作・秋之桜子×演出・寺十吾×出演・三津谷亮が明かす、西瓜糖『レバア』開幕直前の想い

ORICON NEWS / 2018年4月17日 16時38分

(写真左より)作・秋之桜子(女優名:山像かおり)、出演・三津谷亮、演出・寺十吾(C)Deview

 元文学座で作家の秋之桜子(女優名は山像かおり)と、文学座の女優の奥山美代子が起ち上げた演劇集団「西瓜糖」の第6回公演『レバア』が、4月18日より中野・テアトルBONBONにて開幕。本作は、演出に寺十吾、客演として三津谷亮、佐藤誓、外波山文明、森田順平ら実力派俳優を迎え、終戦後の昭和20年を舞台に、とある一軒家に集まった老若男女の混沌とした人間模様を描く。

【写真】『レバア』開幕直前の想いを語る三津谷亮

 そこで今回、オーディション&エンタメサイト『デビュー』では、西瓜糖のメンバーである劇作家・秋之と演出の寺十に加え、本作の物語の鍵を握る復員兵を演じる三津谷に、本番直前の想いを語ってもらった。

【作・秋之桜子×演出・寺十吾×出演・三津谷亮 インタビュー】

◆「手応えは有りまくりです! いいものになっていると思います」

――まもなく開幕となる『レバア』ですが、現段階(取材は本番1週間前)での手応えはいかがでしょうか?

【寺十吾】「手応えは有りまくりです! いいものになっていると思います」

【三津谷亮】「演出の寺十さんはじめ、周りの役者さん、支えてくださるスタッフさんたちが、人として本当に素敵な方々が多くて。そのままみなさんが舞台上に生きているという感じがビシビシ伝わってくるので、そこに早く入り込んでいけたらと思いながら日々稽古をしています」

【秋之桜子】「私は、今はもう役者(山像かおり)として稽古に参加していることが多いんですが、寺十さんに『日本映画みたいな舞台になってきたよ』とおっしゃっていただいて、すごく嬉しいなと思っています。映画ってすごく自然な感じで観ることができるじゃないですか。でも、演劇は少し硬くならないと観られない。その両方がうまく混ざり合って、家で映画を観ているような演劇になったらいいなと。内容はわりとハードな内容ではあるけど、個々にいろんな人生があるので、昔の話ではありますが、今のことのように受け止めてもらえたら嬉しいなと思っています」

――カンパニーの雰囲気はいかがですか?

【秋之桜子】「雰囲気はとてもいいです。毎日本番をやっているような緊張感がある稽古場なんですが、でもそれが嫌な緊張感ではなくて。稽古自体もとても短いんです。だからこそ、無駄にできない稽古場なので、お互いに相手役と呼吸ができる感じではあるかなと思っています」

――三津谷さんは、今年だけでもロ字ック『滅びの国』、舞台「パタリロ!」☆スターダスト計画☆、『レバア』、舞台『刀剣乱舞』新作公演と、ストレートから2.5次元まで幅広い活躍をされていますよね。

【三津谷亮】「『パタリロ』が夜公演のみの時に、『レバア』の稽古に参加していて。パラレルワールドみたいに、まったく違う世界観なので、自分が今どこにいるか、現実がどこなのか混乱する感じでした。でも、それがいい意味であまり考えなくて良かったんです。『レバア』の稽古だけになってみたら、逆にいろいろと考えすぎてしまって。前回は2.5次元舞台で、今回はストレートと全然違う作風ですが、毎日が充実していてすごく楽しい。4月が3ヵ月くらいある感覚です」

――ベテラン俳優さんをはじめ、個性派の役者さん揃いですが。

【三津谷亮】「たくさんの先輩方と共演するということで、最初は萎縮してしまうんだろうなって思っていたんです。でも、表現を出しやすいような環境作りをしてくださる方がたくさんいらっしゃっていて、一緒に作品を作っていけるという感覚がすごくあるんです。自分の役だけではなくて、みんなでそれぞれの立ち位置で作品を作るというのがすごく素敵だなと思っています」

――刺激もたくさん受けているのでは?

【三津谷亮】「戦後当時のこととか、映像や調べられるものは読んで行ったりしているんですが、まだまだ知識も少ないので、演じている中でのセリフの厚みだったり深さというのが足りないなと思う部分に関しては、周りの方が手助けしてくださっていて。役者としては恥ずかしい作業なのかもしれないですが、僕はもらえるものはもらおう!と前向きに捉えてやっています。ただ、それだけを期待していると、あっという間に本番を迎えてしまうので、常に勉強して拾える感情とかを毎日見つけています」

◆「(三津谷亮は)刺激の与えがいのある役者だなと思う」

――お二人から見て、三津谷さんは役者としてどんな印象ですか?

【寺十吾】「感受性豊かというか、些細な言葉ですぐにフワっと気持ちが広がる役者なので、演出しているほうもワクワクします。毎日、刻々と変化しているだろうし、見ていて楽しいし、刺激の与えがいのある役者だなと思います」

【秋之桜子】「本を書く前にお会いしたときに、三津谷くんが自分のことを『小物感が強い』と言っていて。物語の中でも一番揺れ動く役を書きたいなと思ったんです。三津谷くんが舞台上に出てきたときに、観ていたいと思える人だなと思って。それは稽古場でもそうで、三津谷くんが芝居をやり始めると、女性陣が釘付けになっているんです。正直、最初はベテラン俳優さんの中、この時代にマッチするのにすごく時間がかかるのかなと思っていたんですけど、三津谷くんは空気を読む力がすごくあるから、パッてそこに立ったらその人たちの色を盗むというような感じがあって、華があるけど今回の色の中にスッと入ってきたというのが、不思議な役者さんだなって思います」

――西瓜糖としては、秋之さんと寺十さんのタッグというのも見どころの一つだと思うのですが、今回、寺十さんにお願いした経緯とは?

【秋之桜子】「以前、寺十さん演出の舞台に役者としてご一緒させていただいたとき、台本をすごく丁寧に読んでいて、その本に書かれていることをとても大切にされる方だなと感じていて。西瓜糖で演出を担当していた松本が卒業しまして、今回第一弾として誰にお願いしようかとなったときに、真っ先に寺十さんにお願いしたいと思ったんです」

――秋之さんの本の魅力はどんなところで感じていますか?

【寺十吾】「非常に魅力的なカッコ悪さを持った人たちがたくさん出てくるところが面白いなと思います。カッコイイ役もあるけど、カッコ悪い役が好きな役者さんは、結局カッコイイわけで。とても役者好みな本なんじゃないかなと思います。登場人物もみんなそつなく見せ場があるし、演じたい・やりたいと思えるような本だなと思います」

――役者好みの本ということですが、役者としてウズウズする部分はありますか?

【寺十吾】「そりゃありますよ。役者のほうが面白くて楽しいですし。何も考えなくても体を使って表現できるので。演出は頭ばかりなので……。(秋之に向かって)今度は出してください」

【秋之】「一度出ていただいていますので、ぜひまたよろしくお願いします!」

◆「小劇場はお客さんの呼吸がもろに感じられるのが魅力」

――演じる側からみて、小劇場ならではの楽しさというのはどんなところですか?

【三津谷亮】「お客さんの呼吸がもろに感じられるのと、今この空間に普通に生きているという感覚に似ているところかなと思います。大きい劇場だとマイクを使ったり、声を張ったりしないといけなくて、それが嘘っぽくなるというか、演劇チックになってしまうことがある。大きい劇場の良さももちろんあるけど、近いからこそ、役者の粗が見えてもいいんじゃないかなって思います」

――寺十さんの演出で印象に残っていることは?

【秋之桜子】「『役者の品評会にはなりたくないよね』という寺十さんの言葉に、“なるほどな”と思いました。どうしても役者って、ある程度役が膨らんでくると、自分の役が愛おしいので、知らず知らずのうちに頑張りすぎちゃうんですよね。でも、寺十さんの言葉を聞いて、腑に落ちた。もう一回元に戻すじゃないけど、稽古を経て元に戻すことはマイナスではないので、最初の頃のピュアな気持ちをもう一回洗わなきゃなと。すごく分かりやすくて、厳しい言葉だなと思いました」

【三津谷亮】「僕自身、寺十さんからいただく言葉に毎日ハッとさせられるんです。普段は、お客さんの空気を借りてお芝居することが多くて、それはやりやすい部分もあったけど、それでブレることもあって。この前、稽古しているときに周りの音がすごく気になってしまって、自分が演じる復員兵にぜんぜん寄り添えなかったときがあったんです。そのときに寺十さんが『誰も見て居ないほうが、自分がこの役のことを一番わかってあげられる。だから、“俺がわかってあげているよ”という気持ちになってやればその感情にいけるよね』と言われて。お客さんの空気を借りて芝居に乗っけていた部分が、そうじゃないときはどうしたらいいのかずっと悩んでいたんですが、寺十さんの言葉にハッとさせられて。自分じゃなくて、もっと役のことを考えないといけないなと改めて思いました」

――今作に関して、演出をする上で、一番軸としていることはどんなところでしょうか?

【寺十吾】「セリフの中で『生きる糧』という言葉がたくさん出てくるんです。戦争という大きな出来事があって、家族も失って自分が大切にしていたものがすべて無くなってしまった人たちが、これからどうして生きていこうかというところに、私の中ではそれが糧になって生きていられるという素晴らしい発言なんですよね。“それさえあればなんとかやっていける”ということって、実は周りに潜んでいるというか、作るというより、探してみるといくつか出てくると思うんです。役者さんも役を作るということにおいて、探していく、そして発見してブワッっと気持ちが広がっていくという、そういう作業だと思うので。生きる糧を失くした人から『あんたがいることが私の糧なんだ』とつぶやかれたときに、いろんな連鎖反応がそこで起きる。そういう形でみんなが生きていくという、その対象が見えていくように心がけています」

◆「こんなにも羨ましがられる現場はなかなか無い」

――寺十さんの演出といえば、瀬戸康史さんをはじめD-BOYSメンバーが出演した『関数ドミノ』が記憶に新しいですが、みなさんからは何か言われたりしましたか?

【三津谷亮】「アドバイスを聞くというのは特になかったですが、メンバーに会う度に『今、寺十さんとやっているんだよね? いいな~』ってみんな言っています。池岡(亮介)は『また一緒に作品を作りたい』って言っていましたし、『毎日稽古に行くのが楽しくなるよ』って、僕が稽古場に入る前に言われて。あと先日、瀬戸さんにお会いしたときにも『いいよね、寺十さん!』って言われて。こんなに羨ましがられる現場ってなかなか無いし、いろんなことに気づける現場というのは、ありがたいなと思います」

――三津谷さんは、2008年の『D-BOYSオーディション』から10年を迎えますが、仕事への向き合い方は変わってきました?

【三津谷亮】「だいぶ変わりました。スタートラインに立ったときは、見返したい!というような悔しさをバネにやってきたんですよね。でも、そのマイナスなエネルギーが、どんどん観に来てくれる人たちのために、いい作品を作れたらなというプラスのエネルギーに変わってきて。“来週、『レバア』を観に行くので、仕事頑張れます”とかのコメントをもらったりすると、自分も誰かの生きる糧になれているのかなと感じますし、いろんな意味で人のためにできるようになってきたのかなって思います」

――では最後に。『レバア』の初日に、今年10月に行われる次回の西瓜糖のワークショップオーディションの詳細が公表されるとのことですが、これは2019年公演のキャスティングも兼ねているんですよね?

【秋之桜子】「今回の『レバア』も森川由樹さんと足立英さんがワークショップオーディションにいらっしゃってくださって出演が決まりました。『レバア』ではお二人ともとてもいい役なんです。私は役者でもあるので、その他大勢が書けなくてみんなに役を書いてしまう癖があって。それでいつも盛りだくさんになってしまうんですけど……。なので、ワークショップオーディションで選ばれた方たちは、西瓜糖の場合、その他大勢ではないです」

――どんなところを重視されているのでしょうか?

【秋之桜子】「上手いとか下手とかまったく関係なくて、気負わずに自然体で本当にお芝居をやりたいという姿勢を見せていただける人が一番良いのかなと思っています。失敗したり、うまくしゃべれなかったりしてもぜんぜんいいなと思っていて。あとは、西瓜糖の質感に合う人、西瓜糖の芝居が好きかどうかも大事だと思います。最近の若い方は、あまり芝居を見ずにオーディションばかり受けているという方も多いので、ぜひいろんな劇場に足を運んで、実際に自分の目で観て、“この芝居に出たい”と思って受けるという方がいいのかなと思います。なので、ぜひ今回の『レバア』を観て、ワークショップオーディションを受けていただけたらと思います」

 西瓜糖 第六回公演『レバア』は、4月18日(水)~29日(日)まで、中野・テアトルBONBONにて上演。

【プロフィール】
◆秋之桜子(あきの・さくらこ)【女優名:山像かおり(やまがた・かおり)】/1988年より文学座劇団員となり、2017年に文学座を退団。文学座公演の他、「羽衣1101」、「西瓜糖」の全公演に出演。作家としては、秋之桜子の筆名で2005年に脚本家デビュー。2010の『猿』にて、第十六回劇作家協会新人戯曲賞優秀賞受賞。

◆寺十 吾(じつなし・さとる) /1992年に劇団「tsumazuki no ishi」を旗揚げ。以降、作・演出・出演を務める。そのほか、外部舞台作品の演出や出演、映画・テレビ出演など多方面で活動。近年の主な演出作品は、シス・カンパニー『黒塚家の娘』、舞台『関数ドミノ』の他、今年11月には『誰もいない国』を控えている。

◆三津谷亮(みつや・りょう)/近年の主な出演作は、學蘭歌劇『帝一の國』、ミュージカル『黒執事 ~NOAH’S ARK CIRCUS~』、舞台『パタリロ』☆スターダスト計画☆などの2.5次元舞台をはじめ、舞台『真田十勇士』、明治座『ふるあめりかに袖はぬらさじ』、大河ドラマ『真田丸』、テッペン!水ドラ!!『3人のパパ』など、様々な作品で活躍中。今年6月・7月には舞台『刀剣乱舞』新作公演に出演が決定している。

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