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中国がTPPに加入したい本当の理由

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年9月25日 11時35分

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 19日、清華大学で行われた教師や学生代表との座談会で重要演説を行う習近平氏。習近平(しゅう・きんぺい)中国共産党中央委員会総書記・国家主席・中央軍事委員会主席は19日、間もなく創立110周年を迎える清華大学を視察した。(北京=新華社記者/鞠鵬)= 配信日: 2021(令和3)年4月20日、クレジット:新華社/共同通信イメージズ

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月24日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。中国外務省の趙立堅報道官の、記者会見での台湾のTPP加入申請への反発について解説した。

習近平氏、清華大学を視察(北京=新華社記者/鞠鵬)= 2021(令和3)年4月20日 新華社/共同通信イメージズ 写真提供:共同通信社

中国が台湾のTPPに反対

中国外務省の趙立堅報道官は9月23日の記者会見で、台湾の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入申請について、「公的な性質を持つあらゆる協定や組織への参加に断固反対する」と反発した。台湾の蔡英文政権が認めていない「一つの中国」の原則を掲げ、台湾への圧力を強めるとみられている。

飯田)戦闘機などが台湾の防空識別圏に入って来たとか。

宮家)中国が台湾のTPP加入に反対と言いますが、自分は入りもしないで、「他人を排除する」などと言っている暇はないでしょう。「まずは入ってよ」という話です。中国の人は怒るかも知れないけれども、あえて比喩で言えば、仮にTPPが大学院だとしたら、はじめは小学生だった中国がやっと中学生くらいになって、まだ中学生なのにWTOへ入ってしまった。「中学生だからいいか」と下駄を履かせ、何も努力せずWTOのメンバーになっているわけです。

中国は台湾のことを言う前に勉強をしなさい

宮家)中国に比べて台湾は、私に言わせれば大学を卒業しているレベルです。だからもう少し勉強をすれば入れるかも知れない。そのくらい違うわけです。中国は他人のことを言う前に、まず入りなさい。入るためにはまず勉強をしなさい、たくさんある宿題をやりなさい、ということですよ。そもそもTPPは、中国に改革をさせるためのいろいろな仕掛けが入っている国際合意です。単なる貿易協定ではないのです。

飯田)関税云々の話だけではないわけですよね。

宮家)国有企業の改革も含めて、いろいろな仕掛けがあるわけです。朝日新聞には「TPP加盟争い」と書かれていましたが、別に映画館に入るわけではないので、早い者勝ちとか、お金を出せば入れるということではありません。

中国がTPPに入ろうとする理由

宮家)中国がTPPに入れないのはわかっていると思うのですが、アメリカが入っていませんから、日米などの分断のいいチャンスだということで、腹を括ったのだと思います。でも中国は、おそらく交渉してもなかなか入れないと思います。

飯田)分断の。

宮家)そういう動きを見せれば、台湾は当然、以前から入れる実力があるわけですから、加盟を考える。台湾が「入りたい」と言うと、中国は入ってもいないのに「排除しよう」ということになるわけです。

日本は中国には改革を求めつつ、アメリカには復帰を求める

宮家)日本がどうしたらいいかと言われれば、中国に対しては、「入りたいのであれば、あなたは高校生なのだから、まず大学の試験を受けて卒業して、大学院に入るための資格を取りなさい。国内市場を積極的に開放しなさい、自由化しなさい、規制緩和をしなさい。国有企業も改革しなさい」と言うべきです。これがまず大事です。

飯田)自由化しなさいと。

宮家)同時に、いろいろ新聞は書いていますけれども、アメリカに対しては、「あなたがいないうちに、こんなことになっているのだから、復帰を考えてください」と。「もともとこういう目的で作ったのだから、早く帰って来てください」と言うべきです。ただ、TPPという名前では、いまのアメリカ国内では復帰は政治的に無理だから、少し難しいのですけれども。日本は、中国には改革を求めつつ、アメリカには復帰を求めるということだろうと思います。

国内問題により、TPPに戻れないアメリカ

飯田)茂木外務大臣がブリンケン国務長官に対して、復帰を促したという報道が9月23日にありました。

宮家)それは正しいのですけれども、アメリカはいま「イエス」とは言えないでしょうね。

飯田)国内問題が。

宮家)とてもではないけれども、そういう状況ではないと思います。それを中国が突こうとしているわけですから。よくよく考えて行動しなくてはいけません。

TPPに入るのに国であることが条件ではない

飯田)貿易と言うと、中国がWTOに加盟するときは、台湾との同時加盟という形でしたよね。

宮家)そうでしたね。忘れてはいけないのが、中国は「一つの中国だから」とおっしゃるけれども、貿易経済の世界では、関税区域というものが1つの加盟資格になっていますから、台湾はWTOに入れるのです。

飯田)香港は別で入っていますよね。

宮家)私は昔香港とWTOで交渉したことがありますよ。H、I、Jと席が近いから、仲よくしていました。ですから、別に加盟するのが国でなくてはいけないということはないのです。まったくお門違いだと思うのだけれど、それも中国がこの問題を政治化しようとするプロパガンダの一環だろうと思います。

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