米仏空母が中東で共同運用を実施 対テロ作戦の一環
おたくま経済新聞 / 2021年4月17日 9時0分
アラビア海上空で編隊飛行する米仏空母艦載機(Image:U.S.Navy)
中東に派遣されているフランス海軍の空母シャルル・ド・ゴールと、アメリカの空母ドワイト・D・アイゼンハワーが、アラビア海で航空機の共同運用を実施しました。アメリカ海軍が2021年4月14日(現地時間)に明らかにしたもので、4月13日に双方の航空機による編隊飛行を実施し、今後の対テロ作戦における両国の結束をアピールしています。
フランスの空母シャルル・ド・ゴールは2月下旬に母港トゥーロンを出港。フランスとベルギーの艦艇をともなって3月初めに地中海からスエズ運河経由で紅海に進出し、3月17日〜20日にはアデン湾で海上自衛隊の護衛艦ありあけらと共同訓練を実施しています。
空母シャルル・ド・ゴールとその空母打撃群(TF 473)は、3月31日にアメリカ中央軍海上部隊(NAVCENT)の第50任務部隊(TF 50)にも任命されました。フランス海軍の艦艇がアメリカ軍の任務部隊の指揮をとるのは、2015年12月以来2回目のことです。
アメリカの空母アイゼンハワーも、4月初めに地中海からスエズ運河を通って紅海へ進出。アメリカ中央軍海上部隊で、シャルル・ド・ゴールと同じく第50任務部隊の第2部隊(TF 50.2)に任命されています。
同じ「第50任務部隊」に編入された、空母シャルル・ド・ゴールと空母アイゼンハワー。課せられた任務は、対テロ作戦「INHERENT RESOLVE(確固たる決意)」において、シリアやイラクで活動するテロリストの拠点を攻撃し、地上部隊を上空から援護すること。2014年の国連安保理決議2170に基づく、多国間共同作戦です。
空母シャルル・ド・ゴールと空母アイゼンハワーが肩を並べて対テロ作戦に従事するのは、2016年の地中海以来。5年後の2021年、今度はアラビア半島を挟んで反対側のアラビア海で、同じ作戦を遂行することになります。
フランスのシャルル・ド・ゴール空母打撃群を率いる、マルク・オーセダット少将は「フランスとアメリカの関係はよく知られた歴史、特に何十年にもわたって実施している共同訓練に深く根ざしており、両国のみがカタパルト発艦・拘束着艦(CATOBAR)方式の原子力空母を保有しています。我々の空母打撃群は一緒に任務をこなせる準備ができていますし、同じ第50任務部隊の一員として『イスラム国(Daesh)』との戦いにおいて、明日私たち共通の利益に従って協力する準備が整っています」とのコメントを発表しています。
アメリカのアイゼンハワー空母打撃群(CSG-2)司令官、スコット・ロバートソン少将は「アイク(アイゼンハワーの愛称)とシャルル・ド・ゴールは、歴史の中で特別な地位を分かちあっています――双方の艦名の由来となったアイゼンハワーとド・ゴールは自由のためともに戦い、後にそれぞれの国のリーダー(大統領)として、平和と安定のために尽力しました。70年以上の時を経て、その友情と献身の精神は両空母の乗員に今も息づいています。私たちの力を結集することで平和と安定がもたらされますが、海洋の安全を促進するためには、私たちはもっと強くならなければなりません」とコメント。両国の空母が地域の平和と安定に貢献する、という意志を示しました。
両空母はこの共同運用を経て、いよいよ実戦である対テロ作戦へと向かいます。実際の戦闘となれば、訓練とは違ってミスは許されません。友好ムードあふれる編隊飛行の中にあっても、双方のパイロットや艦艇の乗組員たちは気を引き締めていたことでしょう。
<出典・引用>
アメリカ海軍 ニュースリリース
フランス軍事省 プレスリリース
Image:U.S.Navy/フランス海軍
(咲村珠樹)
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