山口先生コラム「やさしい家族信託」第4回:遺言だけで大丈夫?終活で見落としがちな老後のお金の使い方

認知症ねっと / 2019年6月6日 10時0分

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司法書士事務所ともえみ 代表司法書士 山口先生コラム「やさしい家族信託」

厚生労働省によれば、2025年には認知症患者が700万⼈になると⾔われています。認知症になると資産は凍結され、⾃分や家族のために財産を動かすことができなくなります。

本コラムでは、「職業後見人」として高齢者の方の財産を管理し、また、自身の両親の「家族信託受託者」としても活動する高齢者支援専門の司法書士である山口良里子先生が、認知症から⼤切な資産を守るために注⽬される「家族信託」についてわかりやすく解説します。


平成27年1月の相続税の増税により、「相続対策」に注目が集まり、最近では、団塊世代を中心に「終活」がブームになっています。

日本公証人連合会によると、平成30年の遺言公正証書作成件数は110,471件。ここ10年で約1.4倍に増加しています。

さらに、昨年7月、相続法が改正されました。自筆証書遺言の作成方法が緩和され(平成31年1月13日施行)、今後、ますます遺言書を活用する方が増えると思われます。

太郎さんのお父さんは、今年74歳。

太郎さんが大学生の時にお母さんが他界し、それから男手ひとつで太郎さんと妹の花子さんを育ててくれました。料理も洗濯も、なんでも器用にこなし、太郎さんの家から車で30分の実家に1人で住んでいます。4年前に仕事を辞めてからは、「終活」に励んでいて、たまに太郎さんたちが家を訪ねても、「お前たちが何も困らないように遺言も書いたからな。」が口癖。

財テクも得意で、近くに小さい収益マンションを購入し、その家賃と年金で悠々自適のシニアライフを送っています。

ところが、ある日、お父さんが熱中症で倒れ、救急車で運ばれてしまったのです。慌てて病院に駆けつけた太郎さん。お父さんは、一命はとりとめましたが、すぐに意識が戻らず、しばらく入院することになりました。

太郎さんは、入院費用の支払いのため、お父さんの通帳をもって銀行へお金をおろしに行きました。しかし、お父さんの意識が戻らない今、お父さんのお金を太郎さんが勝手におろすことはできなかったのです。

太郎さんは、お父さんの書いてくれた遺言書のことを伝えましたが、それでもお父さんのお金はおろせません。

財産には「名義」があり、本人名義の財産は本人しか使えないのが原則です。

そして、遺言で決めておけるのは、本人が他界したあとのことだけ。意識が戻らないお父さんのお金は「塩漬け」状態になってしまいました。

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