは、実は岡田さんのお陰なんですよね。

岡田: 私の会見にあまり来られないじゃないですか、ニコニコ動画。いつも来られてます?最近、質問が少ないんで・・・

角谷: 多分入れてもらえていないんじゃないですか?

岡田: いや、もちろん自由ですよ。

角谷: じゃあ、行けていないんだ。(スタッフに確認しながら)行けますよね?行きます。すみませんでした。

 さて、もう一方で、外務省の当時の事務次官に指示を出して、外務省の中の書類を全部調べて、「密約があったのかどうか」ということを指示して調査をやりました。発表の会見の時、僕は「よくぞ、ここまでやった」と思いました。これはある意味では、岡田さんが民主党の外務大臣にならなければできなかったこと、自民党ではできなかったことだと思いました。

 外務省の中で資料を探させて、「密約はあったのかどうか、徹底的に資料を探せ」というふうに言いましたね。

岡田:はい、4つの密約があったんですよ。

角谷: でも、ほとんど大きなニュースにならなくて「もったいなかったな」と思っているんですよ。もっとあれをアピールしてくれれば、「なるほど。民主党はこういうことをやったのか」と思ったと思うんですよ。

岡田: でもあれ、メディアが200人ぐらい来られたんですよ。

角谷: もったいないですよね。ですから、色んな変化をもたらしたことは、民主党政権になってから、岡田さんはかなりやっている。岡田さんがいるところに色々な改革はもたらされたと思うんですけれど、「まだ足りない」と国民は思っている。

岡田: それは民主党全体に言えることなんです。確かに色々なことが変わっているんです。でも、その事をアピールするのが下手ですよね。

 この前、長妻(昭・元厚労相)さんが予算委員会で質問されたんです。それは、自分の厚労大臣のときの実績も含めて、政権交代後に社会保障制度についてどういうことをやってきたということを上手くアピールされたんですよね。ところが民主党の議員の中には、NHKのテレビが中継がしているにも関わらず、民主党を攻撃する質問もあるんですね。

 なんか野党の時と感覚が変わっていなくてですね、折角テレビが入っているのであれば、もう少し実績をアピールする方がいいのじゃないのかと時々思うんですけどね。

■政策の継続性を感じない度重なる大臣交代

角谷: あんまりこの話を岡田さんはしたくないかもしれませんけど、ゲートキーパーの話。GKBの時にも、民主党の議員から厳しい質問がありました。岡田さんは「もう決まったことだ」と答弁しましたけど、あの時はかなり予算委員長も間にちょっと入ったようなこともありました。

岡田: 翌日に撤回したんですけども、あの場では撤回できないですね。党の中で議論してもらえれば色々考えられる余地はあったんですけれども。ただ、名前はやめましたが、AKB48に出て来てもらって、宣伝もしてもらって、「ゲートキーパー」ということに対しての認知度は非常に高まったんですけどね。

角谷: なるほど。ここでつくづく思うのはね、僕はあの問題は岡田さんが悪いとも思わない。だけど、政府としてやっていくときにその前に党でやるべきだと思う。でも党でもほとんどあまり議論はなかったと、僕も取材していたらわかってきました。

 そこで大事なのは・・・実は政権交代してから、この自殺対策の担当大臣というのは8人変わっているんですよね。8人変わったら、自殺の現状のレクチャーを受けて本格的に「本腰入れて、この問題に取り組むぞ」といったときには、もう次の大臣ですよ。「色々やっているんです」とか「党でやっている」と言っても、継続性を感じないんですよ。

岡田: それはおっしゃる通りです。認めざるを得ませんね。

角谷: だからね、岡田さんが副総理になって、私どもが取材していると「官邸が締まってきた」という風な話は聞きます。岡田さんの「大物副総理入り」というのは、今の政権にとっては大変良いんだと思いますけど、岡田さんが今まで外務大臣の時にやってきたり、それからある意味では予算委員会の筆頭理事の時にやってきたりした事とか、もちろん幹事長時代もあります。こういう時に「政権交代した」というアピールが上手じゃないというのは、GKBのことだって多分そうでしょう。

 やっぱり「民主党は一丸となって継続的に政策をやっているのか」というのが、国民から見ると「やっている人と、やらない人がいる」って見えちゃう。自民党はそういうこと無かったですけどね。それはどう思いますか?

岡田: まぁ、自民党も結構そういうことあったと思うんですが・・・

角谷: かつて自民党にいらっしゃったときには、そんなものでしたか?

岡田: はい。それから、特に野党になってからの自民党は「なかなか、まとまらない」と、失礼ながら思うのですが・・・今、民主党は与党ですから、みんな全力で総理を支えてしっかりやらないと、国民から見たら「何やっているんだ?」ということになると思うんですよね。

角谷: その辺りはだいぶ雰囲気は変わってきましたか?

岡田: 相当求心力が出てきたと思います。野田さんも支持率もちょっと上がってきた。「やっぱりこの人はぶれない。やる人だ」という認識が高まってきたんじゃないですか?

角谷: 「岡田効果」じゃないんですか?

岡田: いやいや、私じゃないです。

角谷: そんなことないですか?(笑)。

・「消費増税、若者のため」 岡田副総理、ニコ生で「社会保障改革」語る 全文書き起こし<後編>
http://news.nicovideo.jp/watch/nw221486

◇関連サイト
・「若者にもきちんと説明したい」 岡田副総理、ニコ生で「消費増税」への理解求める
http://news.nicovideo.jp/watch/nw220387
・「消費増税、若者のため」 岡田副総理、ニコ生で「社会保障改革」語る 全文書き起こし<後編>
http://news.nicovideo.jp/watch/nw221486
・[ニコニコ生放送]本記事の書き起こし開始部分から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv85913851?po=newsinfoseek&ref=news#0:03

(書き起こし・ハギワラマサヒト、吉川慧、内田智隆、編集・丹羽一臣)



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