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山と自然のスペシャリスト・橋谷晃~人はなぜ山に登るのか

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年10月12日 8時10分

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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に山と自然のスペシャリスト、ネイチュアリング・スクール「木風舎」代表の橋谷晃が出演。山に登ることの素晴らしさ、自然に出会うことの素晴らしさについて語った。

橋谷晃

黒木)毎日さまざまなプロフェッショナルの方にお話を伺う「あさナビ」。今週のゲストは山と自然のスペシャリスト、ネイチュアリング・スクール「木風舎」代表の橋谷晃さんです。まず、「木風舎」についての説明をお願いします。

橋谷)山にご一緒して、山の自然の魅力を伝えるガイドツアー、また、登山のための技術講習などを開催しているプロガイド集団です。活動の舞台は全国なのですが、事務所が東京にありますので、主に関東甲信越で開催することが多いです。

黒木)知っている山でないと、ガイドはできませんよね。最初はご自分で山に登って、研究して、そしてガイドをするということですか?

橋谷)自分たちで行って、「ああ、ここすごいな、誰かに紹介したいな」と思うところで開催します。

黒木)自然が相手ですので、体力だけではなくて、危険もありますよね。

橋谷)そうですね。我々の仕事の基本は、山へご一緒しながら、まずは皆さんの安全を確保するということです。それに加えて、1人で歩いているとなかなか気づかないような、自然の美しさや自然の仕組み、役割などを共有する。そしてそのなかで、そこにいらした人と人をつなげる。そんな仕事です。

黒木)小さいころから山や自然がお好きだったのですか?

橋谷)実は私、東京生まれの東京育ちなのです。

黒木)都会っ子ですか。

橋谷)初めて山に登ったのが、中学3年のときです。その翌年の高校1年のときに八ヶ岳に登って、そこから見た夕陽がとても印象的だったのです。目の前に諏訪の盆地が広がって、雲の彼方に中央アルプスや御嶽山がある。そしてまさしく海のように広がっている雲海をオレンジ色に染めながら、夕陽が落ちて行くのです。「すっげえなあ」と感動しました。いま落ちて行くこの夕陽は、どこか遠い国の人が、昼の太陽として見上げている夕陽なんだろうな、このスケールがすごいよなと、感激しながら見ていました。そのうちに何か違和感がある。何だろうと思ったら、「あ、実物と地図って違うじゃん!」ということに気付いたのです。

黒木)実物と地図が違う。

橋谷)地図でいちばん目立つのは、人間が引っ張った線です。大きく言えば国境とか、県境です。小さいところでは、隣との境目が線で描かれていますが、当然、本物にはそんなものはありません。頭で考えると当たり前なのだけれど、そのことに気づいたときに「ガーン」と衝撃を受けました。「自然ってそういうことなんだな」と。さら夕陽が沈むと、周りの山の岸壁がだんだんオレンジ色になって行きます。隣にあったダケカンバという山の木もオレンジ色に染まります。そのときに自分の体を見ると、自分のシャツも同じようにオレンジ色に染まっているのです。1つの太陽で何の隔たりもなく、「あいつのとこは照らすけどあいつのとこは照らさない」ということはなく、みんなオレンジ色に染まっている。「これが自然なんだな」と思ったときに、本当に涙が出て来たのです。それから山に行くということが、自分のなかで大きなものになったのです。

橋谷晃

橋谷晃(はしや・あきら)/ネイチュアリング・スクール「木風舎」代表

■1982年、ネイチュアリング・スクール「木風舎」を設立。代表を務める。
■山歩きの楽しみ方を教えてくれるネイチャーガイドとして活躍。
■山頂を目指すだけではない、自然を楽しむ山歩きを提案。登山、トレッキング、ネイチャースキー、自然感察プログラムなど年間100回ほどのスクールやツアーを開催。トレッキングとネイチャースキーのパイオニアとして知られる。
■NPO法人自然体験活動推進協議会、NPO法人日本エコツーリズムセンターなど、NPO活動を通して、日本の自然体験の活性化にも尽力。
■NHK・Eテレ『チャレンジ!ホビー・あなたもこれから山ガール』の講師や、テレビ朝日『大人の山歩き』のガイドとしてレギュラー出演するなどメディア出演多数。講演・イベント出演などでも全国を飛び回る。

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