「キューバ危機の再来」とも言える戦争の危機がある 青山繫晴参議院議員
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年1月27日 17時40分
21日、ロシア国防省幹部の会合で話すプーチン大統領(タス=共同)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月27日放送)に作家で自由民主党・参議院議員の青山繫晴が出演。バイデン大統領が、ロシアがウクライナに侵攻した場合、プーチン大統領自身への制裁を検討する考えを表明したというニュースについて解説した。
バイデン大統領、ウクライナ侵攻でプーチン大統領への制裁を検討
アメリカのバイデン大統領は1月25日、ロシアがウクライナに侵攻した場合、ロシアのプーチン大統領自身への制裁を検討する考えを表明した。アメリカ政府高官は、侵攻に備えた経済措置の強化策も公表している。
飯田)バイデンさん自身も、侵攻した場合はドル決済をさせないということを会見でおっしゃっていましたが、ウクライナ情勢はどう見ればいいですか?
青山)まず戦わざるアメリカというのは徹底的になめられる、あるいは試されるということです。いい悪いではなく、私は批判的に「アメリカは戦争国家である」と言って来ました。第二次世界大戦で負けた日本も、自己否定が続いて77年目です。しかしアメリカは、本当は唯一勝った国です。だから戦争が善になってしまい、第二次世界大戦が終わって、わずか5年後に朝鮮戦争を始めました。戦争国家なのですが、よくも悪くも、いざとなれば軍が出て来るからこそのアメリカの威信なのです。
「軍は出さない」と言う一方で朝鮮半島周辺に海軍力を集めるアメリカ ~ロシアへの圧力
青山)バイデン大統領は、言わずもがなのことを言ってしまったのです。「軍は出さない」という。それでプーチン大統領も中国の習近平国家主席も、「アメリカが出て来ないなら好きにしますよ」ということをやっているわけです。それがウクライナ情勢に端的に表れている。ただし、プーチン大統領個人の制裁云々だけではなく、米軍は動きを強めています。ロシアはご承知のように極東からヨーロッパにまで至る広い大陸ですが、ウクライナはロシアから見れば、西ヨーロッパにいちばん近づく端です。
飯田)そうですね。
青山)そこに軍を集めてしまっているから、極東も含めて手薄になっているのです。ソ連軍に比べると、ロシア軍はものすごく減りましたから。
飯田)それがウクライナに集中してしまっている。
青山)正確には申し上げられないですけれども、アメリカは海軍力を使って、朝鮮半島辺りに空母だけではなく強襲揚陸艦、つまり海兵隊を侵入させるためのものを送っています。潜水艦も動いています。
飯田)朝鮮半島辺りに。
青山)北朝鮮が花火のようにミサイルを撃っているから、というのは表向きの理由です。アメリカは北朝鮮のミサイルなど気にしていません。アメリカ本土には撃って来ないし、グアムやサイパンにもなかなか撃てないということと、短距離のものしか撃たないと思っている。北朝鮮ではなくて、ロシアに対する圧迫をしているわけです。
「キューバ危機の再来」とも言える戦争危機 ~存在感の増す日本
青山)その動きを考えると、「まさか戦争にはならない」と思っている人が多いけれども、これは最大級の危機です。いま戦争危機が4ヵ所あるのです。いますぐにというわけではありませんが、戦争危機という意味では、ウクライナ、台湾。加えて、中国はこの動きに乗じてブータンに入植者をたくさん増やしていますし、インド軍との衝突も懸念されます。ブータンのすぐ南がインドですから。
飯田)以前にもありました。
青山)さらにプーチン大統領は、キューバやベネズエラへもロシア軍の派遣を示唆しています。「核戦争危機とは違う」と言いながら、キューバ危機の再来という側面もあるのです。
日本の意思をはっきりと出すべき ~民主主義国のリーダーの1人として
青山)日本の存在感は急激に増していて、先ほど言ったアメリカ海軍の動きでは、平和安全法制のおかげで日本はあくまで平坦部分、いわば支える部分ですけれども、協力はできますから。アメリカだけではなく、世界的に中国の独立主義の拡張を抑えられるのは、少なくともアジアではもう日本しかいないのです。
飯田)アジアでは。
青山)だからフランスやドイツなど、かつての親中派もいまは自衛隊と協力しているわけです。私たちの民主主義と平和に対する貢献への期待が、どれくらいアップしているかを考えると、現状の岸田政権のように「あっちを見て、こっちを見て」ということではダメです。はっきりと「独裁主義にはつかない」と、「中国やロシアの新しい連携には与しない。民主主義側に立つ、それもリーダーの1人として日本は踏ん張る」ということを出さなければいけません。
林外相が「仮定の質問で差し控えたい」と言った理由
飯田)日米首脳会談をオンラインでやりましたが、ウクライナ情勢に関しては強い行動に断固として出ると、確か会見のなかで話していたと思います。しかし21日の閣議後会見のなかで、林外相は「仮定の質問で差し控えたい」と後戻りしてしまったようなところもありました。日本としては、きちんと行動するべきですか?
青山)オンラインの日米首脳会談では、まずアメリカのバイデン大統領が「経済制裁しかしない」ということを、事実上言っているでしょう。
飯田)バイデン大統領が。
青山)ただし、これは米民主党政権すべての話ではないし、軍とは考え方が違います。それでもバイデン大統領がそう言っている以上は、日本がそれを踏み越えて経済制裁以外のことを話せるわけがないですよね。
ドルと通貨が交換できなくなると戦争が始まる ~ドルと交換できなくなることでかつてのソ連は潰れた
青山)私が接触しているアメリカ側からの情報によれば、アメリカの本音としては、日本が憲法9条の範囲内であっても、軍事的プレゼンスの必要性について「平和のための抑止力」と言って欲しかったのです。日本の国益も踏まえて、あえて文句を言います。
飯田)アメリカの本音は。
青山)憲法をつくったのはもともとアメリカだという話ではなくて、そもそもアメリカ合衆国の姿勢について、みんながよく理解できないからです。本当に二度と戦争をしないと言うのであれば、新たな対策が必要だけれども、実際は米軍が動いているのに、大統領は「軍を動かさず経済制裁だけだ」と言っている。
飯田)実際には米軍は動いている。
青山)また、ドルと通貨が交換できなくなる方向へアメリカが踏み切れば、香港でも人民元がドルにできなくなり、中国は潰れるのです。かつてソ連はそれで潰れたわけですから。
飯田)中国が潰れる。
青山)バイデン大統領はあれほど経済制裁と言うだけあって、そこが勘所だとわかっているのだけれども、「ドルと交換できなくする」ということで、かつてのソ連が潰れた事実を、ロシアは当事者としてよくわかっているのです。
飯田)当事者として。
青山)そのときは戦争になります。だから覚悟しておかなければならない。火を噴いてしまったら、犠牲が増える前に一瞬で止めなくてはいけませんから。そのための軍事力なのです。戦争を拡大するための軍事力というのは、第二次世界大戦で終わったのです。
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