オランダとベルギーが新型汎用フリゲートを建造 2028年就役予定
おたくま経済新聞 / 2020年6月25日 14時30分
オランダとベルギーが建造する新型フリゲート(Image:オランダ国防省)
オランダ国防省は2020年6月24日(現地時間)、現在のカレル・ドールマン級フリゲートに代わる新しい汎用フリゲートを建造すると正式に発表しました。この新しいフリゲートは、NATOで合同艦隊を組織するベルギー海軍も導入予定で、計4隻のフリゲートが2030年までに出揃う見込みです。
オランダとベルギーは、ルクセンブルクを含めて「ベネルクス」と総称されるように、古くから密接な関係を維持してきた国。現在も海に面したオランダとベルギーは、NATOにおいて「ベルギー=オランダ艦隊」を組んで有事や国際共同演習に参加しています。
このため、両国の装備は互いに共通点も多く、現行の汎用フリゲートもカレル・ドールマン級という同型艦を2隻ずつ保有しています。タイプシップとなったカレル・ドールマン(F827)は、オランダ海軍で就役した後にベルギー海軍に移籍し、レオポルド1世(F930)と名を変えて就役中。同じく3番艦のウィレム・ファン・デル・ザーン(F829)も、オランダからベルギーに移籍し、ルイーズ・マリー(F931)の名で活躍中です。
オランダ海軍に残るカレル・ドールマン級汎用フリゲート(全8隻建造)は、2番艦のファン・スペイク(F828)と、5番艦のファン・アムステル(F831)。ベルギーの2隻と同様、メインマストをステルス性に配慮した新設計のものに交換する改装工事を受けています。
しかし、近代化改装をしたとはいっても、カレル・ドールマン級は1980年代の設計で1990年代前半に就役した船。すでに設計時から30年以上が経過し、複雑化・高度化する現代および将来の任務に対応することが難しくなっていました。
オランダとベルギーは、2018年に新しい汎用フリゲートを共同で建造することに合意。設計作業に入りました。当初は2025年からの就役を目指していたのですが、ほかの艦船の設計作業を優先したためスケジュールが遅延し、今回の正式発表となりました。
新しいフリゲートは、現在のカレル・ドールマン級(3300トン)より一回り以上大きい5500トン級となりました。対潜水艦戦闘を主眼にしているため、後部甲板にはNH90汎用ヘリコプターが発着・搭載できる設計となっています。
主砲となるのはオートメラーラ127mm速射砲。対空・近接防御用にはVLSから発射するESSM(発展型シースパロー)ブロック2と、ゴールキーパー30mmガトリング砲が採用されます。また、ハープーン対艦ミサイルも装備。
対潜水艦戦闘では、短魚雷のほか潜水艦からの魚雷防御用にデコイを装備。将来的には対魚雷用魚雷の装備も構想されていますが、現在のところ開発には至っていません。
乗組員は110名で、これに加え任務に応じて40名までの人員を乗せることが可能。船自体の建造はダーメンが担当し、レーダーや火器管制システムはタレスが担当します。
現在、プロジェクトは調達準備段階に入っており、最終的な仕様の決定は2021年末になるとのこと。オランダ向けの1番艦は2027年進水予定で、評価試験を経て2028年には引き渡される見込み。2番艦は1年後に引き渡され、まずオランダに2隻、そしてベルギーの2隻が2030年までに引き渡される予定とのことです。
<出典・引用>
オランダ海軍 ニュースリリース
Image:オランダ国防省/ベルギー海軍
(咲村珠樹)
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