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「これからはパ・リーグです!」 地方開催オールスターで生まれた伝説の名シーン

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年7月25日 17時20分

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、プロ野球・オールスターゲームの過去の名シーンのなかから、地方開催試合で生まれたエピソードを紹介する。

プロ野球 サンヨー・オールスターゲーム第2戦 全セ―全パ 3回裏2死3塁 打者小笠原道大の時、三走の日本ハム・新庄剛志がホームスチール成功=2004年7月11日 長野・オリンピックスタジアム 写真提供:産経新聞社

プロ野球・真夏の祭典、オールスターゲーム。今年(2022年)は第1戦が福岡PayPayドーム、そして第2戦が愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムで行われます。地方開催は2018年の熊本以来、4年ぶり。松山でのオールスター開催は、地方球場では歴代最多の3度目です。

オールスターの地方開催が始まったのは1992年の宮城県・県営宮城球場(現・楽天生命パーク宮城)から。原則として4年に1度のペースとはいえ、地方開催の歴史が始まってからちょうど30年という大きな節目。その歴史を振り返れば、地方開催球宴は、球史に残る忘れ難いドラマの宝庫でもあります。

例えば、歴代最多オールスターMVPを7度も受賞した“お祭り男”清原和博。その7度目のMVPは、長崎県営野球場で行われた2000年のオールスター第3戦でのこと。20世紀最後のオールスターとなったこの試合で、清原(当時・巨人)は球宴通算12号となる先制ホームランを放つなど3打点を挙げる活躍ぶりで、お祭り男の健在ぶりをアピールしたのです。

そんな清原以上に地方球場で輝いた男がいます。現・日本ハム監督のBIGBOSSこと、新庄剛志です。

まずは1999年7月27日、倉敷マスカットスタジアムで開催されたオールスター第3戦でのこと。セ・リーグの1番打者として起用された新庄(当時・阪神)は、決勝ホームランを含む4打数2安打2打点の大当たりで、自身初のMVPに選出。お立ち台では、このころから「新庄節」を発揮し、こんなコメントを残しています。

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「打った瞬間? 『アッ、ホームランか』って感じ。打った球は分かんない。来た球を打ったって感じ」

~『日刊スポーツ』1999年7月28日掲載記事 より

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ただ、このコメント以上に特筆すべきは、この決勝アーチが何と「予告本塁打」だったこと。2日前の第2戦でも3安打を放っていた新庄はそのときから「あとはホームランだけ。狙います」と宣言。その言葉通りのホームランだったのです。当時のスポーツ紙ではそんな新庄の異才ぶりを、本人のコメントも交えてこう紹介しています。

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「ファンの期待にこたえたいと思ってプレーしたのが結果につながった。これは確かだと思う」。第2戦の3安打猛打賞に続く2安打2打点の大暴れ。この球宴、だれよりも、ファンを喜ばそうとプレーした。「新お祭り男」が誕生した。「すごい選手が集まった中でMVPがとれたことはこれからの自信になる」

~『日刊スポーツ』1999年7月28日掲載記事 より

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この言葉通り、自信を掴んだ新庄はこの翌年、上述した清原がMVPに輝いた長崎でのオールスターでも見事に活躍。地元・長崎に錦を飾るように、何とレフト場外へと運ぶホームランを放つなど3安打で優秀選手に輝きました。

そして、「新庄と地方開催オールスター」といって忘れてはならないのが、2004年、長野オリンピックスタジアムで開催された第2戦でのSHINJO劇場です(※当時は日本ハム所属で登録名が「SHINJO」)。

この試合、パ・リーグの1番センターで起用されたSHINJOは、第1打席で右手の人さし指で左中間を指さす「予告ホームラン」のパフォーマンスからの、初球セーフティバント。これがピッチャーゴロでアウトになるも、球場は早速のSHINJO劇場で笑いに包まれます。

すると次の第2打席、左中間への二塁打で出塁すると、その後、2アウトながらも三塁に進塁。そしてこの場面で決めたのが、オールスター史上初となるホームスチールだったのです。

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『盛り上げるにはあれぐらいやらないとね。ああいうプレーでもMVPを狙えるんじゃないかと。球宴初?初めてじゃないとやらないでしょ』

~『スポーツニッポン』2004年7月12日掲載記事 より

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そして、この新庄らしいコメントとともに、あの伝説のフレーズもお立ち台で発していました。

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『これからはパ・リーグです!』

~『スポーツニッポン』2004年7月12日掲載記事 より

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2004年の夏といえば、球界再編騒動がすでに起こり、パ・リーグがセ・リーグに吸収される形で1リーグになるのでは? といった不安も囁かれていた時期です。もし、その通りに球界再編が進めば、この一戦が最後のオールスターかも知れない……という不安を吹き飛ばすような言葉に勇気づけられた野球ファンは多かったはずです。

こうした劇的な試合を各地のファンにも届けることで野球人気を高めていこう、というのもオールスターを地方で開催することの大きな意義。実際、10年前の2012年、岩手県営球場で開催されたオールスター第3戦では、2011年の東日本大震災の復興支援活動の一環として、被災者となった球児3000人を招待。そのなかには、当時小学5年生だった佐々木朗希(現・千葉ロッテ)の姿も。

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『プロ野球を見れる機会も無かった中で、オールスターが岩手で行われて、すごく楽しかったですし、すごく良い思い出があります』

~『ANNニュース』2022年7月20日配信記事 より(佐々木朗希の言葉)

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こうして、一流プロ選手の競演を生観戦で目撃した野球少年が成長を遂げ、今度は自分が新世代の野球少年たちに夢を見せるべく、オールスターに初登場する……こんな劇的なドラマもなかなかありません。

何かが起きる、地方開催のオールスター。今年はどんなドラマが生まれ、そして誰がお祭り男になるのでしょうか?

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