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世界初!ロシア軍空挺部隊が北極圏で高度1万mからの集団降下訓練を実施

おたくま経済新聞 / 2020年4月28日 12時20分

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北極圏の雪氷原に降下したロシアの空挺兵(Image:ロシア国防省)

 ロシア国防省は2020年4月26日(現地時間)、ロシア陸軍の空挺部隊が北極圏で高度1万mからの集団降下訓練を実施したと発表しました。ロシア国防省によると、この地域での高度1万mからの集団空挺降下は世界で初めてのことだとしています。

 今回の空挺降下訓練は、5月9日の大祖国戦争(第二次世界大戦での独ソ戦)勝利75周年と、空挺部隊創設90周年を記念するものとして実施されました。あわせて、極地環境での高高度降下装備(パラシュート、酸素供給装置、再集合のためのナビゲーション装置、空挺用戦闘服)などの実地試験も兼ねているとしています。

 訓練は通常の交換訓練と同様のシナリオで進められました。まず偵察要員が高度2000mから降下し、降下点(ドロップゾーン)の安全を確保する一連の破壊工作を実施します。

 続いて、Il-76輸送機に乗った本隊が高度1万mから降下。HALO(高高度降下低高度開傘)の手順に従い、いったん自由降下してから操縦可能なパラシュート(自由降下傘)を開き、雪原の中発煙筒で示される降下点に向かって降下していきます。

 降下した兵士は隊列を組み、個人装備をソリに載せてスキーで移動。集合地点へ向かいます。

 目標物がない極地の雪氷原に降下した際、部隊が再集合するのは非常に難しくなります。降下した兵士の腕にはコンパスとGLONASS(ロシア版GPS)受信機が装着されており、これらを使って現在位置と集合場所を算出し、部隊集合を図ります。

 万が一、兵士がはぐれたりしないように、無人偵察機も活用されます。無人偵察機にとっては、雪氷原を移動する敵対勢力の兵士を識別する訓練にもなります。

 また、落伍者を収容するための車両として、DT-30PMヴィチャズ兵員輸送車も用意されました。ソ連時代から使われている2連節式の装軌車両で、雪上車としても使用できる全地形対応車(ATV)です。

 空挺部隊の司令官、アンドレイ・セルジュコフ大将とともに訓練を見守ったユヌス・ベク・エヴクロフ国防副大臣は「今日、皆さんは世界で初めて北極圏の高度1万mから新しい特殊パラシュートで集団降下し、戦闘するミッションを完遂しました。北極圏は、夏といえども独特な場所であり、皆さんはそれに適応するよう、湖沼などの地形や道、気象などすべてに精通しなければなりません」との訓示を行なっています。



 北極圏を国土に含むロシアでは、極地における戦技も磨いておく必要があります。かなり特殊な環境ですが、この戦技は極地における遭難者の捜索救難にも応用できそうです。

※初出時、空挺部隊司令官の階級を「大佐」としていましたが「大将(ジェネラル・ポルコヴニク)」です。お詫びして訂正いたします。

<出典・引用>
ロシア国防省 ニュースリリース
Image:ロシア国防省

(咲村珠樹)

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