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米大統領選~日米関係が良好になるのはバイデン氏か

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年10月12日 17時30分

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月12日放送)に慶應義塾大学教授・国際政治学者の細谷雄一が出演。トランプ大統領の選挙活動が再開された米大統領選挙について解説した。

第1回テレビ討論会 米大統領候補者討論会=2020年9月29日 写真提供:時事通信

トランプ氏、選挙活動再開

新型コロナウイルスに感染したトランプ大統領は10月10日、退院後初めて公の場に現れ、ホワイトハウスのバルコニーから、庭に集まった数百人の支持者に向かって演説した。また、ホワイトハウスは同日、「他人に新型コロナウイルスを感染させる危険はなくなった」という主治医の判断を発表した。

ドナルド・トランプ米大統領=2020年10月5日 写真提供:時事通信

新型コロナに対するそれぞれの思惑

飯田)遊説活動再開ということですが、この主治医の判断を踏まえて、「第2回テレビ討論会のスケジュールの再検討をしたらどうだ」ということも出ています。これはどう影響しますか?

細谷)バイデン氏は「オンラインでなければやらない」ということで、トランプ氏がウイルスを軽視している姿勢に対して、苛立っています。同時に、それを政治化して、「トランプ大統領がコロナウイルスの問題に適切な政策をして来なかった」というアピールに使えます。それぞれの思惑がありながらの行動だと思います。

米大統領選の第1回討論会を視聴する人(アメリカ・フロリダ州マイアミ)=2020年9月29日 写真提供:時事通信

スイング・ステートの6つの州で決まる

飯田)世論調査を見ると、バイデンさんが有利と出ていますが、前回の大統領選を考えると、世論調査を見てもわからないところがありますが、その辺りはどうご覧になりますか?

細谷)世論調査は、あくまでもアメリカ全体での数字ですので、選挙ではあまり関係ありません。それぞれの州で勝った方がすべてを総取りします。それぞれの選挙区、つまりこの場合では各州ということですが、このなかでの票を取るということです。毎回そうなのですが、スイング・ステートと呼ばれる6つの接戦州で、どちらが取るかで最終的には決まってしまう。ほとんどの専門家はこの6つの州を見ています。

飯田)6つの州のほとんどが中西部で、ラストベルトと呼ばれた、かつては重工業で発展したけれど、いまはそれほどではないペンシルベニアなどです。その辺りの州を注目しているようですが、以前は民主党が強かったところですよね?

細谷)そうです。民主党は、「労働者のための党」という印象がありましたから、90年代くらいまでは、基本的に民主党がこの地域は強かったのです。ところが、90年代後半からアメリカの政治が変わり、むしろ共和党の方が貧しい人たちにとって親近感のある政党となり、逆に民主党が、比較的高学歴で高所得のエリートの党という印象に変わってしまったということがあります。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

民主党支持者の多くが郵便票となり、郵便票に否定的なトランプ大統領

飯田)今回はコロナウイルスの影響もあって、投票行動が読めません。郵便投票が話題になっていますが、これはどう作用しますか?

細谷)純粋なアメリカ全体での世論調査を見ると、バイデン氏が10%ほどリードしています。接戦州をそれぞれ見ても、ほとんどの州で民主党のバイデン氏がリードしていて、トランプ氏にとっては厳しい戦いになっています。だからこそ、コロナに感染しても表に出て来て演説をしているわけです。ところが、この6つの州のリードの内容を見ると、実は4年前にヒラリー・クリントン候補と戦ったときよりも小さくなっていて、より接戦という状況になっています。そして、今回、最大の争点となるのは、郵便票です。感染が拡がっていれば、投票所で感染してしまいますから、多くの人が郵便票で投票する。ところが、郵便票の方法が、すべて州ごとに違うわけです。それぞれの州によって開票するタイミングや集計方法が変わって来ます。1月20日までに集計がすべて終わって確定するのかどうかわかりません。また、トランプ支持者は「投票に行く」と言っていますので、郵便票については、「コロナの感染が危ないから投票所に行きたくない」という民主党の支持者が多い。そうしますと、トランプ大統領は郵便票を開けたくありません。「郵便票は無効だ」ということで、訴訟になる可能性が高く、非常に難しい状況になるでしょう。

18日、オンラインの米民主党大会で、司会役を務める女性の後ろの画面に映し出されるバイデン前副大統領とハリス上院議員の写真(ゲッティ=共同)=2020年8月18日 写真提供:共同通信社

バイデン氏の方が日米同盟は重視される

飯田)特に安全保障面などで、どちらの候補の方が日本にとってよいかということを考えますが、その辺りはどう見たらいいですか?

細谷)バイデン氏は、トランプ政権が同盟を軽視していたということに対して、「バイデン政権ならば同盟を重視する」と言っています。これは、おそらくその通りだと思いますし、外交安保の専門家で、いままで日米同盟を支えて来た人たちが政権の中枢に入ります。そうしますと、比較的安心できる側面があります。ところが、この4年間、トランプ大統領は安倍総理と非常に仲がよかったですから、ヨーロッパとアメリカの関係は最悪になりましたが、日米同盟はいろいろな面で強化されたわけです。トランプ大統領は、貿易問題などを出して来るのでやりにくいのですが、アメリカの同盟国のなかで日米同盟だけは、例外に大幅に改善した部分があります。日本政府にとって、どちらがいいのかということは、なかなか判断が難しいと思います。もしトランプ大統領が勝てば、これまでよりも同盟軽視になって来ると思います。マティス長官のような、同盟を重視する人たちが共和党の中心から離れています。ボルトン補佐官もそうです。ですから、もしもトランプ政権が勝てば、これまでの4年間のようには行かないということです。

習主席、国連総会の一般討論演説=2020年9月11日 写真提供:時事通信

民主党政権に代わっても変わることはない対中政策

飯田)対中政策を考えると、民主党はオバマさんのときの記憶というのがあって、「中国に対して過度に融和的なのではないか」ということを言う方もいらっしゃいますが。

細谷)日本の専門家や、特に政府の関係者のなかには、かつてのオバマ政権の特に1期目のときに、スーザン・ライス補佐官を中心に、「アジアを米中関係を軸に考える」ということで、日本との関係はややサイドラインに置いて、中国と交渉してアジアを安定化させるという方針を取りました。この記憶がある政府の関係者のなかには、民主党に否定的な人もいます。しかし、いまの対中政策に関しては、両党とも同じように否定的な立場ですから、民主党政権に変わっても、大きく変わることはないと思います。

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