安倍前総理が1年前から計算していた「ワクチン100万回」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年6月16日 22時10分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月16日放送)に安倍晋三前総理大臣が出演。総理大臣在任時に悩み、実行したさまざまな事柄について語った。
安倍晋三前内閣総理大臣に訊く~リーダー論、東京オリンピック・パラリンピック
安倍前総理が特別インタビューとして6月14日(月)~18日(金)のニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に毎日出演。ここでは安倍政権のリーダー論について、東京オリンピック・パラリンピックへの期待について訊いた。
政権にどのくらいの政治的な資産があるか~資産を削りつつ民意を見ながら判断する
飯田)内閣総理大臣は行政のトップでもあり、いろいろなことができると。新聞によっては「独裁だ」というような批判までありました。実際には、消費税の増税も「止める」などと言えずに2回延長しました。日本の国というのは、頑張らないと動かないですか?
安倍)総理大臣と言っても、その前に自民党の総裁であり、自民党のなかでの意見の集約も必要です。そして連立政権の相手である公明党があり、国会運営があります。さまざまなハードルを越えて行くなかにおいて、足場が崩れてしまえば、政権は崩れてしまうのです。ですから足場が崩れるかどうかということを見計らいながら、こちらにどれくらいの政治的な資産があるかどうか。ゼロになったら倒れてしまうわけです。この政治的な資産を削りつつ、民意も見ながら判断をしなければいけないということです。
東京オリンピック・パラリンピック~コロナ禍のいまだからこそ人々に勇気と夢を与えるスポーツの力が必要
飯田)オリンピックの開催まで、あと1ヵ月余りですけれども、オリンピック・パラリンピックについてはいかがですか?
安倍)1964年のオリンピックについては、菅総理も自分の思い出を語っていました。私も10歳だったのですが、当時の「東洋の魔女」の活躍、三宅選手の重量挙げなど、もうドキドキしました。自衛隊が東京の空に五輪の輪を描いた、あれを屋根に上がって兄と2人で見たのです。私たちの世代以上の方は皆さん、共通の思い出を持っています。「日本がいよいよ世界にデビューしたのだ」と思った。これはとても大切です。よく絆と言いますが、絆は共通の思い出から生まれることもあると思います。日本人の選手が活躍して目立つと嬉しいではないですか。親戚の子がメダルを獲ったわけでもないのに。
飯田)そうですね。
安倍)そういう1つの一体感を持つということは、とても大切だと思います。特にいまはコロナ禍の状況で、どうしてもリモートになりますよね。リアルに対面でいろいろな話をしたり食事をすることができないなかにおいて、みんなが絆を確かめ合う、その瞬間が生まれて来るのだろうと思います。それは日本だけではなく、世界中ですよね。
飯田)世界中で。
安倍)世界中でそういうことが起こるわけですから、その意味において、人と人とのつながり、絆を確かめ合うことがいまこそ必要とされているのではないでしょうか。子どもたちに夢や勇気を与えるのは、やはりスポーツの力です。私も五輪を誘致するとき、ブエノスアイレスのIOCの大会でスピーチをしました。スポーツの力ということを訴えました。あのときは東日本大震災からの復興があり、復興を成し遂げた日本の姿がありました。そして、復興に向けて、スポーツの力があったということを申し上げたのです。いま苦しい状況にある皆さんに勇気を与えるためにも、五輪を成功させたい。だからこそ、いまワクチンの接種を進めています。とうとう1日100万回になりました。「そんなこと、できるわけがない」と一時は批判されていましたが、とうとう100万回になり、新たに学校や職場が協力してやっていただけることになりました。
「ワクチン100万回」は2020年5月から予定されていたこと
飯田)オリンピック・パラリンピックについても語っていただきましたが、高橋さん、どうお聞きになりましたか?
数量政策学者・高橋洋一)ワクチン100万回の話を言っておくと、「100万回などできるわけがない」と皆さん言っていたのですが、2020年5月、2次補正のときにワクチンに関しては1300億円の補正予算でつけているのですよ。そのときの積算を言えば、ファイザーが前提だったから、冷凍施設が必要なのだけれど、これを全国1万ヵ所で積算しているのです。
飯田)1万ヵ所。
高橋)1万ヵ所の積算だと、そこで1日に100人打つというのは難しい数字ではありません。100人には3時間ほどで打ててしまいます。だから100万回というのは、別にとんでもない数字ではないのです。安倍さんのときから予算をつけてやっていますから。多分彼はできると思っているのだと思います。
飯田)なるほど。
高橋)確かに1万ヵ所をつくらないとできないのですよ。あとは供給の話なのだけれども、2021年3月のときにほぼ決まっていました。そして菅さんがアメリカへ行ったときに、ファイザーと話をしてOKになったでしょう。あのときに、6月末までに1億回分が来るとわかったわけです。6月に1億回が来るということになると、高齢者はそれで全部OK、2回打っても余ってしまうのです。それはもうわかっていたのです。
難しかったのはオリンピックの延期という決断~ベストシナリオは「延期」だった
高橋)安倍さんが大変だったのは、1年前、3月のときにオリンピックを延期するという話。あのときは1つの決断だったと思いましたよ。
飯田)オリンピックを延期すると。
高橋)1年前の、4ヵ月間前でないと延期できなくなってしまうのでね。あのときのベストシナリオは、中止ではなくて延期だったのです。それを決断したのが大変で、あとはそれに間に合わせるようにいろいろなことをやっていた。ワクチンのこともやっていたと思います。
飯田)当時は確かに中止論もかなり出ていましたね。
高橋)オリンピックの規定上、延期というのは難しいのです。だから延期にかけたというのは1つの勝負だったのです。それとともにワクチンに関しても準備していた。それが予定通りに来ているのだと思います。こういうことが報道されないから、みんな「とんでもない数字だ」と、「逆算で100万回と言ったのだろう」と言う人もいるのですが、そうではありません。2020年5月ぐらいから予定されていた話です。
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