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韓国ビザの厳格化だけでいいのか~徴用工訴訟

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年7月27日 17時40分

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月27日放送)に中央大学法科大学院教授の野村修也が出演。いわゆる元徴用工訴訟をめぐる問題について、また日本の取るべき措置について解説した。

2018年11月29日、ソウルの韓国最高裁に向かう三菱重工業への賠償を求めた韓国人女性ら=写真提供:時事通信

いわゆる元徴用工裁判、日本の報復措置

日本と韓国の間で懸案となっている、いわゆる元徴用工訴訟をめぐり、日本企業の資産が差し押さえられている問題で、8月4日以降に事態が動く可能性が高まり、日本政府は韓国に対してビザの発給を厳しくするといった報復措置を検討している。

飯田)資産の差し押さえの手続きが8月4日に完了し、今後、資産を現金化する可能性が高いとみられているということです。

野村)そうですね。現金化を求める手続きにも入っていまして、8月4日に現金化を認める方向に向かいます。ただ、何の資産を差し押さえているかと言うと、被告となっている日本企業が持っている子会社の株式を差し押さえようとしているのです。日本のなかにある資産を海外から差し押さえて執行するのは、日本が拒絶するから無理なのですけれども、韓国のなかにある資産を押さえて現金化しようとしているわけです。そのときに、株は上場している株と上場していない株があります。今回のものは上場していない株なので、その株の値段決定の手続きがあるため、8月4日以降にもし現金化を裁判所が認めたとしても、その評価のために少し時間がかかります。ですから、ギリギリのところに来るということになります。

飯田)それに対しての日本の措置が、ビザ発給を厳しくするということです。

三菱重工本社を訪問した元徴用工訴訟の原告側代理人弁護士(右)ら=2019年2月15日午後、東京・丸の内 写真提供:産経新聞社

日韓請求権協定によって、既に賠償は済んでいる~それ以降は無効

野村)そもそも、この判決そのものが大きな問題点を孕んでいると思います。日本の立場としては、日韓請求権協定によって、既に賠償は済んでいる話です。徴用工問題という言い方をしていますけれども、政府は「日本は徴用をしていない」と言っているのです。仮に徴用を認めたとしても、それは最後の最後、戦争末期の状況で、1944年9月から数ヵ月間にわたって行われたということになっているので、本当に原告の方々が強制的に徴用された方たちなのかどうかということも疑問なのです。その前は、募集をしていました。日本は日韓併合の状況にありましたので、日本人でも募集に応じて働いていた人たちがたくさんいたわけです。

飯田)給料がいいということでね。

野村)そうです、同じ扱いでした。もし、その部分を問題にするのであれば、日韓併合そのものの効力を問題にしなくてはいけないということになります。「もはや無効」という議論があって、日韓基本条約で戦後処理をしたときに、そもそも日韓併合には効力があったのかどうかということで、「もはや」という言葉を入れた。日本語的には、これ以降は無効になるということです。それを韓国が曲解して、最初から無効だったと言っているのです。その無理な解釈を入れないと、そもそも朝鮮半島に住んでいた方々を募集とはいえ、就労させることは問題だったのではないかという議論になりかねない。

ソウルの韓国大統領府で新年の辞を発表する文在寅大統領(韓国・ソウル)2020年01月07日 EPA=時事 写真提供:時事通信社

請求権協定で放棄されている権限をなぜ蒸し返すのか~賠償金は韓国政府に一括して支払ったもの

野村)もう1つは、そもそも請求権協定で放棄されている権限について、なぜまた蒸し返して議論しなければいけないのかということです。よく議論があるのは、裁判所は「個人と企業の間の損害賠償請求権は残っていますよ」と言う。「それは日本の最高裁も認めているでしょう」と。それはその通りなのです。なぜかと言うと、請求権があるから日本は賠償に応じる、その賠償の仕方を韓国政府経由でやるということを決めただけの話で、賠償の責任がないということは言っていないわけです。それが前提になっているけれども、国と国との約束で、その部分については全部を肩代わりし、一括して政府にお支払いする。政府を経由して、それぞれの被害に遭われた方々に対して賠償してくれということで、合意している話なのです。それなのにゴールを動かすような話は受け入れがたい。それを前提にしたとき、もし韓国が韓国最高裁の判決があるということを盾に、判決に基づいて執行するということになると、日本としては対抗措置をとることになります。しかし、それが最初に飯田さんがおっしゃった、ビザ発給の厳格化でいいのか、それだけで大丈夫なのかという問題がどうしても出て来るということです。

飯田)請求権協定、或いは日韓基本条約で、紛争のときの手続きの取り決めなどもある。そう考えると、最高裁の判事の人事なども恣意的だったのではないかと。日本としては、できることはビザの停止くらいしかないのですか?

野村)麻生大臣からは金融制裁という話も出て来ているので、経済制裁的なこともあるかも知れない。そうは言っても、国と国との間の信頼関係を急激に損なうような、相手がそう言って来ているから、こちらも子供の喧嘩のようなことをするというよりは、冷静に韓国政府に「国民をちゃんと説得して、自分たちが果たすべき役割を果たしてくれ」と言うべきでしょう。そういう外交的な努力はするのだと思いますけれどね。それでもダメだった場合については、もう少し強い措置を講ずる必要があるかなという気はします。

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