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国際海洋観測衛星センチネル6A「マイケル・フライリッヒ」打ち上げ成功

おたくま経済新聞 / 2020年11月23日 18時0分

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センチネル6A「マイケル・フライリッヒ」の打ち上げ(Image:ESA/NASA/SpaceX)

 地球規模の海面上昇を観測する国際協力プロジェクトの人工衛星、コペルニクス・センチネル6A「マイケル・フライリッヒ」が2020年11月21日(現地時間)、アメリカのカリフォルニア州にあるヴァンデンバーグ空軍基地から、スペースXのファルコン9ロケットで打ち上げられました。

 コペルニクス・センチネル6A「マイケル・フライリッヒ」は、地球温暖化による海面上昇の動向を継続的に観測し、その進行状況を把握するための人工衛星です。このプロジェクトには欧州宇宙機関(ESA)、NASA、欧州委員会、欧州気象衛星開発機構(EUMETSAT)、そしてアメリカ国立海洋大気庁(NOAA)が参加しており、観測データは各国の研究機関に提供されます。

 全地球規模での海面上昇の動向を宇宙から観測するプロジェクトは、1992年8月10日に打ち上げられた人工衛星「TOPEX/Poseidon」に始まります。以来、観測はJASON1、JASON2、JASON3に受け継がれて現在に至っており、地球の平均海面は2019年時点で、1993年の観測開始当初より約90mm上昇していることが確認されています。

 平均海面の上昇にともない、各地で様々な自然災害のリスクが高まります。センチネル6Aでは海面水位の変動を高精度に観測し、それによって引き起こされる恐れのある自然災害に対し、適切な対策をとれるよう、各国の研究者にデータを提供する予定となっています。

 衛星に付けられた「マイケル・フライリッヒ」は、長年NASAで地球科学部門のディレクタを務めた科学者、マイケル・フライリッヒ博士にちなんだもの。フライリッヒ博士は現在の地球観測衛星シリーズの体制作りを主導し、16のミッションと8機の小型衛星打ち上げを通じて、地球科学の研究を推進しました。

 衛星本体の製造を担当したのはエアバス。打ち上げにはスペースXのファルコン9ロケットが選定され、衛星はドイツからアメリカに運ばれ、打ち上げが実施されるカリフォルニア州のヴァンデンバーグ空軍基地で組み立てが進められました。



 打ち上げ時刻は、現地時間11月21日の9時17分。飛行は順調に進み、打ち上げから58分後、分離された衛星は予定通りの軌道に投入され、打ち上げは成功しました。


 同時に1段目ロケットブースターも、打ち上げ地であるヴァンデンバーグ空軍基地の着陸パッドに着陸。ブースターの回収にも成功しています。

 その後、アラスカにある追跡管制局で、センチネル6A「マイケル・フライリッヒ」からの信号を受信。衛星の起動に成功し、通信が正常に行なえる状態にあることが確認されました。

 センチネル6A「マイケル・フライリッヒ」は、高度1300kmの周回軌道から、地球の海面で氷におおわれていない部分の95%以上をカバーする、北緯66度~南緯66度の範囲で海面水位の変動を観測します。観測範囲全体は10日かけてカバーされるので、10日ごとの統計データが取得できることになります。

 センチネル6計画は、2機の衛星がペアになって観測されます。今回のセンチネル6Aに続き、ペアとなるセンチネル6Bも5年以内に打ち上げられる予定で、計画全体では少なくとも2030年までの観測が実施されることになっています。

<出典・引用>
欧州宇宙機関(ESA) ニュースリリース
NASA プレスリリース
アメリカ空軍 ニュースリリース
エアバス プレスリリース
Image:ESA/NASA/SpaceX/USAF/Airbus

(咲村珠樹)

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