イギリス政府 F-35用の「群れで飛ぶ」小型巡航ミサイルSPEAR3を777億円で発注
おたくま経済新聞 / 2021年1月9日 18時0分
F-35から群れをなして発射されるSPEAR3のイラスト(Image:MBDA)
イギリスのクイン国防大臣とMBDAは2021年1月6日(現地時間)、イギリス空軍のF-35Bが使用する主力巡航ミサイルとして、MBDAのSPEAR3を総額約5億5000万ポンド(約777億円)で発注したと発表しました。ミサイルはまずユーロファイター・タイフーンで実射試験が行われ、2023年よりミサイルとランチャーの量産が始まります。
MBDAのSPEAR(イギリス空軍の制式名:SPEAR3)は直径180mm、全長約1.8m、重量90kg以下という、極めてコンパクトな巡航ミサイル。空対空ミサイルAMRAAMのおよそ半分という長さで、F-35の胴体ウエポンベイには1つのランチャーで4発携行することが可能です。
発射されると翼を展開し、ターボジェットエンジンによる亜音速で140km以上飛翔することが可能。搭載されたセンサーで自律的に飛行するほか、AIを使用して複数のミサイルが連携するネットワーク機能も内蔵しており、移動する目標や複数の目標に対しても、複合的な情報を参考にしながら、天候や昼夜を問わずそれぞれを確実に捉えます。
今回の契約は2027年までのもの。一部の生産はイギリス国内でも行われ、イギリス国内に700人以上もの雇用を生み出すことになるとしています。
契約締結を受け、イギリスのジェレミー・クイン国防大臣は「この次世代ミサイルの開発により、上空数千メートルから地上の人々と資産を守れるようになります。また、このシステムへの取組は、イギリス全体で何百もの高度な技術を持つ人々の雇用を確保し、イギリスの技術と、武器に関する専門知識を世界の舞台に示すものとなるでしょう」とのコメントを発表しました。
MBDAのエリック・ベランジェCEOは「MBDAはこの契約を喜ばしく思います。これは何年にもわたって高度なスキルを有するエンジニアのチームが集中して取り組んできた成果です。スタンドオフ(撃ちっぱなし)でネットワークに対応して集団で攻撃する兵器は、MBDAのビジョンにおける鍵となる部分です。SPEARはこれらのテクノロジーで先行しており、この種の兵器で最先端のものです」とのコメントを発表しています。
これからの日程についてですが、まずは18か月以内にユーロファイター・タイフーンを使用した実射試験が行われる予定。その試験結果を反映させ、量産仕様のミサイルとランチャーは2023年より生産が始まる見込みです。
<出典・引用>
イギリス国防省 プレスリリース
MBDA プレスリリース
Image:Crown Copyright 2020/MBDA
(咲村珠樹)
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