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尖閣と大和堆の警備~ここまで開いてしまった中国と日本の「防衛装備の差」

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年12月22日 17時30分

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沖縄県・尖閣諸島 手前から南小島、北小島、魚釣島 海上自衛隊の哨戒機「P―3C」 から

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月22日放送)にジャーナリストの有本香が出演。海上保安体制強化に向けた関係閣僚会議において、菅総理が尖閣領海警備のための大型巡視船の整備に積極的な発言をしたというニュースについて解説した。

沖縄県・尖閣諸島 手前から南小島、北小島、魚釣島 海上自衛隊の哨戒機「P-3C」 から=2011年10月13日 写真提供:産経新聞社

菅総理が尖閣警備のため大型巡視船を整備したいと述べる

菅総理大臣は12月21日、海上保安体制強化に向けた関係閣僚会議に出席した。このなかで21日に閣議決定した令和3年度予算案について、「我が国の海を守る海上保安官が崇高な使命を全うできるよう、今年度補正予算も活用しながら、尖閣領海警備のための大型巡視船などを整備したい」と述べた。

飯田)尖閣と大和堆と日本海についても言及があったようです。

イージス2隻を閣議決定へ 海上自衛隊のイージス艦「きりしま」=2020年11月27日 写真提供:共同通信社

大型巡視船を「整備したい」ではなく、「整備しなくてはいけない」

有本)大和堆のことを総理が言及したことはとても大きなことです。この大和堆に関しては、中国は北朝鮮から権利を買うということまでして、船を集めて送り出して来ているわけです。これはある種の両面作戦を試しているのです。海上保安庁としては、ある程度大和堆にも力を割きたいけれども、尖閣でいっぱいいっぱいになっているわけです。この状況は由々しきことです。大型巡視船を「整備したい」ではなく、もう「整備しなくてはいけない」のです。

飯田)なるほど。

日中・流出した衝突事件の映像=2010年 写真提供:時事通信

尖閣を守ることで限界になってしまい、大和堆の対応ができない

有本)振り返ってみるとこの10年の間に、中国側は尖閣諸島に関しての状況を変えて来ました。最初は漁船で来て衝突事故などを起こしたりしていました。その後、海警の船が来るようになって接続水域に滞在するようになり、船を大型化させて来ているから、波が高いときも来ることができるようになってしまいました。そして滞在もできる状況になってしまい、領海域内にいる時間も増え、いまや日本の漁船を追いかけるという状況です。11月には、中国側が海警法という草案を出しました。つまり中国の海警が自分たちの管轄する海だと主張し、おかしな船を見つけたら武器使用を許可するということです。このように中国側が大きく状況を変えて来ているなかで、日本はどうなのかと言うと、船の数だけは向こうと同じ数を揃えているようです。これがまたとても負担で、石垣にいる海上保安庁の状況を聞くと、4隻の中国船が待機していれば、4隻で行くわけです。しかし、その状況をつくるだけで限界になってしまい、それ以上のことをされてしまうとどうにもならない。大和堆のほうの対応も十分にできない状況になっているのです。

中国は2020年10月14日午前、広東省深セン市で深セン経済特区〈SEZ〉設置40周年を祝う盛大な大会を開いた。習近平共産党総書記・国家主席・中央軍事委員会主席がこれに出席し、重要演説を行った。〔新華社=中国通信〕写真提供:時事通信社

中国の海警法が通れば海保の船では対抗できない

有本)さらに先日、海上自衛隊の関係者の方が言っていたのですが、「いまの海保の船はペラペラだから」という言い方でした。「もし武器使用が許可されて、撃たれるということが起これば沈んでしまいます」ということです。そういう状況になって来ているわけですから、日本側の対応が遅すぎますよ。

飯田)武器使用を許すという法案が出ている状況で、先日、王毅外相が来て記者発表したときに、日本船のことを「不審船」と言っていましたからね。その定義で現場にいる海警の船は、法律が成立すれば射撃をして来る可能性があります。そこまでの裏を読むと、あの発言はものすごく恐ろしいですよね。

有本)あれを看過しては絶対にいけません。しかも世界に向けて開かれた場で言われてしまった。あれを許すということが、どういう意味かと全部つなげて考えると、とんでもない話です。

飯田)直に日本人の人命に関わる話ですね。

有本)完全に匕首を突きつけられた世界ですよね。

飯田)「中国が国内向けにアピールしたのだよ」と解釈している方もいますが。

日中外相会談 茂木外相と会談する、中国の王毅国務委員兼外相=2020年11月24日午後5時37分、東京都港区の外務省飯倉公館 写真提供:産経新聞社

国会で議論が進まなければ中国のエスカレーションは止められない

有本)まったく違いますね。すべて既成事実下のシナリオのなかの1つです。もちろん日本も海上保安庁の船は増やしていますが、向こうが武器使用を許して来るとなると、装備としてまったく不十分です。この問題は国会でもっと大きな議論になって先に進むような状況にならなければ、中国のエスカレーションは止められないと思います。昨日(21日)、たまたま自民党の何人かの議員とお話ししましたが、ここのところ、尖閣に関しては党内の部会でもそれほど議論が活発でないそうです。安倍政権のときのほうがこのような話は活発にしていたというようなニュアンスでした。個々の議員は問題意識を持っているはずです。その問題意識を大きな声にして与党内から政府にぶつけて欲しいですね。

飯田)イージス・アショアがなくなって、敵の射程外からミサイルを撃つなど、そういう議論に向かっていますが、これは一体でやらなければならないことですよね。

有本)一体でやらなければならないですし、いまわかっている話です。海保は本当に疲弊しているのです。この現実を、1日も早く楽にして差し上げなければならないわけです。この議論が活発でないというのは、よくないことだと思います。私たちが言うことによって、党内でも議論が活発になってくれればと思います。

中国、尖閣周辺の休漁終了 祥芝中心漁港を出港する中国漁船=2020年8月16日、中国福建省石獅市(共同) 写真提供:共同通信社

安全保障庁のようなものを創り、一体化して中国に向かうべき

飯田)中国は海警といっても、中央軍事委員会の傘下で一体としてやって来ているではないですか。ところが日本は、海保は国交省の外局にあって、防衛省があって外務省があって……と。

有本)おまけに、漁業船の取り締まりは水産庁ですから。丸腰の船ですから、海保よりもっと下のレベルになってしまいます。本来は、これを一体化しないといけないわけです。特に海の安全保障に関しては、EEZまで含めると日本の面積は世界第6位なのです。これを取り締まるというところを、ある意味シームレスにするという意味合いで、本来は安全保障庁というようなものを創って全部入れるべきですよね。

飯田)本来は国家安全保障局(NSC)がそれをやらなければいけないですよね。

有本)それを目指すための指令塔を創ったということだったと思うのですけれども、「国家安全保障局だけ創ってOK」となってしまっているのは違いますよね。

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