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【政治解説】総裁選 自民党支持層では小泉氏が1位 一方、“スガジロウ”と揶揄する声も… 2024年8月 最新世論調査解説

日テレNEWS NNN / 2024年8月31日 9時0分

2024年8月世論調査解説

自民党総裁選(9月12日告示、同27日投開票)の立候補に向けた動きが活発化しています。NNNと読売新聞が行った最新の世論調査では、総裁選の投票権を持つ自民党員に近い「自民党支持層」の支持率で、小泉元環境相が石破元幹事長を抜き1位となりました。しかし、党内からは、進次郎氏を“スガジロウ”と揶揄する声も…。日本テレビ政治部の竹内デスクと菅原解説委員の同期コンビが徹底解説します。

自民党支持層で石破氏を抜いた小泉氏

世論調査「次の自民党総裁には誰がふさわしいか」

【竹内】

今回、8月の調査は、岸田首相が不出馬を表明してから初めての世論調査です。「次の自民党総裁には誰がふさわしいか」と聞いたところ、全体の結果では、1位が石破元幹事長、2位は小泉進次郎元環境相、3位が高市経済安保相、4位は河野デジタル相という結果でした。

【菅原】

「自民党支持層」に限ってみると、どうですか?

【竹内】

1位は石破氏と入れ替わって、小泉氏でした。小泉氏の支持率は22%、2位の石破氏は20%でした。3位は高市氏で変わりませんでしたが、支持率は全体で10%だったのに対して、自民党支持層に限ると4ポイント上げて14%でした。

【菅原】

やはり、石破氏と小泉氏は強いですね。

【竹内】

そうですね、ある自民党の重鎮は「(立候補者が)乱立して議員票が分散するので、このままだと1位と2位は石破さんか小泉さんだと思う」と話していました。

小泉氏が「“ぶっちぎる”のではないか」 高まる党内の期待

自民党支持層では石破氏を抜き1位になった小泉氏

【菅原】

この調査は定期的にやっていますが、トレンドというか伸び率は、小泉氏に勢いがありますね。

【竹内】

前の月と比べると、石破氏は少し勢いが衰えた感じですが、小泉氏は伸びています。自民党の小泉氏を支援する議員は、「出馬表明もしていないのに上位に入るなんて期待感がすごい」と言っていました。さらに、「これで出馬表明をしたら“ぶっちぎり”じゃないか」と。ベテラン議員の中にも、まだ手も挙げてないのに1位というのは、手を挙げたら“ぶっちぎる”んじゃないか」と言っています。

小泉進次郎氏と父・純一郎元首相の“違い”

自民党総裁に初選出された当時の小泉純一郎氏(2001年)

【菅原】

小泉進次郎氏の父の純一郎氏が総裁選で初勝利したときにも、途中からすごく勢いが増して、まさに“ぶっちぎり”でしたけれど、進次郎氏もそうなったとしたら、親子を重ね合わせて見る人も多そうです。ただ、このふたりには、決定的な違いもあるように思います。

【竹内】

そうですね。やはり父の純一郎氏は厚生相や郵政相といった閣僚経験がありましたし、初選出当時、総裁選も3度目の挑戦でした。“経験値”は大きく違います。実際、進次郎氏には“経験不足”であると懸念を示す声も多いです。ある自民党の幹部は「外交は明らかに弱点」と話しています。また、小泉氏を応援しようとしている閣僚経験者も、「彼は経験がない。論戦でボロが出るとメッキがはがれる可能性がある」と指摘しています。

菅前首相に支えられる小泉氏 “スガジロウ”と揶揄(やゆ)する声も

小泉氏の“後見人”といわれる菅前首相

【菅原】

その経験不足をどのようにカバーしていくかということが課題になりますが、やはりベテラン議員に力を借りるということでしょうか。

【竹内】

はい。そう考える人は自民党にも多いです。なかでも、一番の“後見人”と言われているのが菅前首相です。今回、菅氏は自ら議員に電話をかけて、小泉氏への支援を頼んだりもしています。そのようなことから、小泉氏が政権を取った場合、“後見人的な立場”になることは間違いないと見られています。ただ、これは善し悪しがあるとも言われます。

「タナカソネ」内閣と揶揄された当時の中曽根内閣(1982年)

【竹内】

菅原さん、中曽根元首相が初めて内閣を作った時に、〇〇内閣と揶揄(やゆ)されたのを覚えていますか?

【菅原】

「タナカソネ」内閣ですか。

【竹内】

そうです。中曽根氏が最初に首相になった時は、田中角栄元首相が自民党でとても力を持っていたため、当時の中曽根首相は田中氏の力を借りて政権運営をせざるを得ませんでした。官房長官も幹事長も、主要なポストはかなり田中派に譲っていました。そのため「タナカソネ」内閣と呼ばれたんです。実は、今の小泉氏に対しても、ある閣僚経験のある自民党議員は、菅氏の影がちらつくことを揶揄して「進次郎じゃなくて“スガジロウ”だな」と言っていました。

【菅原】

小泉氏は刷新感が強みであるのに、バックに大物議員がいるために“傀儡”のように見られてしまうと損ですね。

【竹内】

そうですね。自民党の若手議員も「あまり“長老”、大物議員がちらつくとマイナスになってしまうのでは」と、小泉氏の心配をしていました。

小泉氏に対する不安 次期立憲民主党の代表との比較

世論調査「次の立憲民主党代表には誰がふさわしいか」

【竹内】

もう一つ、小泉氏について心配されていることがあります。それは「次の立憲民主党の代表には誰がふさわしいか」という調査結果に関わることです。1位は25%で野田元首相でした。

【菅原】

やはり、どうしても比較されるということですね。

“次の立憲民主党代表”1位の野田元首相

【竹内】

そうです。野田氏はそれこそ首相としての経験もありますから、対比されると小泉氏の経験不足が目立ってしまうのではないかとみられています。自民党の関係者は「国会論戦の相手が野田さんとなると、小泉さんより野田さんと渡り合える人がいいとなる可能性がある」と言っていました。ベテランの議員の中にも、「野田さんと対峙することを考えたら、小泉さんよりも石破さんの方がいいんじゃないか」と指摘していました。

経験不足を指摘された当時の安倍首相(2006年)

【菅原】

過去には、安倍元首相が初めて首相になった時にも、当時、野党民主党の代表だった小沢氏と比較され、経験不足が指摘されたということがありましたね。

【竹内】

その再来を恐れる声が、今の自民党にあります。政府関係者のひとりは「立憲の代表が野田さんになったら、自民党にとっては手強いだろう」と話していました。

【菅原】

衆議院の総選挙が近くあると言われていますが、来年の夏には参院選もあります。その手前にはがっちりと論戦をすることになる通常国会もあります。衆院選は何とかなっても、“参院選までの論戦の場で比べられながら戦えるのか”ということも考えないといけないのかもしれません。

自民党支持率は10か月ぶりに30%台に回復

世論調査「政党支持率」

【菅原】

一方で、政党で見ると、今回“ポスト岸田レース”が早めに始まったこともあって、自民党の支持率が盛り返してきましたね。

【竹内】

今回、自民党の支持率は10か月ぶりに30%台に回復しました。“政治とカネ”の問題もあって、自民党の支持率は2023年の11月に28%になって以降、2024年の3月には23%まで落ち込みました。ところが今月は30%と、久しぶりに30%台を回復しました。岸田首相に近い自民党の若手議員は、私はすごく正直なコメントだと思ったのですが、「裏金の時は何をやっても回復しなかったのに、こういうものか」と驚いていました。現職の閣僚のひとりも「自民党に勢いが出てきた」と言っていましたし、中堅議員も「党勢はじりじり回復している」と話していました。

【菅原】

そうなると、「総裁選後にすぐに解散・総選挙」という流れかもしれないですね。

【竹内】

そう見る人は多いです。自民党の中には浮かれ気味の人もいて、「もうこれで衆院選は楽勝じゃないか」なんて言う若手議員もいます。

【菅原】

それはいくらなんでも楽観的なのでは…。それこそ総裁選中に何か大きな失言でもあれば、変わってきますよね。

【竹内】

いや、本当にそうですね。そんなに簡単に行くわけがありません。とは言え、首相に近い議員も、「自民党の支持がこれだけ上がっているのを見ると、裏金問題で絶望的だと思っていたけれども、もしかしたら勝てるんじゃないかと思い始めている」と言っています。今まで、何をやってもうまくいかない苦しい状況が続いてきたことを思えば、少しですけれど希望が持てるようになってきたということでしょうか。

立憲民主党 泉代表

【竹内】

ただ、立憲民主党の泉代表のいう「心機一転、過去を忘れてもらうという手法にひっかかってはいけない。今もなお裏金問題を解明せず資金を返還していない議員は自民党内に大量にいる」という指摘は、私は重要だと思います。

「党員票アップと国会議員票獲得とのトレードオフ」 問われる“裏金議員”への対応

自民党本部

【菅原】

総裁選の論戦の場で明らかにして欲しいところですね。今のところ石破氏は「いわゆる“裏金議員”を次の選挙で公認するかどうか」問題提起をしています。また、河野氏も「不記載だった分のお金は返納するように」と主張をしています。

【竹内】

自民党の重鎮議員の一人は「実際に公認をするか、しないかは別として、“裏金議員”に厳しいことを言うのは間違っていない」と言っています。私は、この感覚は大事だと思います。ただ、自民党内では、なかなかさじ加減が難しい問題だとも思われているようです。経験豊富な議員の一人は、「“政治とカネ”の問題にどこまで踏み込むかというのは、党員票アップと国会議員票獲得とのトレードオフになる」と指摘しています。つまり、どういうことかというと、“政治とカネ”の問題に厳しくしないと、自民党員や世論の支持は得られない。その半面、自民党内には政治資金の問題が指摘された議員は多くいますから、あまり厳しくしすぎるとそういう議員たちの支持が得られなくなってしまうということです。

【菅原】

あまり原理主義的にやり過ぎると、総裁選の戦略としては失敗するかもしれないということでしょうか。

【竹内】

そうですね。とはいえ、やはり、総裁選の後に控える衆議院選挙というのは、国民の審判を仰ぐ場なわけです。自民党の中の国会議員の支持を得たいからといって、内向きで、世の中が疑問を抱くような対応では、国民から手痛いしっぺ返しを食らうことになると思います。総裁選が盛り上がることは良いことですが、単なるお祭り騒ぎ、目くらましとせず、国民の政治不信を払拭するような姿勢を示すものにすることが求められています。

(日本テレビ 竹内真政治部デスク 菅原薫解説委員)

■NNN・読売新聞世論調査

8月23日から25日全国有権者に電話調査

固定電話 423人回答率58%

携帯電話 633人回答率37%

合計1056人が回答

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