警察官時代に起きた「事件」で有名になった台湾新北市長・侯友宜氏 最大野党・国民党の総統選候補に
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年7月25日 17時40分
23日、台湾北部・新北市で開かれた最大野党・国民党の党大会で演説に臨む侯友宜氏[国民党提供]
ジャーナリストの有本香が7月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。次期台湾総統選について解説した。
国民党の総統選候補には侯友宜氏
飯田)台湾情勢ですが、7月23日に最大野党の国民党が党大会を開き、候補者を正式決定しました。また24日には、中国の侵略を想定しながら演習を行ったと報道されています。
有本)つい最近、台湾の軍部関係者と話す機会がありました。台湾海峡の情勢などが中心だったのですが、当然、総統選の話題にもなりました。国民党は久々に求心力のある候補者を立てています。
飯田)侯友宜(コウ・ユウギ)氏ですね。
有本)侯友宜さんは新北の市長ですが、もともとは警察官でした。この人は警察官時代にかなり知名度が上がった人です。
飯田)警察官としての仕事の部分で、ですか?
有本)有名な事件を解決する場面で、一躍名前を売った人です。
飯田)立てこもり犯の投降説得に成功したという事件ですか?
有本)そうです。それでかなり有名になった。彼は蔡英文政権の2期で、彼女が中国に対して刺激的な態度であるため、台湾海峡をめぐる情勢が緊迫したと主張しています。しかし、融和路線でいけばいいのかと言うと、国民はそうは思っていないわけです。
有力とされているのは民進党副総統の頼清徳氏
有本)現状では、いまの副総統である民進党の頼清徳(ライ・セイトク)氏が有利だろうと言われています。
飯田)蔡さんの後継者ですね。
有本)後継者です。もともとの主張から言えば、頼清徳氏は蔡英文さんよりも台湾派であり、「台湾独立」を明言していた人です。
飯田)かつてはそうでしたね。
有本)市長出身で人気のある2人が激突するのではないかと言われています。以前、台北の市長だった柯文哲(カ・ブンテツ)氏は、野党・民衆党から出るという話もあります。
影響力を及ぼしたい郭台銘氏 ~中国に近い人にはシンパシーが
有本)鴻海精密工業の会長である郭台銘(テリー・ゴウ)氏も動くようです。郭台銘さんは、ご自身が出馬するのか、あるいはどなたかを担ぐことになるのでしょうけれども。
飯田)郭台銘さんは、もともと国民党の代表争いをしていましたが、最終的には落ちてしまいました。
有本)どういう形で絡むのかはわかりませんが、やはり影響力を及ぼしたいところがあるのでしょう。
飯田)鴻海も相当、中国本土に工場を持っていますね。
有本)中国とは近いですよね。
飯田)その辺りは、より国民党のなかでも中国に近い人たちにはシンパシーがあるのでしょうか?
任期中に中国へ行き、雰囲気が変わった柯文哲氏
有本)台北の元市長である柯文哲氏は、出てきたときはお医者さんで、政治経験がなかった。民進党系の人たちも「台湾派だろう」ということで支持していたのです。
飯田)民進党系の人も。
有本)ところが任期中に中国へ行き、だいぶ雰囲気が変わりました。
飯田)もともと「ひまわり学生運動」という、国会議事堂の周りを学生たちが取り囲んだ運動のなかから……。
有本)支持されてきた人でもあります。政治基盤もあまりなかったですし、はっきりしたイデオロギーがあるわけでもなかったのでしょうね。
飯田)柯文哲氏は。
有本)確かに「ひまわり学生運動」は、中国ともっと通商関係を濃くしていこうという動きに対して、台湾人の若い人たちが反対したものでした。その後、香港情勢などを受け、圧倒的にみんな民進党へ流れたわけです。柯文哲さんは任期中に中国へ行き、態度や雰囲気が変わった政治家です。この辺りが絡んで、激しく選挙戦を展開することになると思います。
中国側による選挙への影響を気にする台湾の人たち
有本)台湾の人たちがいちばん気にしているのは、中国側がこの選挙に対し、どんな影響を及ぼしてくるかということです。前回の選挙のときも、はっきりと影響があったと言っていますし、いろいろな偽情報を流してくるでしょう。それによって選挙がきちんとできるかどうかを心配しています。
飯田)言語が同じだから、影響力が大きいのでしょうか?
有本)それはあります。中国も逆にそれを心配していたところがあり、コロナを機会に台湾への旅行を止めていますよね。
飯田)そうですね。
有本)それは「観光客がいなくなったら困るだろう」という、台湾に対する政治的な嫌がらせの側面もありますが、それだけではありません。言語が同じなので、中国の人が台湾へ行くと、いろいろな政治情報に触れやすいのです。
飯田)「台湾方式の方がうまくいっているな」ということになると困る。
有本)「民主主義とはこういうものか」と。メディアからも情報が入ってくるわけですから、それを警戒したとも言われています。
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