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「日本は明治以来、一貫して沖縄を差別」 作家・目取真俊さん 基地集中の犠牲を許容する心情

沖縄タイムス+プラス / 2023年6月26日 12時0分

「差別は犠牲を許容する心情をつくる」と語る目取真俊さん=13日、名護市内

[反ヘイト 差別と戦争](上)

 身近なところで起きる差別が、いかに戦争を準備するか。沖縄戦を振り返る時期に3人と考えるインタビュー企画は、作家の目取真俊さん(62)から。10年ぶりの短編集「魂魄(こんぱく)の道」は、沖縄戦であらわになった差別の断層を描いた。「構造は今も全く変わらない」と指摘する。(聞き手=編集委員・阿部岳)

 -沖縄差別は沖縄戦にどう作用したか。

 「日本は明治以来、一貫して沖縄を差別している。日本『本土』より劣った地と見なし、犠牲になることはやむを得ないと当然視してきた。沖縄戦では『本土』防衛のためにトカゲのしっぽとして切り捨てた。差別は人を選別し、犠牲を許容する心情をつくる。その行き着く先に戦争がある」

 -作中、住民を虐殺した日本軍将校が戦前も戦後も、「だから駄目なんだ、お前たち沖縄人は」という内容の差別発言をする。

 「戦前も戦後も沖縄の位置付けは全く変わらない。基地を集中させていることからも自明だ。ヤマトゥの人がまともに考えれば、後ろめたくなるだろう。しかし、反対運動は金をもらっているというようなフェイクニュース、沖縄を見下すヘイトスピーチが、本質から目をそらす役割を果たしている」

 -高江ヘリパッド反対の現場で、大阪府警の警察官に直接「土人が」とののしられた経験がある。

 「公務員のヘイトスピーチは差別を広げる。怖いことだ。先日は辺野古新基地反対の場で沖縄防衛局職員が市民に『気違い』と言った。土人発言の時は警察庁長官が謝罪したが、今回は防衛大臣が謝罪もしていない」

 -台湾海峡の危機があおられている。

 「メディアもそれに手を貸していないか。沖縄の新聞がなぜ琉球列島と言わず、政府目線の『南西諸島』という用語を使うのか。島々からの住民避難は本当に可能なのか。シェルターには全員入れるのか。台湾や中国在住の邦人救出も同時進行する。住民を島外避難させる余裕はなく、孤立した島で犠牲が拡大する」

 -中国を敵視し、蔑視する風潮が強まる。

 「教育の影響も大きい。敗戦時に10歳だった母から聞いた話では、まり突き遊びの歌詞にも『シナのチャンコロ』と中国人への差別語が入り込んでいた」

 「沖縄人は日本兵として中国侵略に加わっている。被害だけでなく加害責任も負っている。中国敵視・蔑視から戦争へ、という過ちを繰り返してはならない」

 -今、直面している危機はどんなものか。

 「100年前の関東大震災では朝鮮人、中国人が虐殺され、沖縄人も狙われた。危機があおられ、ストレスが高まった時に、流言飛語で差別が暴力へと爆発する。今はインターネットを使った情報かく乱も注意しないといけない」

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