「ナラティブガンダム」改修機に称賛の声 ガンプラモデラーが創造『ガンダムUC』“アナザーストーリー”とは?
ORICON NEWS / 2024年10月31日 7時0分
2021年に劇場公開された『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』を観たことをきっかけに、本格的に“ガンプラ復帰”を果たしたモデラーのpapicoさん(@papico910)。ナラティブガンダムをベースに、自身の思い入れの深いバンシィの要素を落とし込み、こだわりを詰め込んだ『ナラティブガンダム改修型type-BANSHEE-』を作り上げ、5000以上のいいねを獲得した。自身のこだわりとともに、本作の裏にある想いを込めた“もう1つの物語”について話を聞いた。
【写真】全身やバックショットもカッコイイ…細部まで丁寧に作られた『ナラティブガンダム改修型type-BANSHEE-』
■ナラティブガンダムも好きだが、合わせに使用したバンシィに思い入れがあった
――『ナラティブガンダム改修型type-BANSHEE-』が5000を超えるいいねを獲得されました。そもそも本作はどのようなきっかけで作ろうと思われたのですか?
【papico】「MGナラティブガンダムver.ka」の商品情報が発表されたときから構想を練ってました。過去のユニコーンガンダムキットのパーツ(サイコフレーム)と互換性があるという情報を見たときに「バンシィやフェネクスと合わせればカッコいいのではないか」と思い、「もしやるのであれば、ユニコーン系列機で一番好きなバンシィと合わせたいなぁ」と考えを膨らませながら発売を心待ちにしておりました。バンシィは物語後半でバンシィ・ノルンという機体に改修されるのですが、今回は好きなキャラクターであるマリーダが搭乗している物語前半に登場したバンシィをチョイスしました。
――待望の制作だったわけですね。「ナラティブガンダム」に何か特別な思い入れがあるのですか?
【papico】ナラティブガンダムも好きな機体ですが、どちらかというと合わせに使用したバンシィという機体に思い入れがあり、バンシィの要素をナラティブガンダムに落とせればいいなと思ったのがきっかけです。ナラティブガンダムはサイコフレームの試験機という設定であり、腕部や太腿部分のフレームがむき出しであることが特徴の機体です。その見た目から劇中でも「やせっぽち」という不名誉な呼ばれ方をしていました。僕も初見は同じ印象でした。でも逆に言えば装甲を排したスリムなシルエットということ。女性的なシルエットを目指していた僕にとってはうってつけでした。なので今回の改修は装甲を追加せず、あえてそのまま剥き出しにしてます。
■バンシィの黒とも紺とも呼べない絶妙な色を表現するために、納得のいくまで吟味
――本作を制作するうえで、最も大変だった(苦労した)ところ、最もこだわったところをそれぞれ教えてください。
【papico】兎にも角にも塗装が一番苦労しました。バンシィの黒とも紺とも呼べない絶妙な色を表現するために、納得のいくまでカラーを吟味しました。同じ色でも下地色によって仕上がりも変わってくるので、途方もない数のテストを繰り返し、この色が作れました。調色のメリットは自分の好きな色を作れるということですが、使用色・下地・配合比率を覚えておかないと2度と同じ色が作れないというデメリットもあるので、塗装を剥がさないようにいつも以上に大切に扱っております(笑)。
――まさに絶妙の色合いですね。
【papico】ありがとうございます。自分の理想のバンシィの色を再現するために試行錯誤しました。市販の塗料に理想のカラーがなかったので、さまざまな塗料を組み合わせて調色し、自分だけのバンシィカラーを作りました。バンシィのカラーは紺寄りにするか黒寄りにするかモデラーの好みによって解釈が異なりますが、調色により紺にも見えるし黒にも見える絶妙な色にすることにできました。
――ちなみに、本作はどのような世界線をイメージして制作されたのですか?
【papico】「『機動戦士ガンダムUC』の最終決戦にて、マリーダがもしクシャトリヤではなくナラティブガンダムに乗ったなら」というif設定で制作しました。マリーダは同作品の中でも特に人気が高く、僕も大好きなキャラクターの一人なのですが、劇中でリディとの闘いの末、悲しい最期を迎えてしまうキャラクターです。彼女自身、つらく悲しい過去があり、それを救ってくれたジンネマンとの絆にとても胸を打たれたため、当時その結末を受け入れることができませんでした。彼女には何とか生還してジンネマンのもとに帰ってきてほしい、そういう世界線もあってもいいのではないか、その願いを込めて制作しました。この機体ならばリディを止めて、マリーダをマスター(ジンネマン)のもとへ生還させてくれると信じております。今では原作の結末を受け入れ、納得はしているのですが、こういう「もしかしたらあったかもしれない世界」を表現できるというのもガンプラの魅力の1つなのではないかと思います!
■手法をテンプレ化せずに自分のできる選択肢を増やし、好みにあったものチョイス
――ガンダムの世界観を大事にしつつ、自分の願う方向性をガンプラで創造する。すばらしいですね。本作を含め、ご自身がガンプラを制作する際に常に心がけていること、信条を教えてください。
【papico】最新作には常に新しい技法・表現を取り入れるようにしています。チャレンジすることで得た経験を蓄積し、次の作品に活かすことを心がけております。手法をテンプレ化せずに、自分のできる選択肢を増やし、その中から一番自分の好みにあったもの選ぶようにしています。もしそのアプローチが失敗したとしても、次の作品にはそのアプローチが活かせるかもしれない。なので失敗したとしても、いやな思い出として記憶から消さずに覚えておくことが大切なのではないかと思います。
――では最後に、papicoさんにとって「ガンプラ」とは?
【papico】僕にとってガンプラとは「自分が成長できる終わりがないコンテンツ」「最高のコミュニケーションツール」の2つです。最初はただ説明書通りに作っていたものが、墨入れをするようになり、塗装をするようになり、ディテールを入れられるようになりました。それでも現状に満足せずに「もっと上手くなりたい」と思う自分がいます。最新作が最高傑作になれるように常に自分をアップデートしていく気持ちを忘れずに、ガンプラを楽しんでいければと思っております。
そしてXに投稿を始めて約2年となりましたが、多くのモデラーさんと交流を持つことができました。中には実際に会って仲良くなった方もおります。コロナ禍で人とのつながりが希薄になった昨今、ガンプラを通じてときに仲良く、お互い刺激しあえる同志を得ることができました。今後ともこの縁を大事に、仲良く、お互い刺激しあえる関係を築いていければなと思います。
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