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【悼む】火野正平さん最盛期に「十一股」報じられたモテ男ぶり 達観した言葉に懐の深さ実感

日刊スポーツ / 2024年11月21日 5時0分

火野正平さん(23年1月26日撮影)

<悼む>

俳優火野正平(ひの・しょうへい、本名二瓶康一=にへい・こういち)さんが14日、自宅で亡くなった。75歳。所属事務所が20日、発表した。今年4月から持病の腰痛治療に励んでいたが、夏に腰部骨折をしたのを機に体調を崩したという。独特の存在感で数多くのテレビドラマ、映画に出演し、歌手としても活躍。プライベートでは“元祖プレイボーイ”として往年のワイドショーを騒がせ「モテ男」の名をほしいままにした。

   ◇   ◇   ◇

昨年1月、全国ツアーの会見で久々多くの取材陣に囲まれると「オレ何かやった? ナシモトさんいる? スドウさんは?」と往年の芸能リポーターの名前を挙げて冗談めかした。

若手記者はキョトンとしていたが、70年代後半から80年代にかけて、火野さんが流した「浮名」を巡る囲み取材は日常茶飯事だった。当時のリポーターの質問は容赦なかったが、それが二股でも三股でも、当の火野さんには悪いことをしたという意識がないから「そこまで聞く?」と前置きしながら、正直に明かす。挑発するような質問にも穏やかに応え、そこにあの人好きのする笑顔が重なった。 自著の中でも「大本命を都内に送って…(その日のうちに)函館に着いて、待っててくれた別の娘の姿を見たら、あぁ生きててよかったと思った」と二股の心中を明かしている。

ちょっと不良っぽくて、その時々の気持ちに正直で…モテ方は尋常ではなかった。ある女優は別れた後に「私はただ、あの人といるだけで良かった」と話した。一般女性との初婚間もなく始まった共演女優との不倫関係を皮切りに、最盛期には女性誌が「十一股」と報じた。後年「それも含めて今の自分だから」と達観した言葉を聞き、懐の深さを実感した。

渋めの役をひょうひょうとこなしながら、これほど華やかに芸能史を彩った人を他に知らない。【相原斎】

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