家庭でできる「食品ロス」対策
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年7月15日 11時15分
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(7月8日放送)に食品ロス問題ジャーナリストの井出留美が出演。世界中の食品ロスに対する取り組みや具体的な食材の保存方法について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。7月5日(月)~7月9日(金)のゲストは食品ロス問題ジャーナリストの井出留美。4日目は、世界や日本で行われている食品ロス対策への取り組み、そして家庭でもできる食材の保存方法について—
黒木)世界が抱えている食品ロス問題について、私たちも積極的に取り組みを進めていく必要があります。世界でも日本でも、食品ロスを削減するためにさまざまな取り組みがあるそうなのですが、どのような取り組みがされているのですか?
井出)デンマークでは、賞味期限を過ぎても美味しく食べられるものであれば、値段を少し下げて売るというような、「賞味期限切れスーパー」というものが登場していて、日本にも最近、出て来ています。魚でもお肉でも野菜でも、規格外のものが発生しますが、規格外のものを美味しく調理して提供するようなレストランや居酒屋さんもあります。あるいは消費者自身が生産者から直接買えるような取り組みも出て来ています。
黒木)いろいろな取り組みがなされているのですね。世界中における地球問題となっているということですね。
井出)人口が2050年には90億人、100億人になると言われていますが、そうなると足りなくなり、いまある資源を食べ尽くさないといけなくなってしまいます。
黒木)食べ残しを再生可能なエネルギーにする取り組みもあるということですが。
井出)オランダでは食べ残しを発電に使っています。スウェーデンでは、コーヒーのカスやバナナの皮でバイオガスをつくり、バイオガスで街中をバスが走っています。
黒木)日本ではどうですか?
井出)日本でも、一部では、使い古した天ぷら油を使ったリサイクル燃料でバスを動しています。コンポストにしたり、家畜の餌にするという取り組みもあります。
黒木)家庭でできる保存方法もぜひ教えてください。
井出)私は毎朝、野菜と果物でスムージーをつくっています。それに青菜やレモンやバナナなどを入れるのですが、青菜は市販の野菜保存袋に入れると鮮度が持つのです。チンゲン菜を野菜保存袋に入れないで1か月間保存したものと、入れて保存したものでは、入れたものの方が根っこまでみずみずしいまま持ちました。
黒木)私も野菜保存袋は活用しています。
井出)また、バナナは時間が経つと黒くなります。バナナの黒や茶色の部分は「シュガースポット」と言って、甘味や香りが増していて、ポリフェノールという体にいい成分が増えているのです。私はわざわざ黒くなったものを選んで、熟したものを冷凍し、それをスムージーに入れたりしています。
黒木)他にはどのようなものがありますか?
井出)モヤシですね。
黒木)足が早いのですよね。
井出)できるだけ使う日に買って来た方がいいのですが、それができなかったら、できるだけ袋を開けておいた方がいいです。密閉のままだと、茶色い汁が出てしまうので、袋を開けておく。密閉容器に水を張って入れておいたり、レンジで一回チンをしておくという方法もあります。
黒木)それからキュウリも。
井出)キュウリは使う量だけ買ってくるのがいちばんいいのですが、多めに買ったときに、斜めに輪切りにして、ザルに並べてベランダなどで干します。カラカラになるまで干すのではなく、若干、水分が抜けるくらいまで干して、塩もみをして、それを甘酢に漬けておくとすごく美味しいです。生でもキュウリは噛みごたえがありますが、半乾きのような状態にすると、さらに噛みごたえが出て、夏にいいと思います。
黒木)なるほど。
井出)キャベツやレタスは丸ごと買ったら、裏返して芯のところをくり抜き、そこにキッチンペーパーや新聞紙などを湿らせたものを詰めておいたり、爪楊枝を固い芯のところに刺しておくと成長を止めることができます。
黒木)卵もありますか?
井出)卵は冷蔵庫に入れるときに、昔の冷蔵庫だとドアポケットに卵入れが付いています。しかし、本当はあまり揺らしてはいけないそうです。
黒木)そうなのですか。
井出)奥の方に入れた方がいいです。
井出留美(いで・るみ)/ 食品ロス問題ジャーナリスト
■株式会社office 3.11代表取締役。
■奈良女子大学食物学科卒。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。
■ライオン、青年海外協力隊を経て、日本ケロッグ広報室長などを歴任。
■東日本大震災での食料支援で食料廃棄に衝撃を受け、自らの誕生日であり、東日本大震災の発生日でもある3月11日を冠した「(株)office3.11」を設立。食品ロスの問題を訴え、2019年施行の「食品ロス削減推進法」成立に協力。
■政府・企業・国際機関・研究機関のリーダーによる世界的連合Champions12.3メンバー。
■食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして、第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門、Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018、令和2年度 食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞を受賞。
■著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』『捨てられる食べものたち 食品ロス問題がわかる本』など。
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