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[社説]石垣市の議会対応 二元代表制を否定する

沖縄タイムス+プラス / 2023年7月2日 5時0分

 石垣市の議会対応で行政の公平性に疑問符が付く事態が相次いでいる。

 市の「新任課長意見交換会」で今春配布された資料に、議会答弁について「一般的に、与党であれば前向き・積極的な答弁となり、野党であればその反対」との記述があったことが分かった。

 「首長、そして執行機関にとって、その会派が与党か野党かは、極めて重要で、答弁内容に大きく関わります」とも記している。与野党で対応をあからさまに区別する表現である。

 自治体は「二元代表制」を取る。首長も、議員も、どちらも直接選挙で選ばれる住民の代表であり、対等の立場でなければならない。

 与党のみを優遇することは、その他の議員に票を投じた住民の意思をないがしろにする行為でもある。

 資料は44ページにわたり、市総務部長が作成したという。中には議員の質問傾向別の対応についての記述もあった。

 議員の質問の代表的パターンとして「主義主張」「提案」「興味・関心」「時事ネタ」の4例を挙げ、主義主張の質問には「自分の意見を述べることが目的であり、答弁自体にあまり重きを置いていない。行政としてはやや気が楽です」との解説を付けている。

 地方議会は条例や予算などを審議・決定する権限を持ち、行政はその執行に責任を持つ。

 互いにチェック&バランスの機能を働かせることが求められている。

 資料は行政中心の目線で書かれている。議会を軽んじた内容だ。

■    ■

 石垣市では、中山義隆市長が市議会6月定例会の一般質問のさなかに、野党市議の着用しているかりゆしウエアに疑問を呈するという異例の事態も発生した。

 野党市議が再質問を始める前に市長が休憩を求め、かりゆしウエアのデザインが議場にふさわしくないと主張したのである。市長は「議員を見た時、非常に違和感を抱いた」と述べた。

 市議会でかりゆしウエアの着用は認められており、市側も議員側もさまざまなデザインのウエアを着用している。どのデザインが議場にふさわしいかは主観の域を出ない。個人の主張のために議事を止める態度は前代未聞であり、傲慢(ごうまん)だ。

 これにより野党市議の質問は中断された。市長は野党の質問を軽視しているのではないか。

 中山市長は議会対応を改めるべきである。

■    ■

 是々非々で向き合うべき議員と市の対等な関係が疑われる。

 与野党で議会対応を区別すると明記した新任課長への資料作成も、こうした市長の姿勢に忖度(そんたく)した結果ではないか。

 公務員は全体の奉仕者であり、公平な行政サービスの提供は責務でもある。答弁をはじめとする議会対応にも公平性が求められる。

 露骨な野党排除は、二元代表制を否定するものであり、地方自治や民主主義の土台も揺るがしかねない。

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