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どうすれば宇宙飛行士になれるのか? JAXA宇宙飛行士・金井宣茂

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年10月17日 11時20分

どうすれば宇宙飛行士になれるのか? JAXA宇宙飛行士・金井宣茂

黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(10月10日放送)にJAXA宇宙飛行士の金井宣茂が出演。宇宙飛行士の仕事について語った。

金井宣茂

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。10月9日(月)~10月13日(金)のゲストはJAXA宇宙飛行士の金井宣茂。2日目は、宇宙飛行士になるまでの経緯について—

黒木)金井さんはもともと海上自衛隊のお医者様だったのですよね? どうして宇宙飛行士になろうと思ったのですか?

金井)「潜水医官」というのは耳慣れない言葉だと思いますが、海上自衛隊のダイバーさんは水の底に潜っていろいろな作業をされるのですけれど、人間の体というのは、水圧が掛かっているような環境でも活動できるのです。

黒木)そうですよね。

金井)そのように考えると、「究極の極限環境は宇宙かな」と思ったのです。宇宙には空気も重力もありませんが、宇宙船のなかで空気や気圧、温度などをコントロールしてあげれば人間は生活できます。

黒木)究極の極限環境でも。

金井)「そのような環境を自分で体験してみたら、どのように体が変化するのだろう、どのように順応するのだろう」ということから、宇宙飛行士を目指しました。

黒木)重力のないところを体験することによって、お医者様としての新たな第一歩というのもありますよね。

金井)人間の体は、いろいろなところに適応してしまいます。宇宙のような環境でも生きられるのだということを調べていくと、健康の秘密や病気の原因などが見えてきます。

黒木)やはり宇宙飛行士でありながらお医者様なのですね。

金井)そうですね。自分の原点は「人体の神秘などを解き明かす」というもので、そのために宇宙という場を活用するのが面白いなと思っています。

黒木)実際に、アメリカの潜水医学専門医の方が宇宙飛行士になられたこともあったのですね。そのような方がいたことも、「宇宙飛行士になろう」と思われた要因でしょうか?

金井)自衛隊で勤務しているとき、勉強のためにアメリカ海軍の施設へ行ったのですが、教室に宇宙飛行士の写真が飾ってあったのです。「この方は誰ですか? なぜ宇宙飛行士の写真を飾っているのですか?」と聞いたら、その人はその学校の先輩で、同じように潜水医学を勉強して宇宙飛行士になったということを教えてもらいました。

黒木)潜水医学を勉強していた方が。

金井)「アメリカ海軍の医者が宇宙飛行士になれるのであれば、自衛隊で医者をしている自分も宇宙飛行士の仕事ができるのではないか」と、勇気付けられて挑戦してみました。

金井宣茂

黒木)宇宙飛行士になるには、何から始めるのですか?

金井)JAXAは不定期に宇宙飛行士を募集しているので、いつ募集が掛かるかわかりません。それまで、事前に英語を勉強し、また日本の宇宙活動に関する情報収集などをしながら、募集が掛かるのを待っていました。

黒木)その募集に受かって、候補生になるのですよね?

金井)たまたま運よく2~3年後に募集が始まり、1年くらい掛けて選抜されました。私たちのときには1000人くらいの応募者がいました。

黒木)1000人。

金井)健康診断や筆記試験もありますが、「閉鎖環境」と言って、合宿所のようなところに1週間くらい閉じ込められ、そのなかでいろいろな課題を与えられます。そのときの行動や精神的安定性、リーダーシップなどを評価されて候補生が選ばれるのです。

黒木)1000人くらいが応募したなかで、何人が選ばれるのですか?

金井)私どものときには3名が合格しました。

黒木)金井さんはその3名のなかの1人だったのですね。

金井)ギリギリ滑り込みました。

黒木)金井さん以外の2人も宇宙に行かれたのですか?

金井)はい。3名とも1回ずつミッションを終えて、いまは地上勤務に戻っています。

黒木)1000人のなかから1年間の選抜試験があって、それからの訓練になるのですね?

金井)選ばれても宇宙飛行士ではありません。宇宙飛行士候補者なのです。

黒木)宇宙へはまだ行っていませんからね。

金井)そこで宇宙飛行士になるための訓練を始めます。宇宙ステーションのシステムを勉強したり、宇宙船を操縦する技能を磨きます。また、宇宙実験を行いますので、さまざまな分野の勉強をして宇宙飛行士になり、それからミッションに行くという形です。

金井宣茂

金井宣茂(かない・のりしげ)/ JAXA宇宙飛行士

■1976年、東京都生まれ。
■防衛医科大学校医学科を卒業し、海上自衛隊に入隊。
■防衛医科大学校病院や自衛隊大湊病院、自衛隊呉病院、海上自衛隊第1術科学校衛生課外科医師・潜水医官として勤務(※潜水医学は、長期閉鎖環境下での潜水艦乗組員の健康や精神状態についての研究などを行うもの)。
■2005年、アメリカ海軍の潜水医学研究施設に留学した際、潜水医学専門医が宇宙飛行士になったことに驚き、宇宙飛行士を志すようになった。
■2009年9月、JAXAから宇宙飛行士候補者として選抜される。
■2011年7月に宇宙飛行士に認定され国際宇宙ステーション(ISS)搭乗。
■2017年12月からISS第54次/55次長期滞在クルーとして宇宙に168日間滞在 。
■現在は、ストレスのなかでどうやって元気に過ごすかなど、閉鎖環境下における宇宙飛行士の精神心理サポートを中心に宇宙医学を研究する他、月面探査車(ローバー)の開発にも尽力されている。

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