【面白同人サークル紹介】たくさんのTRPGのシステムを作る「煙草屋製作所」

おたくま経済新聞 / 2020年4月2日 11時20分

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TRPG用ダイス

 同人サークルと聞くと二次創作の漫画というイメージが強いかもしれませんが、他にもオリジナルの創作分野や個人の研究成果の発表、グッズ作成とジャンルは色々。今回は「TRPGお化け」の異名を持つ「煙草屋製作所」の煙草屋さんに同人活動について話を伺いました。

 なお、インタビューは昨今の新型コロナウイルス感染症の影響も鑑み、インターネットを介して行っています。

【煙草屋さんインタビュー】

 ――準備できましたら教えてくださいませー。私はコーヒーいれつつ待っています。

(煙草屋さん)
 少々お待ちを、ミルクティをば あ、大丈夫です。3リットルありました

 ――たった3本で大丈夫ですか?

(煙草屋さん)
 ええ、1時間であればこれで持つでしょう。最悪、ポットとコーヒーと牛乳もあるのでこれで代用します!

こんな感じで何かがおかしい会話をしながら始まった取材、まるで取材ではなくTRPGで遊んでいる様な感じで始まりました。

■TRPGのシステムデザインが日課?200本は作っている煙草屋さんの主な創作活動

 ――今回はよろしくお願いします。今回は「煙草屋製作所」の煙草屋さんにお話を伺いたいと思います。早速ですが、主な創作活動について、お話頂けますでしょうか?

(煙草屋さん)
 はい、よろしくお願いします。主な活動はTRPG製作とリプレイ動画の製作を行っています。……と、してるんですが、実のところ同人活動をしているって自覚はあんまりないです。えー、どちらかというと動画投稿がメインのつもりで、TRPG製作はその延長というか、頭の体操というか。息抜きのつもりで始めたのがどんどん溜まって行っちゃって。

 最終的に「Twitterで上げっぱなしはもったいない」って怒られまして。じゃあしょうがないからサイト作るかー、って作って。1ページTRPGばっかりじゃあ、あれだなって思ってサイコロフィクションのギャップおじさんTRPGを作って、それで「本にしてくれ!」って声があまりに多かったから本を作った、というのがきっかけですね。

 ――なるほど、確かに私も煙草屋さんが上げられているCoC(Call of Cthulhu=「クトゥルフの呼び声」。H.P.ラヴクラフトの幻想小説をモチーフにしたアメリカ・ケイオシアム社のTRPG)の動画「人狼憑きの村」6話辺りから煙草屋さんの存在を知りましたし、当初は動画がメインな印象でしたね。でもあのTRPGをシステムから作られた数(少なくても100以上)は息抜きの量ではない気が……。

(煙草屋さん)
 わあ、かなり早い段階で捕捉されてた。よく言われるんですが、1ページTRPGに関してはシステムデザイン自体が1時間未満で、ロゴデザインや文章の清書を2時間くらいでやってましたからね。実際にゲーム作ってる部分は1時間未満なので、毎日日課としてやるにはちょうどいいぐらいの量でしたね。

 ――それで当初ついたあだ名が「TRPGお化け」……と。ある意味納得のあだ名ですね。

(煙草屋さん)
 実は「TRPGお化け」って、それより前についたあだ名なんですよ。「5D」というTRPGを作って、それを使って帰りの電車の中でテキストセッションの卓を毎日のように立ててた時期がありまして。下手すると1日4卓とか立てて遊んだりもしてましたから、お化け呼ばわりはそれがきっかけですね。そのあとに1ページTRPGっていうジャンルを知って、「ああこれならもう作ってるわ」って頭の体操をやり始めた感じです。

 ――あー、確かに動画は見てましたが、Twitterフォローしたのは暫くしてからだったので、それは知らなかったです。

(煙草屋さん)
 当時は終電で帰ることが多くて、まともにセッションができなかったんですよね。じゃあもう「帰りの電車で遊べるの作ろう」って。

 ――終電で、電車の移動距離長いと暇で遊びたくなるの分かりますね。それでも1日4卓は字面だけでもすごい……

(煙草屋さん)
 テキストセッションでも1時間で全部終わるんですよ、このシステム。これを作ってから、ですかね?動画作るとき、やっぱり他社の商品、特にTRPGってデータとかの中身が外に漏れるのってすごくまずいことなんですね。だからリプレイの本とかもデータとかはボカして書くことが多いんです。だから「リプレイ動画を作って、そういう版権を侵害したらどうしよう」ってびくびくしてたんですけども「自分で作ったのの動画なら権利関係問題ないな?」って、それからは動画作りがすごく気楽になりましたね、はい。

 ――確かにCoCとかも神話生物のデータ1つでも権利の侵害とか恐いですからね。印刷所に入稿してから気付いて、差し替えしたりとかするサークルさんも居ると聞きますし。オリジナルのTRPGであれば、確かにそこら辺が恐くなくなりますね。

(煙草屋さん)
 ええ、私が権利者だ。

 ――これまでに、どれくらいの量を作られたんですか?

 数えてないんですが、200ぐらいは作ってますね。あと電車の中で暇だったので、#1ツイートTRPGっていうハッシュタグを作って、240字で完結するゲームなんかも結構な量作ってますよ。……冷静に振り返ると結構おかしいことやってますね?

 ――電車の中で暇で作る気持ちは分かります。が、私にはまねできないですね。どうしても、1ツイートではまとめきれないです。

(煙草屋さん)
 いやー、あれは本当に頭の体操になりますよ。判定方法から何から、削れるところどこだろう、って考えるのはすごく楽しいです。

■オリジナルのTRPGを作ったきっかけ

 ――ところで、オリジナルのTRPGを作りはじめたきっかけというのは?

(煙草屋さん)
 オリジナルTRPG作るきっかけになったのは「ダブルクロス」っていうTRPGが私、すごく大好きで。それがどうしてもやりたくって、仲間内に勧めてたんですけど、誰も買ってくれなくて。「じゃあもう私が作るからそれで遊ぼう」って言って、パクりじゃ流石にまずいから1からルール組み上げて作ったのが最初でしたね。

 ――ルールブックは高いですからねぇ……相性の合うTRPG以外は、買うのを躊躇する気持ちも分かります。

(煙草屋さん)
 特に仲間内は、カッコいいに極振りしているような「ダブルクロス」のゲームシステムが、あんまり好みじゃなかったみたいで。どっちかっていうと泥臭いプレイを好むところがあったので。じゃあもうしょうがないから、って手作りしましたね。A4サイズに98ページぐらいの。

 ――ダブルクロス上級ルルブの半分くらいのページを……手作り?

(煙草屋さん)
 丹念に手作り。シンドロームみたいなのが12種類の、キャラクターの職業を表すデータが12種類の、あとスキルデータが200ぐらいあって、アイテムデータも200ぐらいあるような、そんなの作ってましたね。計算式作ってバランス調整やってました。

 ――当初から片鱗見えているじゃないですか!

(煙草屋さん)
 ええ。その反省があって、逆に簡単なシステムを作ろうと心がけるようになったといいますか……。

 ――確かに現在は簡単に遊べるシステム多いですしね。私も飲み会の時に使わせて貰っております。

(煙草屋さん)
 ご利用ありがとうございます(笑)

 ――ちなみに、創作活動をする際に気を付けてる事とかはありますか?

(煙草屋さん)
 創作活動、というとTRPG以外も含めてで話すと「理詰めで考える」ってことには気を付けてます。感情とか主観で「これでうまくいくと思う」みたいのは極力排して、「ここがこうなるからこういう効果を期待できる」って推測を立てて、検証して。仮にうまくいったとしても、狙っていた効果が出なければ「なぜそうなったか」を考えるようにはしてますね。

 TRPG製作と動画制作に関しては、「真似されたら困ることはやらない」これを気を付けてます。ちょっと長くなるんですけども。変な話、私自身は自分が楽しければそれでいいし、面白いことをガンガンに動画にしたいとか、そんなことをずっと考えてるわけなんです。初心者の人がそういう「面白さだけを追求したものを見て、真似をして、嫌な思いをしたらどうなる?」っていうことはすごく考えてます。でも、いざ初心者の人と会ってみるとまだ足りてなかったり、良かれと思ってやったことが逆にわかりにくかったり。及んでない部分はすごく多いです。

 ――初心者さんですと、慣れている人との差は、どのジャンル、どの作品でもどうしても出てしまいますしね。そこは永遠の課題だとは私も思います。

(煙草屋さん)
 変な話、慣れてる人が遊んで楽しいゲームって、いろいろ自主的に行動できる隙間みたいなもの、っていうのが多くあると思っていて。もし、その隙間をうまく使うことができない人がいたとして、それも込みでどうにか楽しめるようにはできないかな、というのはいつも苦悩してますねぇ。身内で遊ぶと、隙間が無くてもあいつらねじ込んでくるから、テストプレイしても欠陥が分からない……わからない……。

 ――確かに身内でやると、GMとプレイヤーが互いに何考えてるか分かってるだけに、そういう事が多いですね。

(煙草屋さん)
 何やっても面白いので、つまらないゲームがつまらないかどうかわからないんですよ!

 ――作るときは問題でも、遊ぶときはとてもうらやましい環境ですね。

(煙草屋さん)
 まあみんな忙しいので、なかなか集まれないのが悩みの種ではありますがね。

 ―― それでも、何をやっても楽しいのはうらやましい限りです。では、次の質問です。TRPGの布教、動画配信、サークル設立等の活動をして良かったことと辛かったことはありますでしょうか?

(煙草屋さん)
 TRPGを始めたのはそれこそ小学生なんですが、中学高校と遊ぶ機会が一切無くて。内気な性格なので、コンベンションなどに飛び込む勇気もありませんでしたからね。動画配信をし始めたらだいぶ遊べるようにもなりましたね。TRPGを作り始めたら「これをきっかけにTRPG始めました」って人も多くて。いろんな人と接点持って好きな時に遊べるようになったのは本当に良かったことだと思ってます。

 辛かったことはそういう初心者の人が多く手にしてくれる、っていう環境そのものですね。「あ、私、好き勝手にやって悪い見本を見せるとこれはまずいな」っていう気を遣うのが辛いのと、あとは清書作業ですね。新しくアイデアを出すとかなら大好きなんですけど、単純作業はどうも苦手です。動画もエフェクト作ってるのは楽しいんですけど、文字起こしがいやでいやでしょうがない。むしろなんでこんな初心者の人が最初のTRPGに選ぶのだろうか……(遠い目

 ――ギャップおじさんTRPGとか、システムがしっかりしていて、無料でも出来るからでは?

(煙草屋さん)
 自画自賛みたいになるので手放しに「そうですね!」とは言いにくいですね(笑)

ギャップおじさんTRPG

 個人的にはサイコロフィクションって敷居がちょっと高いかな、ぐらいのイメージだったので、そこは意外でしたよホント。あ、実はですね、ここまでがっつりサポート入るようになったのって、その初心者の方が来始めてからなんですよ。で、それまでは「サイコロフィクションとかTRPG経験者しか手に取ってくれないだろうな」ってタカをくくってたんですが、現実はむしろ初心者の人がすごく多くてあってもCoCぐらい、って人ばっかりで「ああ、適当なことやってたらだめだ」ってそこからは戦いでしたね。

 ――動画上げている人が作っている、これなら安心して出来るぞ!! って感じだったんでしょうかねぇ 気持ちは凄いよく分かります。

(煙草屋さん)
 生産者の顔が見えるTRPG「私が作りました」

■漫画家さんのイラストから出来た「ギャップおじさんTRPG」

 ――「ギャップおじさんTRPG」は経緯が特殊と言うのもあると思いますが……T長さんのイラストをきっかけに作ったTRPGですよね。

(煙草屋さん)
 ええ、そうなんですよ、なので二次創作なんです、ジャンルとしては。Twitterで流れてきたこの画像に引用RTで「これのTRPG作りたいな」って呟いたらまさかのご本人から反応をもらってしまったので「あ、これはちゃんと作らないとダメだな」って。

 ――作者様から反応頂いたらものすごいプレッシャーですよねぇ……それで作ってしまうのですから凄いとしか。

(煙草屋さん)
 それでT長さんのサイトや過去ツイートなんかを漁りつくして、このイラストに出てくる鈴木さん、よっちゃん、庄野さん、吉野川の過去の話なんかも見つけましてね。で、その泥臭くてかっこいい世界にほれ込んだ、っていうのが今も続けてサポートを出してる理由ではありますね。

 いやホント、すっごいかっこいいんですよ。例えばこれはサプリメントで出てきた「常人」という、そんな強くない一般人に近いキャラを遊ぶルールのイラストなんですけども、これもT長さんの描いたミミタニ先輩っていうキャラが元になってるんですね。まあこれもすごくいい。すごくいいから見て。ギャップおじさんと関係ないにも関わらず「使わせてください!」って頭を下げてお願いしたレベルです。

 ――ミミタニ先輩はTwitterでもよく見かけますね。確かにこのイラスト1枚だけでも良さが伝わります。

(煙草屋さん)
 そうなんですよ。ギャップおじさんTRPGはタイトルもあって「ギャグかな?」って誤解されがちなんですが、とてもかっこいいキャラクターにほれ込んで作った、かっこいいTRPGですので。

 ――私も何度かプレイさせて頂きましたが、ギャグにも出来るし、とてもかっこいい事も出来るし、素晴らしいTRPGだと思います。

(煙草屋さん)
 ありがとうございます。ガンガン広まってほしいです。T長さんの描くギャップおじさんやミミタニ先輩が広まってくれたらすごくうれしいです。そっちかよ!

 ――そっちですか(笑 確かにこんなにかっこいいイラストなので、広まって欲しいですけども

■これから創作をする人へ

 ――これから創作活動やTRPGを始めようという方に一言ありますでしょうか?

(煙草屋さん)
 そうですね。創作活動もTRPGも、どちらにも言えることなんですが、いきなり大作をドカンと作ったり、がっつり遊んだりするのは難しい、と思うかもしれませんが、そうじゃなく、小さく小さく簡単なところから始めてみることもできるわけで。そういったところからでも飛び込んできてもらえればな、と思います。

 今回は、TRPGをたくさん作られているサークル「煙草屋製作所」の紹介でした。TRPGの動画作成から、オリジナルのTRPGの製作、最近は料理動画と幅広く活動されていて、製作されているTRPGも簡単に遊べるものからじっくり遊ぶものまで様々なので、色々遊んでみるといいと思います。サポートもしっかりしているので、是非遊んでみてください。

<取材協力>
煙草屋さん(@mr_tabakoya)
煙草屋製作所(https://tabakoya-3.jimdofree.com/)

<イラスト提供>
T長さん(@jemibiozoms)
複眼顕微鏡(http://id25.fm-p.jp/40/taichow/)

(戦魂)

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