【王座戦】藤井聡太王座「銀を取られてしまうので」驚きの一手で初防衛王手
日刊スポーツ / 2024年9月18日 20時31分
藤井聡太王座(竜王・名人・王位・棋王・王将・棋聖=22)が永瀬拓矢九段(32)の挑戦を受ける、将棋の第72期王座戦5番勝負第2局が18日、名古屋市「名古屋マリオットアソシアホテル」で行われ、先手の藤井が永瀬を下し、開幕2連勝で王座初防衛まであと1勝に迫った。“王座奪還”を目指す永瀬はかど番に追い込まれた。第3局は30日、京都市「ウェスティン都ホテル京都」で行われる。
終局後、藤井は「途中までは指したことがある展開だったが、お互いがキズを抱えた陣形だったので、判断の難しい将棋かなと思っていた」と振り返った。
藤井がエース戦法「角換わり」を選択すると、永瀬は堂々と受けて立った。両者、研究の範囲なのか、開始30分で76手まで進む異例のハイペースとなった。
昼食休憩前、藤井が81手目に驚きの一手を放った。永瀬の銀取りの桂打ちに対し、藤井は銀取りを手を抜いて意表の香打ちを決断した。銀をタダで取らせ、永瀬の渾身(こんしん)の作戦を外し、激しい攻め合いに持ち込んだ。
「ちょっと、銀を取られてしまうので…」と自信のない展開だったというが、中盤のねじりあいでは、じりじりとリードを広げ、圧倒的な終盤力で相手をねじ伏せた。
昨年は藤井が7冠を保持した挑戦者として永瀬王座に挑み、3勝1敗でタイトルを奪取して8冠全制覇を果たした。今期は立場を入れ替えてのタイトル戦。藤井は「成長が問われるシリーズ」と位置づけているが、第1局に続いての会心譜だった。
今年4~6月に行われた第9期叡王戦で同学年の伊藤匠(たくみ)叡王に敗れ、初めてタイトルを失い、8冠から陥落した。「不調説」もあったが、棋聖戦、王位戦では「横綱相撲」で相手をなぎ倒し、2つの永世称号を獲得した。将棋に取り組む姿勢のストイックさから「軍曹」の異名を持つ永瀬を「研究が深い」と警戒していたが、構想力で上回った。第3局へ向け「結果を意識せずに臨みたい」。一気に王座初防衛を果たす勢いだ。【松浦隆司】
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