日本の農業におけるSDGsとスマート農業の現状
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年3月2日 17時35分
操縦レバーから手を放し、コンバインの自動運転を体験する村井嘉浩知事 =東松島市
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月2日放送)にジャーナリストの有本香が出演。ニッポン放送がフジテレビ、BSフジと共に国際社会共通の目標である続可能な開発目標(SDGs)について考えるプロジェクト「楽しくアクション!SDGs」。今回は日本の農業におけるSDGsへの取り組みについて、新行市佳アナウンサーのレポートを交えて解説した。
農業におけるSDGsへの取り組み
ニッポン放送は2021年1月、フジテレビ、BSフジと共に国際社会共通の目標である続可能な開発目標(SDGs)について考えるプロジェクト「楽しくアクション!SDGs」を発足した。今回は、日本の農業における取り組みについて、農林水産省大臣官房政策課技術政策室長の松本賢英に訊く。
高温でも粒が白くなりにくい米、着色が悪くなりにくいリンゴの品種開発
新行)農林水産省もSDGsに取り組んでいらっしゃるかと思うのですが、どういうところで取り組んでいらっしゃるのでしょうか?
松本)近年、局地的な大雨や大雪による被害、加工による農作物の品質低下など、気象変動による被害の頻度が高くなって来ております。世界の温室ガスの排出量を見ますと、世界では農業、林業に由来する排出が全体の4分の1を占める一方で、国内では農林水産業に由来する排出量の割合は4%と小さいのが現状です。このような課題に対する取り組みですけれども、適応策としましては、例えば高温でも米の粒が白くなりにくいような品種の開発であるとか、高温でも着色が悪くなりにくいリンゴの品種開発などが行われております。また、杉の場合ですと、成長速度が従来品種の3倍程度あるような品種の開発、「エリートツリー」と呼ばれていますけれども、そういったものであるとか、あとは海藻類が生い茂るような干潟を再生して行く、ブルーカーボンというようなものなのですが、こういったことなど、CO2の吸収対策の取り組みも併せて進めております。
新行)なるほど。
松本)持続可能な食糧生産システムという観点からは、例えばスマート農業技術を使って農薬の散布量を大幅に減らすという取り組みも、実際の農業現場で行われるようになって来ています。
スマート農業の現状
新行)スマート農業という言葉が出ましたが、実際にスマート農業を実践している農家の皆さんからはどういう反響がありますか?
松本)自動化による省力効果というのは明らかになりました。例えばドローンを使った農薬散布ですと、従来よりも8割の省力効果が得られていますし、水田の水管理をスマートフォンで自動で行える水管理システムについては、9割くらいの省力効果が得られています。ただ、課題もいろいろと見えて来ていまして、価格面では開発されたばかりのものが多いため、高額ということで、例えば高額なロボットトラクターなどについては、今後は共同で利用するとか、シェアリングをするようなサービスなど、仕組みを整備して行くことが課題だと考えています。スマート農業を進めることで、かっこよくて稼げる農業を実現したいと思っています。これからもさまざまな技術開発を行って、辛い作業や危ない作業を減らし、データやAIを活用した新しい農業の形を追求して行きたいと思っています。ぜひ、皆さんにも大いに関心を持ってスマート農業を見ていただければ幸いです。
全国148ヵ所で行われているスマート農業の実証プロジェクト
飯田)スマート農業について、番組ではJA千葉の方々に協力していただきました。いまは「JAかとり」の神崎というところでCozy米というお米をつくっていただいて、皆さんにもお裾分けをしています。コロナ前ですけれども、田植えや稲刈りでお邪魔したときも、「向こうの畑では、いま東大と組んでスマート農業の実証をやっているんだよ」と言われました。
新行)スマート農業の実証プロジェクトというのは現状、全国148ヵ所で行われているのだそうです。
飯田)GPSを使って無人でコンバインを動かしたり、無人で田植えをしたり、それだけでもだいぶ省力化になります。
新行)お話を聞いていると、人手不足や身体に負荷がかかる仕事もたくさんあります。もちろん、スマート農業を導入すれば、それですべてが解決するということではないのですが、取り組んで行くことで、持続可能な農業につながって行くという話なのかなということは、お話を伺って感じました。
飯田)松本室長もスマート農業の農機具は高いので共同利用するということでしたが、いろいろな工夫が必要ですね。
有本)これは制度面でも、共同化やシェアが簡単にできるようにしなければいけないというところはあるでしょうね。農業に関しては、昔から一家が1つの単位としていろいろなことが行われて来たではないですか。会社や企業が参入することにもいろいろなハードルがありましたので、その辺りをもう少し効率的に考えて行く必要が日本に関してはあるでしょうね。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ミカン農家がドローン学校、園地で散布訓練 かんきつ栽培で普及促進、負担軽減を後押し
共同通信 / 2024年4月18日 8時3分
-
IoT×農業「スマホでかんたんに田んぼの水管理」を行うことができ、作業負担を80%削減できるサービスを提供する株式会社笑農和事業拡大に伴い、東京支社を開設
PR TIMES / 2024年4月16日 11時45分
-
アップサイクルでコーヒーの香りひきたつカップ開発 工場で発生する規格外の廃棄コーヒー豆20%使用 AGFとアサヒが共創
食品新聞 / 2024年3月31日 17時3分
-
日本経済の今後は「規制改革がどれだけできるか」による
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年3月29日 17時30分
-
「6月解散」ができなければ、「総裁選立候補」も難しい岸田総理
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年3月25日 18時30分
ランキング
-
1那須・遺体遺棄 県警が黒色セダンを押収 2人を運んだ車か
毎日新聞 / 2024年4月19日 22時33分
-
2男性「出頭前に3人で相談」=発見前夜、防カメに宝島さん―那須2遺体・栃木県警
時事通信 / 2024年4月19日 23時6分
-
3現役教員ら「現場の声を聞いて」“給特法”4%から10%以上に引き上げ案に懸念
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年4月19日 20時46分
-
4「あり得ないことが起きている」…荻原博子さんかたる投資偽広告で7000万円被害、削除依頼もメタ対応鈍く
読売新聞 / 2024年4月20日 7時1分
-
5機能性表示食品見直しへ消費者庁が初会合 報告ルール整備など焦点に
毎日新聞 / 2024年4月19日 19時48分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください