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アメリカ陸軍の新メディアキット、キヤノンを採用

おたくま経済新聞 / 2018年3月5日 17時25分

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アバディーン試験場でEOS 5D Mark IVをテストする兵士(Photo:U.S.Army)

 アメリカ、メリーランド州にあるアメリカ陸軍アバディーン性能試験場で行われていた、新しい広報・記録映像制作用機材(TDM=Tactical Digital Media)の性能試験が終了しました。試験に供された機材は、スチールカメラ、ムービーカメラ共に、以前から陸軍が採用しているメーカーであるキヤノン製です。

 軍にとって「広報」というものは、非常に重要な位置を占めるものです。軍のスポンサーは「納税者」である国民です。国民の支持あってこそ軍は活動できるのだ、という考えが基本にあるので、軍は「Your Army(皆様の陸軍)」「Your Navy(皆様の海軍)」などと自らを称したりします。逆に国民の側も「国の為に尽くしてくれてありがとう」と感謝の意を示すサイクルができあがっています(もちろん、軍の存在に反対する国民も一定数存在し、デモ活動をしたりもしています)。

 このため、軍の活動内容などを国民に知らせ「我々はこのような活動を通して国民の役に立つべく努力しています」とアピールすることを重要視しているのです。また、若い人向けに「このように充実感ある仕事なので、あなたも参加しませんか」と、リクルート活動にも使われます。軍という組織は機密も多いのですが、積極的にアピールして活動を公開することも極めて重要なのです。

 アメリカ軍の場合、広報に携わる要員は映像制作のプロフェッショナルによる専門教育を受け、ノウハウを身につけます。退役後に即戦力として映像制作の世界に転じる人もいるほど本格的なものです。日本の自衛隊の場合は、海上自衛隊第3術科学校で専門の養成教育が行われています。

 広報に力を入れている分、機材の選定も本格的で、制作プロダクションと同等の機材を保有していますが、もうひとつ重要なのは、活動する環境が非常に過酷なため、ちゃんと動いてくれるのか、ということ。一定の耐久性も要求されるため、実際に戦場や演習場で、様々な気象条件のもとテストし、要求する耐久性などの性能を満たしているかを確認する必要があるのです。

 今回の新機材選定試験は2017年6月に始まり、まずはアフガニスタンでの活動を記録する広報部隊によって使用されました。続いて2017年10月にはアバディーン試験場での運用試験を経て、最後にカルフォルニア州フォートアーウィンとルイジアナ州フォートポークの訓練センターで戦場での環境試験を行い、問題なく機材が動作するかが確かめられました。

 試験をクリアした新しい撮影機材は、スチールカメラがキヤノンEOS 5D Mark IV。ムービーカメラは同じくキヤノンのCINEMA EOS SYSTEM、EOS C100 Mark IIです。CINEMA EOS SYSTEMを採用しているのは、スチールカメラ用のレンズ(EFレンズ)が共用できる点も大きな要因だと思われます。ちなみに、三脚類はイタリアのマンフロットが採用されています。この他に映像編集用のノートパソコンも新しくなりました。

 これらの新しい撮影機材は、2018年9月30日までにまず54の広報部隊に配備され、その後順次世界中で活動しているアメリカ陸軍の各部隊に配備される予定となっています。ちなみに、アメリカ海軍と空軍ではニコンの機材を使用しています。

Image:U.S.Army

(咲村珠樹)

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