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1300年の間に2人だけ! 難行を成し遂げた大阿闍梨・塩沼亮潤が語る「修行」の意味

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年10月5日 8時22分

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黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(9月27日放送)に福聚山・慈眼寺住職、大阿闍梨(だいあじゃり)の塩沼亮潤が出演。大阿闍梨になるまでの過酷な修行について語った。

塩沼亮潤

塩沼亮潤

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。9月27日(月)~10月1日(金)のゲストは福聚山・慈眼寺住職、大阿闍梨の塩沼亮潤が出演。1日目は、大阿闍梨になるまでの過酷な修行と、お坊さんはなぜそのような修行をするのかについて—

黒木)阿闍梨の方でも、「大」が付く「大阿闍梨」の方ははじめてです。本当に神様のような方なので、今週は徳をたくさんもらいにきましたが、大阿闍梨のことを知らないリスナーの方もいらっしゃると思うので、塩沼さんから教えていただけますか?

塩沼)修行をすると大阿闍梨という称号を戴けるのですが、わかりやすく言うと、大学の教授職のようなものです。教えを授けることができるという立場です。

黒木)大峯千日回峰行(おおみねせんにちかいほうぎょう)というものがあって、吉野の山頂までの道なき道、48キロを夜中の0時30分に出発して、また3時半ごろに戻って来る、ということを1000日繰り返した方なのですね。

塩沼)1年間に4か月しか歩けないので、9年かかります。

黒木)山が開いているときということですね。それを成し遂げた方が、この1300年の間に2人目ということで。

塩沼)奈良の吉野山では、私で2人目ということになります。比叡山延暦寺では60人くらいいらっしゃるのですが、奈良の山の方は厳しいので、挑戦する人がいままでいなかったのです。

黒木)そのような修行をなさって、そのあと、四無業(しむぎょう)というのもされていますね。

塩沼)4つがないということで。

黒木)「食べない、飲まない、眠らない、横にならない」、そして、その間に何万遍ものお経というのでしょうか。

塩沼)仏様のお名前を「御真言」と言うのですが、10万回お唱えしなければいけません。

黒木)これは本当に水も飲まないのですか?

塩沼)一滴の水も飲みません。

黒木)何日目からは、うがいだけは許されるとのことですが。

塩沼)中間の5日目から、1日1回のうがいが許されます。ただ、天目茶碗という、うどんどんぶりぐらいの水が入った器と、同じ空の容器があります。同じ高さにならないと飲んだということがすぐわかるので、そこで失敗ということになります。

黒木)天目茶碗。

塩沼)そのような極限だからこそ、「自分は生きているだけで感謝なのだな」とか、いままで不平不満だったことが、「本当は自分が成長するための仏様の贈り物だったのだ」などと、ふと悟ることができるのです。普段、恵まれた環境にいると、不平不満がついつい出てしまいます。修行というのはそのような意味もあるのだと思います。

黒木)『幸いをいただきまし このひとときを大切に』と『人生生涯の小僧のこころ』という御本も読ませていただきました。「私たちの人生はすべて修業である。忘れる、捨てる、許す」と帯にも書いてあるのですが、この境地になるには、一般人は修行を積まないといけないのですか?

塩沼)一般の人は長い人生のなかで、ありとあらゆる思い通りにならないものに囚われているその心を少しずつ、自分で解放させてあげていると思うのですが、お坊さんの場合は、皆さんに教えを施さなければならない。ですので、皆さんより先に人生を圧縮して、辛いこと苦しいことを経験してそのなかで悟ったのちに、皆さんにお話を伝える役目なので、皆さんより、多少は厳しい修行はあるかも知れませんが、我々が人生の修行として与えられたありとあらゆる囚われから解放される。この「解放される」ということが、「解き放たれる」ということなのですが、要するに解脱です。よく悟りは解脱なのだと言われますが、そのときに、「思い通りにならないことに囚われている自分がよくないのだな、では明るく前を向いて歩いて行こう」と自分自身が心を悟ったときに生きる楽しみを得るのです。

塩沼亮潤

塩沼亮潤(しおぬま・りょうじゅん)/ 慈眼寺住職 大阿闍梨

■1968年(昭和43年)、宮城県仙台市生まれ。
■小学生のとき、テレビで酒井雄哉大阿闍梨の比叡山千日回峰行を見て行を志す。
■1987年、高校卒業の翌年に吉野山金峯山寺で出家得度。1999年、金峰山寺1300年の歴史で2人目となる大峯千日回峰行を満行。
■2000年に四無行を満行、2006年に八千枚大護摩供を満行。
■2003年には故郷の仙台市秋保に慈眼寺を開山し現住職。大峯千日回峰行大行満大阿闍梨。「心の信仰」を国内外に伝えている。著書に『人生生涯小僧のこころ』『縁は苦となる苦は縁となる』ほか多数。最新刊は『幸いをいただきまして このひとときを大切に』。

◎大阿闍梨…弟子の模範になれる位が高い僧侶であり、中でも深い学識や高い徳を備え、千日回峰行などの厳しい修行を乗り越えた僧侶のみが「大阿闍梨」となる。
◎千日回峰行…数ある仏教の修行の中でも荒行中の荒行と言われ、比叡山や吉野・大峯山の山中を、悟りを求めて1000日歩き続ける。
◎四無行…「断食・断水・不眠・不臥(横にならない)」を9日間続ける。現代では千日回峰を果たしたものにしか許されない命を懸けた難行。
◎八千枚大護摩供…五穀と塩を断ち、100日間に渡り護摩を焚き上げる。

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