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[社説]県庁からPFAS漏出 猛省し管理体制見直せ

沖縄タイムス+プラス / 2023年9月30日 5時0分

 有害性が指摘される有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)を含んだ泡消火剤が県庁の地下駐車場から漏出し、一部が久茂地川に流出していたことが明らかになった。

 6月に発生していたにもかかわらず、県はその事実を3カ月間も公表していなかった。

 驚くべき危機意識の欠如である。県は深く深く反省すべきだ。

 県の説明によると、6月に県庁地下駐車場のスプリンクラーが老朽化による誤作動で噴出。消火剤はPFASを含まないものに交換済みだったが、スプリンクラーにつながる配管にPFASを含む消火剤が残っていて、押し出される形で漏出した。推計900リットルに上るという。

 一部を業者が回収、残りを湧水槽にため、後日処理する予定だったが、雨水の浸入により、自動的に排水され、配管から流れ出たとみられる。

 県が今月19日に久茂地川で採水して検査した結果、国の暫定指針値(1リットル当たり50ナノグラム)は下回った。

 宮城力総務部長は、公表が遅れたことについて「外に流出しない地下の水槽にため、回収して洗浄すれば足りるという認識だった」などと説明しているが、認識が甘過ぎる。

 一般市民も利用する地下駐車場で起きた問題であり、把握した時点で公表するべきだった。

 住民の不安を軽視しているのではないか。

 県の公表の在り方や管理体制が厳しく問われる。

■    ■

 PFASは人体や環境中に長く残る「フォーエバー・ケミカル(永遠の化学物質)」とも呼ばれ、発がん性も指摘されている。

 有害な化学物質を国際的に規制するストックホルム条約ではPFASの一つであるPFOSが2009年、PFOAが19年に製造・使用が原則禁止となった。

 しかし、県内ではいまだ、PFAS含有の泡消火剤を保管する公共や民間の施設が残っている。

 県環境保全課が、県所有の9施設にヒアリングしたところ、8月末時点で県福祉センターや三重城合同庁舎など5施設に、PFAS含有の泡消火剤が計5920リットル保管されているという。

 那覇市の公共施設でも5施設あり、7月にはそのうち2カ所で流出があった。

 これ以上の流出を防ぐために、速やかにPFAS非含有へと切り替えるべきだ。

■    ■

 基地から派生するPFAS汚染は深刻だ。

 県は米軍に管理体制の不備や事故発生の公表の遅れを繰り返し指摘。玉城デニー知事は国連で、この現状を訴えてきたばかりだ。

 それだけに今回の問題をきちんと調査し、管理体制や情報公表の仕組みを構築することが求められる。

 基地周辺住民の血中濃度調査では高い値のPFASが検出されている。隣接する小学校の土壌汚染も確認された。

 県の猛省はもちろん必要だが、PFAS汚染の追及の手を緩めることなく、日米両政府を動かし、改善させなければならない。

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