運動を取り入れて認知症予防・認知機能維持をめざそう:広川慶裕先生インタビュー

認知症ねっと / 2018年4月1日 11時0分

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ひろかわ脳とこころの健康クリニック 院長 広川慶裕先生インタビュー

健康志向の高まりから、運動に関心をもっている人は多いと思います。しかし、高齢になると運動を続けることが難しくなり、その結果フレイルのリスクが高まるとされています。運動は、認知症予防や認知機能維持の点からもその効果が大いに期待されるもの。MCI(軽度認知障害)の予防・治療に意欲的に取り組んでいるひろかわ脳とこころの健康クリニック院長の広川慶裕先生も、運動療法と食事療法を治療の2本の柱にしています。そんな広川先生に、「認知症と運動の関係」についてうかがいました。

──運動の作用は認知症とどのようにかかわっているのでしょうか。

認知症予防・改善に及ぼす効果に対して、明確なエビデンス(根拠)が示されているのが「運動」なんです。有酸素運動を1日30分、1週間に3回のペースで継続したところ、半年〜1年で「脳の海馬の容積が増えた」「脳の血管が増えた」という報告も上がっています。

認知症の場合、脳は血流の悪い状態にあります。しかし、運動をするとたちまち脳の血流量は増えます。その結果、酸素や栄養が行き届き、脳の働きが活性化するのです。

一方、認知症によって脳の機能が低下すると、身体のすべてをうまくコントロールできなくなり、機能的にも不協和音が生じます。運動機能も然りで、今までできていた動きができなくなってきます。そして、これを改善するのも運動なのです。これまでに体験したことのない運動(動き)を外部からの指示によって行い、脳に負荷をかけることで、その再構築を促します。

──脳を新たに作り直すことができるのですか。

厳密にいうと、脳の神経細胞(ニューロン)同士をつなぐシナプスを再構築するということです。死んでしまった脳細胞を蘇らせることはできませんが、その細胞が担っていた機能を他の場所で補う、つまり代償することはできます。シナプスは、新しいことを学習することで、新たな回路を作ります。これが、認知症予防を考える際のキーワードである「脳の可塑性」です。この脳の働きをうまく引き出すようにすることで、認知症の予防・改善が図られるというわけです。

──運動によって脳の可塑性を引き出せるというわけですね。具体的には、どのような流れになるのでしょう。

シナプスの再構築を促すために、新たな動きを伴う運動をしたり、新しいことを学習するなどして脳に負荷をかけ、脳血流を増やします。すると、酸素や栄養が脳に十分にいき渡るようになり、エネルギーに変換されます。このエネルギーが脳を活性化させ、シナプスの再構築にも利用されます。このような循環のシステムを作っていくことが、認知症の予防・改善には必要なのです。

認知症ねっと

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