オンラインゲームの中に潜入したら“人間性の本質”が見えてきた!?リアルとバーチャルの境界を問う問題作
ORICON NEWS / 2024年9月24日 14時0分
「山形国際ドキュメンタリー映画祭2023」で審査員特別賞を受賞した、映画『ニッツ・アイランド 非人間のレポート』が11月30日より東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開されることが決定した。
【画像】ネトゲの島をのぞき見る場面写真
本作は、フランスの映画クルーが、オンラインゲームの中の“島”(仮想世界)に潜入し、そこで実在のサバイバル・ゲーム「DayZ(デイジー)」に興じる人々にインタビューを敢行し、ドキュメンタリー映画を作り上げた。
ほぼ全編をVRゲームで撮影するという斬新な手法で作られた本作。時に現実かと思うほど精巧に作り込まれた架空の“島”では、現実世界では不可能な殺人が許されていた。遭遇したプレイヤーや蔓延るゾンビを殺さなければ生き残ることができないモラルが崩壊した仮想世界の“島”で、クルーも生き延びるためにあらゆる手段を尽くしながら、時に攻撃を受けて死に、生き返りながらアバターたちと接触を試みた。
クルーが“島”に潜入した時間は、963時間にのぼった。そこで出会ったのは、単に殺し合うだけではない、多様な人々。暴虐の限りを尽くす集団もいれば、“誰も殺さない”を信条とするグループ、畑を耕し野菜を育てる人もいれば、オオカミの神“ダゴス様”を崇め、仲間に信仰を説く自称牧師も。
現実ではヴィーガンだが〈DayZ〉内で人を殺すカップル参加者がいれば、静かで落ち着いた環境を求め、すでに1万時間もゲーム内で過ごしているという人もいる。目的を持たず、ただぶらついているだけの人もいる。もちろん「殺しを楽しむ」人もいる。単なる「娯楽」を超え、人間は何を求めてこの“島”にやってくるのか?
アバターたちと交流を続けるうちに、クルーは人間の二面性に直面する。オフライン(現実世界)にいる生身の人間の存在が感じられ、どちらが本当の姿なのかわからなくなってくる。それが“人間性の本質”とでも言うべきものなのか。やがてクルーは、現実と仮想世界の境界を探索する旅へ向かう。その終着は果たしてどこなのか?
「山形国際ドキュメンタリー映画祭」のほか、先鋭的なドキュメンタリーを上映する「第54回ヴィジョン・デュ・レール」(スイス)で国際批評家連盟賞、「台湾国際ドキュメンタリー映画祭」で審査員特別賞を受賞するなど、各国で高い評価を得ている。
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