山口先生コラム「やさしい家族信託」第1回:大変、お母さんが認知症?! 自分のお金がおろせない! うちは大丈夫?認知症による資産凍結のリスク

認知症ねっと / 2019年5月14日 11時0分

これは、高齢者を狙った様々な詐欺が横行する現代において、金融機関が水際で被害を防いでくれるというプラスの側面もあります。他方、本人の本人らしい生活をサポートしていた家族からすると「本人のお金が、本人のために使えない!」という大事件になってしまうのです。

・銀行でのお金の引き出し、支払いや振込、定期預金の解約
・株や投資信託、外貨預金の売却や換金
・不動産の売却、修繕、リフォーム、賃貸、管理
・介護や医療、施設の費用などの支払い

そこで、近年注目されているのが「家族信託」という制度です。

「家族信託 」とは、親(委託者という)が、子どもなどの信頼できる家族・親族(受託者という)に、不動産や預貯金などの財産の管理を任せる契約のことで、「民事信託」ともいわれます。親(委託者)が決めた目的に沿って、子ども(受託者)が、信託された財産を管理・処分し、親(受益者という)のために使用します。親が元気なうちから準備しておくことで、認知症で判断能力が低下しても、財産が凍結することなく親のために使うことができると、利用される方が増えています。

これまで信託は、金融庁の認可を得た信託銀行や信託会社などの法人だけに許されていました。この「商事信託」に対して、2006年に信託法が改正され、「家族信託」が広く一般の方にも利用できるようになりました。 「家族信託」とは、文字通り「家族を信じて財産を託す」ことで、自分らしい高齢期の暮らしを実現する制度です。「家族を信じ、支え合い」介護される人もする人も、みんなが安心して毎日を過ごすことができる、新しい仕組みと言えます。

ここで、代表的な家族信託の事例をみてみましょう。

【家族信託契約の例】

≪信託契約の内容≫
委託者(財産を託する人):お母さん
受託者(財産を託される人):長女 A子さん
受益者(信託の利益を得る人):お母さん
信託財産(預ける財産):①自宅 ②預貯金1000万円
信託の目的:①お母さんの安心な老後の生活を実現すること ②円満な相続
受託者の権限:お母さんの生活費の支払い、不動産の管理・修繕・賃貸・売却
信託終了時:お母さんが他界したら終了する
     :残った財産があれば、子どもたちで平等に分ける

≪メリット≫
①お母さんが元気なうちから、誰に何をどう託すのか決めることができる
②お母さんが認知症になった後も、資産は凍結せず、長女が契約内容に従って財産管理をすることができる
③お母さんが施設へ入居して、実家が空き家になった場合、長女が実家を売却して介護費用に充てることができる
④長女はお母さんの資産を預かっているだけなので、贈与税がかかることはない
⑤お母さんから信託された財産と、長女の個人の財産は「分別して」管理ができるため、お母さんや他の兄弟へ管理状況の説明がしやすい
⑧信託財産の信託終了時(お母さんが他界した時)の扱いについてまで、契約で定めておけるため、お母さんが他界した時に資産が凍結して葬儀費用がだせずに困ったということがない

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