台湾有事の際、岸田政権は防衛出動する覚悟があるのか ~岸田総理がバイデン大統領と電話会談
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年10月6日 17時30分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月6日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。岸田総理がバイデン米大統領と電話会談したニュースについて解説した。
岸田総理がバイデン大統領と就任後初の電話会談
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岸田総理大臣は10月5日朝、アメリカのバイデン大統領と約20分間、就任後初めて電話会談を行った。「日米同盟が日本外交・安全保障の基軸であることに変わりはない」と述べ、対面での会談の早期実現に向け、調整して行くことで一致した。
飯田)尖閣諸島への日米安保5条適用も確認とのことです。昼過ぎにはオーストラリアのモリソン首相ともテレビ電話形式で会談を行っている。岸田外交が始まりましたね。
アメリカが警戒 ~6年で6人の首相が交代した「あの時代の再来か」
佐々木)基本的には安倍外交、菅外交の継承ということで、新しい話は何もありません。アメリカでの報道を見ると、「政権の安定と継続がいちばん大事だ」ということが出て来ます。安倍政権時代が長く続いてよかったではないですか。ところが菅政権は1年しか持たなかった。「あの時代の再来なのか?」とアメリカが警戒しているわけです。
飯田)あの時代の再来。
佐々木)2006年、小泉内閣が終わったあとの福田、麻生内閣。
飯田)第1次安倍政権があり、福田、麻生へ。
佐々木)そのあと民主党政権で3人が首相をやって、ほぼすべて1年で終わっている。2006年~2012年までですかね。
飯田)そうですね。6人で6年ですからね。
佐々木)途中、鳩山さんの普天間移設問題に関する「最低でも県外」という謎の発言も含め、迷走し続けていたので、アメリカとしては交渉しようがないと。パートナーシップをきちんと確立したいのに、それができないという状況がトラウマとして残っているようです。
飯田)トラウマとして。
佐々木)それはやめて欲しいと。55年体制時代の日本というのは、日米関係が非常に緊密だったわけですし。
飯田)そうですね。
佐々木)2006年までは安定していた日米関係が、「その後の6年間、暗黒時代であったころのトラウマが再来して欲しくない」という、強いアメリカ側の思いを感じます。
台湾有事の際、岸田政権は防衛出動する覚悟があるのか
佐々木)もう1つ、尖閣の話が出たのだけれども、台湾問題がやはり重要だということです。
飯田)そうですね。
佐々木)アメリカでの報道を見ていると、アメリカは国防総省筋なのか、「台湾有事は間もなくだ」という報道が少なくありません。「すぐに来る」と言っている人が多いのですよ。
飯田)前のインド太平洋軍司令官だったデービッドソン氏などは、「6年以内だ」と発言しています。
佐々木)そのときに日本はどのように動くのかということに対して、アメリカは何を期待しているのかと。もちろん積極的な動きを期待しているのですけれど、日本が防衛出動することまで求めているのか、それとも後方支援で済むのか。
飯田)期待していますよね。
佐々木)ただ、後方支援だけをして、でも尖閣有事の際にはアメリカに「対応してください」と求めるのは、あまりに片務的過ぎて、許されないのではないかなと思います。岸田さんは果たして防衛出動する覚悟があるのかどうか。
国会で議論して欲しい「台湾有事」について
飯田)そうですよね。ほとんど戦域的には一体となって動くことになります。台湾有事はイコール沖縄や南西諸島有事であると。そう思わなければいけないですよね。
佐々木)高市さんは総裁選のときに「台湾有事」という言葉を口にして、「そこまで踏み込むのか」とみんなが驚いたのだけれども、それを言わざるを得ない状況に来ているのではないでしょうか。とある新聞は高市さんが台湾有事と言ったので、「これは失言だ」と問題にしようとしたけれど、誰も反応しなかったので火が点かずに終わった。「台湾有事という言葉自体が失言である」という時期はとっくに終わっているのです。ここはもう少しみんなで考えなければいけない、国会でも議論して欲しいテーマですね。
世界の最前線にいる日本 ~この状況をどう打破するのか
飯田)これが失言にならなかったというのは、国民の肌感覚として「きな臭くなっているよね」と思ったのですか?
佐々木)「やばいよね」と。いまの東アジアは、第一次世界大戦前のバルカン半島ですよ。
飯田)東アジアが本当に世界の最前線で。
佐々木)火薬庫です。考えてみると日本は、ロシア、中国、アメリカの間にいる。しかも韓国はまったく頼りにならない、という状況にいるのです。この状況をいったいどう打破するのか。
米英と連合しながらどのようにして陸の国に立ち向かうのか
飯田)世界史的な規模で考えても、ヨーロッパが世界の中心になっていたものが、いよいよここに移って来ている。
佐々木)カール・シュミット的に言うと、19世紀以降、イギリスからアメリカへと海の国の時代だったではないですか。それがもう1回、中国やロシアという陸の国の時代に戻りつつあるということです。
飯田)そうですね。
佐々木)そういう大きな何百年単位の時代の局面にもなって来ている。海の国である日本は、「アメリカやイギリスと連合しながら、どのようにして陸の国に立ち向かうのか」というところにも話が来ているので、歴史的にも大きな局面であると感じます。
岸田政権のときに台湾有事が起こる可能性は十分にある
飯田)しかもかつてと違い、兵器の進化によって、海の国だから栄光ある孤立ができるかと言われればそうでもないと。
佐々木)北朝鮮は巡航ミサイルを飛ばして来ますからね。
飯田)そうですよね。
佐々木)船が孤立するというような時代ではない。なかなか難しい問題です。岸田さんが何年できるのかわかりませんが、就任している間に台湾有事が起きる可能性は十分にあるのではないかと思います。岸田政権が1年で終わらなければ、ですけれど。
飯田)そう考えると、今回の布陣で留任したのは2人だけ。それが外務、防衛両大臣というのは、その辺りのことを考えてしまいますね。
佐々木)「その覚悟を表している」と好意的に解釈できるのではないかなと思います。
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