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震災から10年「何かできないか」がカタチに 陸前高田市にできた発酵パーク「CAMOCY」誕生秘話

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年8月30日 11時30分

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岩手県・陸前高田市にある商業施設「発酵パークCAMOCY(カモシー)」のプロデュースを手がけた料理家・山田英季(やまだ ひですえ)さんが、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)に出演。東日本大震災で被害を受けた地域との関係や、同施設をオープンするまでの経緯を語った。

山田さんはフレンチ、イタリアン、和食などのレストランでシェフを歴任後、2015年11月に(株)and recipeを設立し「ごはんと旅は人をつなぐ。」をテーマにしたサイトを運営。雑誌やTVへの出演、メニュー開発、イベントプロデュース、スタイリングなどマルチに活動し、2020年12月にオープンした発酵パークCAMOCYをプロデュースした。

施設の場所は、岩手県陸前高田市今泉地区。今泉という地名の通り、地下水がこんこんと湧き出ていたこの地では、昔から醸造業が盛んだったそうだ。CAMOCYでは「発酵」をテーマに、発酵なしには作れない定食やデリ弁当、パン、チョコレート、クラフトビールを販売する他、ポップアップレストランやワークショップができるキッチン付アトリエを備えている。

■会社「and recipe」を立ち上げたわけ

上柳:and recipeのホームページを拝見したところ、非常に充実していて、お料理をいろんな方面から見ているなと思いまして。会社をどういう思いで立ち上げたのでしょうか。

山田:レストランでの修業や、飲食店を経営していた中で、飲食店は飲食店の中で情報がまとまってしまっている、と感じていて。例えば、テレビCMのご飯を用意するようなフードコーディネーターさんとか、僕のようにレシピを立ち上げて雑誌・書籍にする料理家とか、それぞれ交わる機会がないんです。

上柳:ほう。

山田:みんなおいしい情報をたくさん持っているのだから、もっと交流した方が世の中がおいしくなるんじゃないか? と思ったんです。

上柳:元々はイタリアンレストランでシェフとして勤務されていたり、ご友人ともつ焼き屋さんをオープンして、山田さん自身も料理を作ったり、いろんなレシピも開発して。そして、たくさんの食のプロを繋いだり、潤滑油の役をしたり、そういうことをされているんですね。

■気仙沼、陸前高田との関係

上柳:実は私、東日本大震災の時にたまたま生放送を担当していて、身の安全を呼びかけたり、津波が……という放送をしたこともあって、毎年、東北を一巡することを続けているんです。岩手県陸前高田にも毎回行っていて、10年間の変遷を見てきたのですが、今年、「陸前高田の発酵パークCAMOCYに行った方がいいよ」と言われて。

山田:ああ、そうだったんですね。

上柳:ちょっと写真を見たら、オシャレな所だなぁと。元は醤油を作っていた所が、津波の被害を受けてしまったんですよね? それで、その話の中で山田さんの名前が出てきたわけです。

山田:ありがとうございます。

上柳:CAMOCYでは、「発酵」をテーマにしたものを食べたり、買ったりできて。こことはどういった経緯で関わりが生まれたのでしょうか?

山田:僕は兵庫県出身で、小学校6年生くらいの頃に阪神・淡路大震災を経験したんです。

上柳:僕も子供の頃、兵庫県・高砂に住んでいたんですよ。

山田:ああ、そうなんですね! 地震で大変なことが起こっていることは分かったんですけど、小さい頃は何もできることがなかったんですよね。でも、東日本大震災の時はもう大人になっていたので「何かできないか」と。編集者の方やカメラマンさんなどと「とりあえず1回行ってみよう」という話になり、震災の3か月後に車で行ったんです。

上柳:ああ、まだ大変な時期ですねぇ……。

■忘れられない「おもてなし」

山田:宮城県庁の方がアテンドしてくださり、気仙沼や陸前高田の経営者さんにお話を伺う機会があったんですが、すごくもてなされてしまって。僕らが何かをやるために行ったのに……。

上柳:ああ、よく分かります!「よく来てくださいました!」「これ、食べていってちょうだいね!!」って言ってくれるんですよね。でも、こちらはそんなつもりじゃないから「いえいえ、そういうのじゃないんです、いいです、いいです」って言うんですけど。こんなに大変な時なのに歓迎してもらって、っていうのがあるんですよね。

山田:そうなんです。それで、こことは切れない関係性になるだろうなと。いまだにその時にお会いした方々と一緒に仕事をさせてもらっています。ただ、最初はお手伝い出来ることがなかったんです。そもそも工場が流されているという状況でしたので……。震災から2年、3年と経つのですが、陸前高田だけはなかなか手伝いができず。

上柳:陸前高田は中心部を嵩上げして、みんないなくなっていますしね。荒涼とした大地が広がっている状態が何年も続きましたからね……。

山田:そういう中で、岩手県陸前高田にある老舗しょうゆ店「八木澤商店」の社長・河野さんと知り合い、「震災から10年を境にいろいろな補助金関係が終わるし、自分達が生きてきたDNAが残った町に、もう一度、発酵で地域に恩返しがしたい。新しい挑戦として食堂をやりたい」という話をされたんです。

上柳:食堂ですか。

山田:その食堂のレシピを立ち上げてほしいということで「ぜひ、いくらでもやります」ということで話が広がり、商業施設を作りたいという話になりました。

上柳:それが、CAMOCYなんですね。

■陸前高田への思いとこだわりを詰め込んだ、発酵パークCAMOCY

山田:CAMOCYには、老舗しょうゆ店・八木澤商店さんがやっている食堂「発酵食堂 やぎさわ」の他にも、発酵デリ「DELI and BENTO gentil」。世界で初めて薬剤師が作るチョコレートを味わえる「クラフトチョコレート CACAO broma」。先日、初めて初しぼりが行われた「クラフトビール醸造所 陸前高田マイクロブルワリー」。パン屋さん「ベーカリー MAaLo」。

上柳:そう、あのパン屋さんもいい香りがしていました!

山田:他にも、うちの会社が2坪の小さいスペースで本を貸し出したり、飲食業界のワタミさんがエネルギー事業をやっていたり、CAMOCYを応援してくれています。

上柳:CAMOCYはすごくウッディな感じの建物で。僕は夕暮れ時に行きましたが、それまでずっと外を回っていたので、なんかほっとする所でしたね。周りはまだあんまり無いんですけど、あそこだけポッと明るくて温かい所だなぁと。

山田:ありがとうございます。建築家さんとも話をして、日本人はテーブルよりもちゃぶ台の生活の方が長いし、床に近い方が落ち着けるというような話もして、じゃあ椅子やテーブルを低くしようとか。

上柳:山田さんはメニューだけでなく、そういうこともされているんですね。

山田:はい。CAMOCYはフードコート的な作りにはなっていますが、通常のフードコートは、お客さんより従業員の方が高い位置に設計されているんです。水はけの問題とかもあるので。ですが、CAMOCYではお客さんと同じ目線を作りたい、天井を高く見せたいという話から、フラットにしています。それから、建築材も地元のものをかなり使っています。

上柳:食をどういう雰囲気で提供するか、というところも山田さんがいろいろアイデアを出していたと。

山田:はい。

上柳:来年も必ず行きます。年に1回くらいしか行けないですが、改めてちゃんとCAMOCYを見てきますね。

山田:ぜひぜひ!

「自分達に何かできることはないか?」と向かった東日本大震災の被災地で、一番つらい状況にある地元の人達に、温かいもてなしをされたと、当時のエピソードを語った山田さん。彼らからの優しさがずっと忘れられず、陸前高田の人々の新しい挑戦に快く賛同したという。東日本大震災が起こった2011年3月11日から、たゆまぬ努力を続けてきた現地の人々と、それを支えた多くの人々とで作り上げられた、発酵パークCAMOCY。一度は訪れてみてはいかがだろうか。

料理家・山田英季さんと、上柳昌彦アナウンサーの詳しいトーク内容は、「食は生きる力今朝も元気にいただきます」特設コーナーHPから、いつでも聞くことが可能だ。

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