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東京新聞で好評連載中の4コママンガ『伝染(うつ)るんです。』。27年ぶりに復活させた理由と、続編を描いて見えてきたこととは…

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年9月25日 10時30分

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ニッポン放送「八木亜希子LOVE&MELODY」(毎週土曜日8時30分~10時50分)の番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【東京新聞プレゼンツ10時のグッとストーリー】

平成元年に連載がスタートした4コママンガ『伝染(うつ)るんです。』かわうそ君や、カブトムシの斎藤さんなど、個性的なキャラクターも人気を集めました。作者の吉田戦車さんが、今年4月からその「続編」として、東京新聞で毎週土曜・日曜に新しく連載を始めたのが『かわうそセブン』。

かわうそ君はじめ、『伝染(うつ)るんです。』でおなじみのキャラクターたちが登場するオールカラーの4コママンガです。吉田さんが27年ぶりに彼らを復活させた理由と、久々に続編を描いて見えてきたことを、吉田さんご本人に聞いてみました。

従来の4コママンガの常識を破る内容で、1990年代前半に「不条理ギャグマンガブーム」を巻き起こした『伝染(うつ)るんです。』。連載が始まったとき、作者の吉田戦車さんはまだ20代半ばでした。『天才バカボン』の赤塚不二夫さんや『がきデカ』の山上たつひこさんらの影響を受けギャグマンガを描き始めた吉田さん。独特の尖ったセンスが評価され『週刊ビックコミックスピリッツ』から連載のオファーが来たのです。

『伝染るんです。』は徐々に人気を集め、他のマンガには出てこない個性的なキャラクターたちも人気者になっていきました。その代表が「かわうそ君」です。一見カワウソのようですが、2本の足で立ち、顔つきや話すこと、考えることは人間そのものです。「かわうそ君は、喫茶店で編集者と打ち合わせ中に、『こんなキャラクターはどうかな』とコースターに試し描きして生まれたんです。最初は着ぐるみを着た人間のつもりでした」

ところが、人間なのか動物なのか分からないところが受け、その発展形で、木の幹に下宿するカブトムシの苦学生・斎藤さんや、イルカみたいな口で、円筒形の長い胴体をした山崎先生、恨めしそうな目をしたシイタケなど、他のマンガには出てこないキャラクターが生まれました。「『伝染るんです。』は社会にうまく適応できないけど、自分なりのやり方で頑張っている彼らの姿を描いて、その微笑ましさを笑ってもらおう、という意図があったんです」と言う吉田さん。その後、動物や物を擬人化した「ゆるキャラ」がブームになり、はじめは異色の存在だったかわうそ君たちも、いつしか普通のキャラクターとして受け入れられるようになっていきました。

やがて時代が平成から令和に変わり、20代だった吉田さんも50代に。SNSなどの普及によって、不謹慎なネタが厳しく糾弾される「炎上」も起こり、かつては“悪ふざけ”で済んだものもだんだん許されなくなってきました。「昔より、自粛するネタが増えていきました」という吉田さん。そこに舞い込んだのが『かわうそセブン』の話でした。かわうそ君が東京新聞のCMキャラクターになったのをきっかけに、「新聞連載で彼らの“今”を描いてみませんか?」というオファーを受け、引き受けた吉田さん。それは20代のとき、自分の中にあったものに、もう一度向き合うことでもありました。

今年の春に連載がスタート。「新聞連載ということで、どうしても時事性は意識しますね」と言う吉田さん。かわうそ君が、可愛いとブームになった「コツメカワウソになりたい」と言ってみたり、カブトムシの斎藤さんが木の幹にある「シェアハウス」に住んでいたり、食事宅配のバイトをやっている、などなど……。

「かわうそ君にしろ、斎藤さんにしろ、みんな不器用なんだけど、自分の生き方は変えずに、今を何とか生き抜こうとしている。彼らをどうやって時代にフィットさせたらいいのか?その方法を考えるのが楽しいですね」と言う吉田さん。彼らの時代との戦いは、吉田さん自身の戦いでもあるのです。閉塞した世の中に、生きづらさを感じている人も多い今の日本社会。

自分の描くマンガが少しでも、そういう人たちの心の救いになれば、と吉田さんは願っています。

「マンガの中では、戦争も犯罪もない、明るく笑える世界を描きたいんです。

『ああ、かわうそ君たち、相変わらずバカなことやってるな!』と笑ってもらって、世の中のツラいことを、一瞬でも忘れてもらえたら嬉しいですね」

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