75年となる原爆の日~海外で京都よりも関心が高い“広島の悲劇”
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年8月7日 17時35分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月7日放送)に元内閣官房参与で前駐スイス大使、現TMI総合法律事務所顧問の本田悦朗が出演。被爆から75年となる「原爆の日」について解説した。
広島への原爆投下から75年
安倍総理)被曝75年という節目の年であります。我が国は、非核三原則を堅持しつつ、立場の異なる国々の橋渡しに努め、各国の対話や行動を粘り強く促すことによって、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取り組みをリードしてまいります。
8月6日に原爆が投下されて75年となる「原爆の日」を迎えた広島。平和記念式典では被曝者や遺族の代表をはじめ、安倍総理の他、83の国の代表などが参列した。
かつてのソ連では京都よりも広島に関心が持たれていた
飯田)核兵器禁止条約への加盟を、広島の松井一実市長が求めたなどということが紙面には出ていますが、どうご覧になりますか?
本田)あれから75年も経つのですね。広島・長崎への原爆投下は本当に痛ましいことで、犠牲になられた方には、心から哀悼の意を表します。私は1985年から1987年まで、ソビエト連邦時代のモスクワに勤務しておりました。そのときに、いろいろなソ連の方とお付き合いをしたのですけれども、皆さん、異口同音に「広島」という言葉を使うのです。彼らは核兵器を大量に持っているけれども、一般の国民はやはり持っているからこそ、核兵器の怖さを感じていらっしゃるのだと思います。ソ連の人に会って、日本に行きたいという人がいたとき、日本のどこに行きたいのか聞くと、ほとんどの人が広島と言うのです。京都などを挙げるかと思ったのですけれど、それくらい意識が強いのですね。
ソ連が崩壊するまで、スイスでは各家庭に核シェルターの設置が義務付けられていた
本田)その後、スイスで大使をやっていたのですけれども、スイスでは国中の至るところに核シェルターがあるのですね。いまは使われず、物置になっているのですが、ソ連が崩壊するまでは核シェルターの設置が法律で義務付けられていたのです。そして1年に1回は、実際に避難訓練をやっていました。ですから、核の驚異はまさに現実の脅威だったのです。ただ、実際には、すでに相当数の国家が核兵器を持っています。これを前提にすると、次の一歩は非常に難しくなる。核廃絶は素晴らしいのですけれども、極めて困難で、仮に物理的に廃絶できても、人間の頭のなかには核兵器をつくるノウハウが入ってしまっています。ですから逆説的に言うと、いちばん危険な時期というのは、核兵器が廃絶された瞬間が最も危ないのです。
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