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おばんざいバー「今日も今日とて、」 なぜ店名に「、」を入れたのか?

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年7月20日 17時25分

おばんざいバー「今日も今日とて、」 なぜ店名に「、」を入れたのか?

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

おばんざいバー「今日も今日とて、」

品川区の中心地、大井町。JR京浜東北線、東急大井町線、りんかい線が乗り入れる大井町駅は、夕方になると帰宅を急ぐ人たちでかなり混み合います。一杯呑んでいきたい場合、東口を出て2分……飲食店が連なる「すずらん通り」が人気です。

立ち飲みもあれば、町中華や気軽なバーもある「すずらん通り」ですが、横丁に入るとスナックやバー、小料理屋さんなどが色とりどりの看板を出し、「昭和」に戻ったようなレトロな飲食店が軒を連ねています。

そんな「すずらん通り」の路地裏に、「おばんざいバー 今日も今日とて、」という看板がポツンと光って見えました。木の階段を上がった2階にバーがあるので少し勇気が必要ですが、お店の引き戸をガラガラと開けると、こんな物語がありました。

川口裕美さん(右)と常連さん

お店を営むのは、川口裕美さん・39歳。目がぱっちりした、おしとやかな雰囲気のきれいな方です。品川生まれ品川育ち。子どものころ、七夕の短冊に書いた将来の夢は「結婚してお母さんになりたい」だったそうです。

高校時代、居酒屋チェーン店でアルバイトをしていた際は、愛嬌があるのでお客さんからも「ゆみちゃん!」と人気者でした。

27歳のときに裕美さんは結婚しますが、うまくいかず悩む日々……。そんなとき、友達から浅草にある「おばんざい」のお店に誘われます。「気さくなママさんがやっているお店で、庶民的な手料理は美味しいし、古民家で雰囲気もいい。こんなお店を持ちたい」と夢が膨らみました。

30歳を前に、離婚を決意した裕美さん。

「いままでは半分、夫に寄りかかった人生でしたが、これからは1人で生きていくために自立しないと!」

将来、お店を開くために、33歳で大井町にあるカジュアルバーの店長として働き始めます。ここで4年半、接客のノウハウを身につけ、人脈をつくったそうです。

飲食店が連なる「すずらん通り」

「さあ、自分のお店を開こう」と踏み出す裕美さんですが、問題は店舗です。家賃と立地で、自分がイメージしている空き物件がなかなか見つからない。

そこで裕美さんは、「間借り」で開業できるマッチングサービスを利用します。大森にある居酒屋さんの定休日、金曜と土曜の2日間を「間借り」して、お店を開くことにしました。

「大井町を離れたことで『お客さんが来てくれるかな』と不安もありました。ところが、前のお店のお客さんが心配して、毎日来てくれたんです。雪が降った日も来てくれて、本当に嬉しかったですね!」

週に2日の「間借り」営業でしたが、お客さんが来ない日は1日もありませんでした。自信を得て「さらにステップアップしたい」と考えていたとき、「大井町にいい物件があるから戻っておいでよ!」と、仲のいい知人からこの春に連絡がきました。それがいまのお店です。

路地裏の飲食店

「物件を見て迷いはありませんでしたね。裏通りにあることや、2階の隠れ家的な雰囲気もほぼイメージ通りだったので、『ここで楽しくお店をやりたい』と決めたんです」

カウンター席は5人、ちゃぶ台を囲む座敷は6人。11人で満席です。そのカウンターに、旬の野菜を使った裕美さんの手づくり料理が、大皿に盛られて並んでいます。夏は「ミョウガと大葉のナムル」がおすすめだそうです。

最後に、お店の名前を「今日も今日とて、」にした理由を伺いました。

「相変わらずな日々、ありふれた日々、いつも通りの日常……それがいちばん幸せなことだと思ってつけました。『今日も今日とて』のあとに『、』があるのは、このあとに続く言葉を、その人その人につけて欲しいと思ったからです」

おばんざいバー「今日も今日とて、」は、お酒と手づくり料理、そして裕美さんの笑顔が待っている素敵なお店です。

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