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航空機とミサイル両方に対応 アメリカ陸軍が統合防空指揮センター量産初号機を受領

おたくま経済新聞 / 2019年5月2日 17時20分

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ICBS指揮センターの量産1号機(Image:Northrop Grumman)

 2019年5月1日(現地時間)、ノースロップ・グラマンはアメリカ陸軍に次世代型統合防空システム(IAMD)の中核となる戦闘指揮システム(IBCS)用指揮センター(EOC)の量産初号機を引き渡したと発表しました。IAMDは、アメリカ陸軍が2028年の戦力化を目指して進めている統合型防空システムで、航空機と弾道ミサイルの双方に対応できるものです。

 現在それぞれが独立して運用されている、航空機に対応する防空システムと、弾道ミサイル防衛システム。これを一本化して、どのような脅威にも対応できるようにするというのがIAMD(Integrated Air and Missile Defense)です。アメリカ陸軍は2009年12月、ノースロップ・グラマンをIAMD戦闘指揮システム(IBCS)の開発企業に選定。2010年8月に最初のプロトタイプが完成し、試験を続けながら開発を進めてきました。

 このシステムでは、複数のレーダーをネットワークで結び、同時に複数の目標を捕捉しながら、目標の特性に応じた迎撃ミサイルを選定し、発射するというプロセスが行われます。複数のレーダーと迎撃ミサイルを一元的に管理することで、大幅な省力化が可能になります。その反面、高度なネットワークシステムが必要であり、また目標の種類(航空機か、弾道ミサイルか、巡航ミサイルか)を的確に判定する能力と、それに見合った迎撃ミサイルを選定し、その発射機へ目標の情報を伝達して発射するという複数の課題がありました。

 2013年9月にペトリオット、AN/MPQ-64センチネル3次元レーダー、そしてC-RAM(ロケット弾・砲弾・迫撃砲弾迎撃兵器)との統合を行い、2015年5月に最初の迎撃試験に成功。2016年4月に行われたシミュレーション試験では、弾道ミサイルと巡航ミサイル双方の捕捉に成功しました。2018年1月~7月に行われた試験では、ネットワークシステムが問題なく動作することが確認されています。これらの結果を踏まえ、アメリカ陸軍宇宙ミサイル防衛コマンドは次の段階に計画を進めるべく報告書を作成。今回の指揮システム量産初号機の引渡しとなりました。


 ノースロップ・グラマンのミサイル防衛システム担当副社長、ダン・バーウィール氏は「このマイルストーンは、兵士や指揮官らにとって極めて重要な変革となる、戦力化に向けて大きな前進となる証といえます。私どもはこれからもっと多くの指揮センターを納入し、近い将来IBCSの統合火器管制ネットワーク(IFCN)リレーと統合されます。これらは初期運用開発試験に用いられることになり、実際の量産化への判断材料となります」と、今回の量産型指揮センター初号機引渡しに際してコメントしています。

 最初の量産型指揮システム納入を受け、ノースロップグラマンでは、2019年末までに指揮センター11台と、18セットの統合火器管制ネットワーク(IFCN)リレーを納入する予定となっています。これらのシステムは、アラバマ州のレッドストーン兵器廠にある陸軍ミサイル宇宙計画局の管理のもと、試験が続けられる予定です。

Image:Northrop Grumman/U.S.Army

(咲村珠樹)

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