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アメリカ最新鋭空母ジェラルド・R・フォード 航空機運用試験に合格

おたくま経済新聞 / 2020年2月7日 16時0分

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空母ジェラルド・R・フォードからの発艦を待つF/A-18F(Image:U.S.Navy)

 アメリカ海軍の最新型空母ジェラルド・R・フォード(CVN-78)。これまでのニミッツ級とは異なる、新世代の発着艦システムを備える同艦の航空機運用試験が行われていましたが、2020年1月31日に終了。2月5日(現地時間)に試験の合格が発表されました。

 従来の蒸気式カタパルトに代わり、リニアモーターを利用した電磁式カタパルト(EMALS)や、次世代型の着艦拘束装置(AAG)を搭載しているジェラルド・R・フォード。2020年1月16日からバージニア州沖の大西洋で、実際の航空機を使用した運用試験が行われてきました。

 今回の試験で注目されるのが、新型の電磁式カタパルト(EMALS)。これまで推進用(原子力蒸気タービン)の蒸気を利用した蒸気式カタパルトでは、1回の射出ごとに蒸気を充填し、射出する航空機の重量に合わせて蒸気圧を調整する作業が必要でした。

 それが原子炉で生み出される潤沢な電力を使うEMALSでは、蒸気の充填にかかる時間もなく、出力調整も簡単に変更可能。単位時間あたりの発艦回数を増やすことができ、短時間に攻撃隊を発進させられます。

 2017年に実施された初期能力確認試験では、F/A-18E/Fスーパーホーネットのみという限定的な確認が行われただけでしたが、今回はT-45練習機、E-2D早期警戒機、C-2A輸送機、E/A-18G電子戦機も加わり、実際の空母運用で使用されるすべての固定翼機を使って試験が実施されました。




 また、航空機の初着艦作業だけでなく、T-45練習機を使い紫のベストが目印の燃料補給員が燃料補給ラインの訓練。格納庫内でも、航空機の取り扱いに関する試験や訓練も実施。より本格的な「空母」としての能力が確認されました。


 試験期間中には、モドリー海軍長官もジェラルド・R・フォードを視察。艦内各所で試験の様子を見守り、乗組員を激励しました。


 フォードの航空機運用試験合格を受け、電磁式カタパルトや次世代型着艦拘束装置の開発を担当したプログラム・マネージャのケネス・スターベンツ大佐は「我々ALRE(発着艦装置)開発チームの苦労が報われました。これは政府の人々だけでなく、企業パートナーであるゼネラル・アトミクスや、艦隊の皆さんのおかげです。私はこの開発に携わってくれた人々を誇りに思うとともに、新しい初着艦装置を押し進める自信に満ちあふれています」とコメントしています。

 約2週間の試験中、航空機の発着艦は様々なシチュエーションのもと、211回を数えました。艦長のジョン・J・カミングス大佐は語ります。

 「乗組員は、新しい発着艦装置を使用する今回の航空機運用試験に、パイオニアとして臨みました。フォード級という新しい空母の歴史に、新たな1ページを書き加えたのです。フォードにやってきた5機種の協力により、様々な風の状況、そして航空機重量のもと試験を行い、彼らはこの歴史的イベントで素晴らしい働きを見せてくれました。彼ら全員の名前は、フォードの歴史に確かに刻まれたのです」

 フォードの飛行長(エア・ボス)メーディー・アカセム中佐は「空母にはシミュレータなんてものはありません。学ばなければならないことは数多くあって、この新技術の操作方法を習得して、今回の実地試験に臨んだわけです。この数週間、我々は飛行甲板で潮風に吹かれ、飛行甲板には着艦時のタイヤ痕(スキッドマーク)を刻みました。ようやくフォードは『空母』になったんだと思いましたよ」と、今回の試験を総括しています。

 試験を終えたジェラルド・R・フォードはノーフォークへと帰港。また次の試験航海に備えて、しばしの休息を取ることになっています。

<出典・引用>
アメリカ海軍 ニュースリリース
Image:U.S.Navy

(咲村珠樹)

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