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A-10の主翼交換をボーイングが追加受注 さらに10年以上の寿命延長へ

おたくま経済新聞 / 2019年8月28日 11時0分

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アフガニスタン上空で空中給油を受けるA-10(Image:USAF)

 ボーイングは2019年8月21日(現地時間)、アメリカ空軍からA-10攻撃機の主翼交換プログラムを受注したと発表しました。この契約では、最大112セットの主翼とスペアパーツを総額9億9900万ドル以内で納入する予定です。

 アメリカ空軍の地上攻撃機A-10。公式には「サンダーボルトII」という愛称になっていますが、現場の兵士たちには「Worthog(イボイノシシ)」の名前で親しまれています。

 元々は低空飛行しながら戦車を駆逐する「タンクキラー」として設計され、機首に強力な30mmガトリング砲GAU-8を装備。1976年に就役以来、地上部隊の近接航空支援(CAS)任務を行ってきましたが、F-16やF-15Eなど地上攻撃もこなす多用途戦闘機が主流を占めるようになり、地上攻撃専用というA-10は幅広い任務へ柔軟な対応ができず非効率であるとして、たびたび議会などから退役を要求する声が上がっていました。

 しかし、そのたびに投入された戦場で、その強力な攻撃力と、低空を比較的低速で飛べる飛行能力で大きな戦力となり、近接航空支援のスペシャリストならではのメリットをアピールしてきました。このため、1984年に生産が終了したこともあり、これまでに寿命延長のための改修が実施されています。

 今回ボーイングが受注した主翼交換プログラムは、大量の兵装を装着して飛行し続け、老朽化した主翼を新しいものと交換するもの。調達方式は、必要になった時に必要な量を調達する「不定期量/調達(IDIQ)」という独特の方式となっています。車の生産におけるトヨタのカンバン方式に近いといえます。

 ただし、さすがに調達の最大量と予算の上限は設けられており、調達量はスペアパーツを含めて最大112セット、予算は9億9900万ドル(約1056億円)となっています。これ以前にアメリカ空軍は27セットを発注。ボーイングはこれまでに構造が強化された主翼をアメリカ空軍に173セット納入しており、トータルで312セットの主翼が納入されることになります。

 ボーイングのグローバルサービス部門アメリカ空軍担当副社長のパム・バルデス氏は「A-10サンダーボルトII主翼キットの製造者に、継続して選ばれたことを誇りに思います。私たちはA-10の構造を理解し、空軍の要求についても熟知していますから、高品質な主翼を提供する重要なニーズに対応できるのです」とコメントしています。

 この交換用主翼キットは、韓国の韓国航空宇宙産業(KAI)も下請け製造者として参加。最初のセットは、アメリカ空軍の大規模な航空機整備を行う基地として知られるユタ州にあるヒル空軍基地に納入されます。アメリカ空軍は構造が強化された主翼に交換することで、A-10の寿命をさらに10年以上延長できるとしています。

<出典・引用>
ボーイング プレスリリース
Image:USAF

(咲村珠樹)

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